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偏愛食品#209:ドキュメント72みかん(669/1000)

金曜の夜、NHKで「ドキュメント72時間」という番組を放映しています。
一つの場所に72時間カメラを据え、色々な出来事を撮るドキュメンタリー。

キャッチコピーは、「街角で3日間。 同じ時代に居合わせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?」
番組紹介には、「その場で偶然出会った人たちの話に耳を傾け、“今”という時代を切り取ります」とある。

この番組がなんといっても素敵なのは、たまたまそこにいて語る人たちのたしかな人生の手触りが感じられること。
楽しいことも、ツラいことも、悲しいことも、笑えることも、懐かしいことも、未来への希望も、みんなきちんと自分の手の中に持っていて、それを隠さず披露してくれる。
「みんなみんな生きているんだ」と、静かに感動することの多い番組なんだよ。

過去に観たもので印象的だったものは、たとえば。。。
(以下、番組ウェブサイトより)

「長崎・五島列島 さよならフェリー」
春、別れの季節。長崎県・五島列島の福江島では、毎年風物詩となっている光景がある。島中の人々が集まって、島を出る人との別れを惜しむ、見送りの風景だ。就職・進学・結婚、様々な理由で島を離れる人たち。家族や同僚、同級生、教え子らと別れを惜しんで抱き合い、涙ながらに言葉を交わしてフェリーへ乗り込む。3月の終わり、新たな土地で新たな一歩を踏み出す人々を見つめる3日間。

「としまえん 日本最古の回転木馬の前で」
長い歴史に幕を下ろした「としまえん」。そのシンボルといえる日本最古の回転木馬「カルーセル エルドラド」が舞台。アールヌーボー様式の木製の装飾が作り出す幻想的な世界。結婚前からデートのたびに乗ってきたという熟年夫婦。家族の仲がよかったころを思い出そうとする青年。ここで、亡き母に立ち直った自分の姿を見せたいという女性。回転木馬はどんな思い出を乗せてきたのか? 閉園間際の3日間を見つめる。

「阿蘇・ライダーたちの夏10年に1度の撮影会」
8月の終わり。熊本・阿蘇の草千里に2000人を超えるバイク愛好家たちが集結した。イベントの目的はレースや交流ではなく、「1冊の写真集をつくりあげる」こと。日本中から集まったライダーとその愛車をボランティアスタッフが写真に収めていく。イベントが開かれるのは10年に1度。1979年にひとりのカメラマンがはじめ、今年で5回目だ。就職、結婚、病気…。かつての写真集を手に、この10年の物語に思いをはせる。

「男が靴を磨くとき」
ビジネスマンが行き交う東京・有楽町。ここに、今では珍しい「路上の靴磨き」店がある。熟練の職人たちの手にかかれば、どんなにくたびれた靴もわずか10分でピカピカ。男たちが靴の輝きにこだわる理由はさまざまだ。少しでも取引先に覚えてもらいたいとお洒落に気を遣う営業マン、妻からプレゼントされた思い出の靴を持ち込む男性、靴は“男のプライドを映す鏡”という人まで。

「小さな屋台カフェ 千夜一夜物語」
栃木県足利市の国道沿いに毎夜現れる、屋台のコーヒー店が舞台。メニューは1杯400円のコーヒーのみ。それでもお客さんがひっきりなしに訪れる。仕事帰りに立ち寄るサラリーマン。親の介護のために地元に戻った女性など、さまざまな人たちがコーヒーを求めて屋台にやってくる。お店に立つのは70歳を超えた兄弟。50年ほど前に父親が始めた店を当時のまま受け継いできた。コーヒーを飲みながらこぼれる本音に耳を傾ける。

「東京・新橋 ジューススタンド夏物語」
サラリーマンの町、東京・新橋。ここに、働く人たちが憩いを求めてやってくる老舗のジューススタンドがある。桃やスイカ、ゴーヤにウコンにアロエまで。季節の果物や野菜から生まれる色とりどりのジュースを求めて、1日150人を超える客が訪れる。商談前に駆け込む会社員。美肌効果を求める30代の女性。現役時代からの習慣で通い続ける70代。一息ついて、こぼれる本音。サラリーマンたちのオアシスに密着する。

「東京・阿佐ヶ谷 金魚の池のほとりには」
東京・阿佐ヶ谷。ビルやマンションが立ち並ぶ駅前に、ちょっと変わった場所がある。大正時代から90年以上続く、“金魚専門”の釣り堀だ。釣り竿とエサ付きで1時間600円。手ぶらで気軽に立ち寄れるため、1日中、人は絶えない。50年以上通っているという常連さん。働き方改革で時間をもてあましているサラリーマン。1日で100匹近く釣り上げる女性の姿も。たくさんの金魚が泳ぐ池を眺めながら、みんな何を思うのか?

