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眼福耳福#12:生の意味を考える映画(1856/1000)

これは映画のチラシとパンフレット。
かなりラディカルなタイトルではありますが、至ってマジメな映画です。

なぜ観に行ったかというと、絵本作家の舘野鴻さんが主人公の一人だから。先日の日本絵本賞の授賞式のとき、パンフレットが配られていて、俄然興味を持ったのでした。
しかも上映後のアフタートークで、監督の関野吉晴さん(グレートジャーニーの方ですね)と漫画家の新井英樹さんが対談する回がある! 新井さんがデビューした時の担当編集者はワタクシですからねえ、不思議に縁のある映画なんだな。
これは行かずばなるまいズビズバー。

で、観ました。
うーん、この映画をどう評すればいいのだろう。
日常から離れたところに置かれがちな、うんこと死体(あ、死体といってもさすがに人間のそれではなく、動物のものではありますが)。
しかしそれらは生の循環という視点でいうと、とても大切な素材であると語ります。

スクリーンの大画面にそのもの自体が映る。
こ、こんなにクローズアップする必要が、あ、あるのか?
観始めは目をそらしてしまうのだけれど、主人公の真摯で科学的な態度を見続けると、だんだん慣れて来る不可思議体験。
死体もまたそのような経緯を辿り、どちらも大きな自然を循環させるための原動力になっていることに気付く。
舘野さんが絵本を描くときに、たっぷり観察をしているのは知っていたけれど、ここまで入念に行っていたとは。ほとんど生物学者じゃ~ん。

目が離せないまま映画は終わる。
なんだか脳みその許容量が増えた気分になる。
生きるという現象を理解する裾野が広がったというか。
なんにしてもクラクラする内容でした。

アフタートークではお二人の珠玉の言葉を聞くことができました。

左が関野監督、右が新井さん

関野監督の「到達主義の冒険は達成感しかない。寄り道の楽しさがない」という言葉は印象的だった。なにかを成し遂げることだけに意味を持たせるのはつまらない。その道中をどう楽しむかが重要で、なんなら最初の到達点を放棄してもかまわない、と。さすがはグレートジャーニーの人。

新井さんは舘野さんの言葉が「タイタンの妖女」のラストと同じだと指摘し、これもまた含蓄あるお言葉。
さらに、この映画が関野監督の成長物語になっていると、映画のメタ構造を看破したところは作家的視点の発露でしたね~。

そして最後に3人で記念写真を撮ってもらったワタシだよ。

背後の映画ポスターが微妙な位置になってしまった

ちなみに写真を撮る際、「チーズ」ではなく「うんこ~」と言っているのだ。だから口元が「O」なのだね。

観る人を選ぶ、のかも知れないけれど、誰もが自分は選ばれる側にあると思って観て欲しいな、と思ったことでした。

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