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偏愛食品#96:ぼっかけのきっかけ(381/1000)

ぼっかけってご存知ですか? 神戸のソウルフードと言われているらしい。
10数年前のdancyuでレシピを見て以来、ウチでは定番料理となっています。

検索したら、どうやらdancyu2006年12月号に掲載されていたみたい。「魅惑の『煮込み』特集」では、「こってり&こっくり牛スジ煮は庶民の味方。『二大煮込み王国』を往く。名古屋『どて』、神戸『ぼっかけ』。ディープ潜入記」なんて記事がありました。

当時、「ぼっかけ」という料理名、聞いたことすらなかったけど、レシピを見るとカンタンそうだし、なにより想像した味わいが美味しそう。
食材は牛スジとコンニャクだけというシンプルさもいいね。
というので作ってみた。

最初は牛スジをなるべく細分化するんだと思っていたので、たぶん800gくらいの肉を二人がかりで切った時間が小一時間。コンニャクも小さく小さくしたからこちらもかなり時間がかかった。
調理自体は難しくないけど、とにかく準備がタイヘン、へとへと。という印象でした。

でも、美味しさと手間を天秤にかけると、美味しさが勝るわけですよ。めんどくさいけど、ぼっかけ作ろうか? うん、うん、はーい。家じゅうから賛同の声があがる。
そりゃお父さんは頑張りますよ。うんしょうんしょと肉を切らせて骨を断つ! ってそんな物騒なことはしないけど、肉を切る切る。

いつしかぼっかけは、数少ない私のレパートリーとなりました。味付け担当者になると、いろいろ試してみたくなるのが人情。
この味だと、ゴボウが入ってもいいんじゃない? というかむしろ入れるべきでしょう。コクも出るし。
ということでゴボウ投入。すると食感が変わる素材が増えたこともあり、さらなる家庭内評判を呼びます。

レシピにはないけど、オイスターソースも合うんじゃないかなあ? 入れちゃえ入れちゃえ。と加えてみると、独特のコクと旨みと甘味が加わり、ナイスですねえ。

しばらくすると、水煮の大豆もいいんじゃないかしらんということになり、試してみたら、天才。自画自賛するしかないくらい、美味しい。豆にですね、あの甘辛味が染みわたる翌日の朝なんて至福ですよ。

こうなると、さらになにかしら美味しい工夫を重ねたくなります。
「そうだ! うずらの卵!!」
そうです、焼き鳥屋さんにいけば必ずうずらの卵を頼む身としては、入れないとね。これもしみしみになれば天国的な旨さですからねえ。

という変遷を経て、見出し写真のようなオリジナルぼっかけが出来上がったのでありました。

近所に「ジャスト・ミート」って福澤さんかよ、という名前の肉屋があります。美味しくて安いので、連日大行列。並んでいるときに牛スジがあるとつい買ってしまうのは、ぼっかけ者としての自覚があるからでしょうか。
帰り際にコンニャクを買い、ゴボウも大豆もウズラの卵も買い、準備万端。

ウチのぼっかけは、本場神戸の人からすると逸脱したというか堕落したというか牛筋、じゃなくて本筋を離れたものに変化しておりますが、まあこれもまた自由の発露であると思えば許容でしょう。許容されてしかるべき。許してちょんまげ。

先日、子どもたちが帰省して、思う存分肉が食べたいというのでジャスト・ミートへ。
並んでいる脇に牛スジがあったから、7月某日はぼっかけ記念日。

ぼっかけを作るときは、いつだって鍋一杯作るので、一度では食べきれない。そうして翌日は素うどんに文字通りぼっかけて、ぼっかけうどんを食べたりします。
う~ん、スジに味が染みわたって旨いなあ。
みなさんも、これは作るべきだと思いますよ、おせっかいな話だけど。
つまみによし、おかずによし、うどんにもばっちり。ぜひチャレンジしてみてください~。




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