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続きのない話#184:見も知らぬ姉弟姉妹の成長を国中が知る日曜の朝(646/1000)

気付いたのは1年くらい前かな。朝日歌壇で若い人が活躍しているって。
富山市の松田姉妹は新社会人と大学生。奈良市の山添姉弟は小学生。

さらに山添家はお母さんもよく登場しています。
才能、なんですね。
おそらく日本中からたくさんの人が投稿しているのでしょうに、ほぼ毎週誰かしらの歌が採用されているんだから。

松田姉妹はお姉さんが就職活動をしていたり、妹さんが入試を受けて大学に入ったりという人生の変化が折々に歌われていて、なんだか親戚の子どもの成長話を聞いているような感じがします。

山添姉弟は弟さんが昨年小学校に入ったのかな、ひらがな多めで可愛らしい歌。お姉ちゃんは弟思いの歌が多い。お母さんはそんな子どもたちの成長を愛でている。
こちらもいとこの家の出来事を聞かされているような気分。

そして今朝。
目を見張ったのは、高野公彦さんの選。なにしろトップにあるから目立つこと。
松田姉妹と山添姉弟の歌が4首採られている。しかもそれぞれ相手のことを気遣った歌なのも印象深いところです。
松田姉は、「妹のピアノに合わせ口ずさむ」と書き、妹は「へこんでる姉を元気にするため」と書く。なんと麗しい姉妹愛だろう。ここまで健やかに育てられるご両親も素晴らしい方々なんだろうな。

山添姉は「弟の『のらねこノート』があるらしい」という。
のらねこノートってなんだろう? 
お姉ちゃんも知りたいんでしょうね。でも知りたいのに節度ある態度なのが健気でいいな。
唯一弟はお姉ちゃんじゃなく六年生のはっちゃんのことを題材にしているけど、これも人を思う心が溢れている。
お母さんが子どもたちのことを歌うのを拝見するたび、ああ、愛されている子どもらよ、と思います。
そういう精神的に落ち着いた人たちだからこその安定した歌なんだろうな。

俳句は習っているので(ここのところコロナで句会は開かれていないけれど)多少は味わい方を知っているけど、短歌は昔学校で習った知識しかない。ないけど、こうして毎週楽しみに歌壇を読んでいると、なんとなく分かってくるから面白い。

短歌のほうが情報量が多い(31は17のほぼ倍ですからね、なにしろ)ので、ニュアンスが豊かに伝わるんだと思います。
もちろん俳句の研ぎ澄まされた言葉遣いも、それはそれで凄いんだけどね。
日本人が長く愛した定型詩の伝統は、今でも脈々と流れているんだなあと毎週毎週思いを新たにしています。

一年が過ぎて一年なりに皆大人びてくる微笑ましくも

てへっ。失礼しました~。

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