「京都 青春の鴨川デルタ」
京都・鴨川の上流にある憩いのスポット、通称「鴨川デルタ」が舞台。観光地から離れ、数多くの小説や映画の舞台ともなった水辺。飛び石を渡れば、なぜか心が解放される。青春時代を満喫する学生、若き日に思いをはせる人…。春の美しい風景とともに、京都人たちの心模様に触れる72時間。

「歌舞伎町 さよなら人情キャバレー」
惜しまれつつ閉店した新宿・歌舞伎町の老舗大衆キャバレー。昭和の雰囲気を色濃く残すお店には、いろいろな客がやってくる。なじみのホステスさんとの最後の会話を楽しみに来る男性。ここで、以前、ホステスとして働き、同僚をねぎらいに来た女性。ここで人生を学んだという歌手は、最後のステージにのぞむ。さまざまな人生が交錯したキャバレー。閉店までの3日間を見つめる。

ね、おもしろそうでしょ?
まだまだ印象的だったものは多いけれど、引用が多すぎると主従の関係があやふやになってしまいますからね、自重自重。
まあとにかく名番組なんですよ「ドキュメント72時間」。

先週の金曜日に放映されたのは、「銀座おつまみラプソディ」。
「銀座にある老舗のおつまみ専門店が舞台。界わいのバーやクラブの御用達で、おかきやナッツ、チョコレートなど約300種類も扱っている。博多・中洲にクラブをオープンさせると、わざわざ買いにきた女性。ここのグリーンピースを20年以上、注文し続けているバーのマスター。最近は、その品ぞろえから飲食店だけでなく、一般客もよく買いにくるという。コロナの影響を大きく受ける銀座。おつまみから見える人生ドラマとは」

鼻がひくひくするような言葉がこれでもかと入っている、いい紹介文ですよねえ。
「銀座の老舗おつまみ専門店」
「中州からわざわざ買いに来た」
「20年以上注文されているグリーンピース」。
そしてなんといっても、
「おつまみから見える人生ドラマ」!

見えるんだ! 見えるんだね、おつまみから人生が。
考えたこともなかったけど、そう言われたら見えそうな気がする。
バタピーが常備されている我が家。
サバの水煮缶がむやみやたらに備蓄されている我が家。
チョコもアンコも切らさない我が家。
確かに人生が透けて見える気がするなあ。

番組を観てみると、酒好きには堪えられない内容。
店内には溢れんばかりのつまみつまみつまみ。
珍味や煎餅、ドライフルーツ、チョコレートがこれでもかと並んでおります。壮観!

うーん、これを見たら俄然行ってみたくなった。
これまで何度も店の前を通ったことがあるのになあ。ちょっと覗いてみればよかった。後悔役に立たず。

たまたま近くにいく機会があったので、さっそく訪問してみた。
店内ではお客さんがご主人と話している。
「ぼくもテレビ、ちょっと映ってたんだよ」
「そうですか、まだあと2回再放送やるみたいですよ」
「辛子れんこんチップはないの?」
「ああ、今日はもう売り切れで、次回はいつ入荷するかわからないんですよ」
なぬ? 
辛子れんこんチップ、見るからに美味しそうだったから買おう! と思っていたのに。
NHK効果はすごいものがあったらしく、ずいぶんとお客さんが増えたみたいですね。ご主人はいささかコーフン気味に話をしておりました。
まあ、私も人のことは言えないから、おとなしくしていよう。

店内をぐるぐると4周くらいして悩んだ結果、バーのおつまみ「エメラルド」(これが例のグリーンピース)、気になった「ドライイチゴ」、この店の一番人気だという「ドライみかん」をご購入~!

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さっそく味見味見。

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エメラルドは小粒で塩味が効いていてポリポリおいしい。たしかにお酒の味を損なわない、優秀なつまみといえましょう。ポリポリ。
ドライみかんは一房ごとにドライ化されていて、甘みと酸味のバランスが絶妙で万人が好きになる奴。今もむしゃむしゃしているんだけど、噛むうちにだんだん柔らかくなってきて、それとともに濃縮みかん味が口の中に広がるところがパラダイス。美味しいス。
ドライイチゴはそこまでの感動はないけれど、手堅く美味しいイチゴの完全体。爽やかな味わいがいいですなあ。

と、ここまで書いて、気になったので店のECサイトを見たらSOLD OUTの表示ばかりでした。
NHK効果、恐るべし。
全国の呑兵衛たちはエメラルド食べたさに悶えているんだろうなあ、ポリポリ(←やめなさいって)。

「銀座おつまみラプソディ」は、14日(金)17:00からBS1で、15日(土)11:24からNHK総合1で再放送されますよ。
未見の方はぜひ。
ポリポリ。

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