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偏愛食品#440:おいしさの秘密、わかるね?(1748/1000)

京都に志津屋さんというパン屋さんがあるのをご存知でしょうか?
そしてその店にカルネという不思議な不思議なパンがあることは?

秘密のケンミンSHOW極という番組をたまに観ています。観るたびに、日本にはまだまだ知らない食べ物がたくさんあることよ、と思うのだな。
今や県内というより、もっと細分化された地域の食べ物を紹介したりして、豊かな風土の恵みに思いを馳せております。

さてカルネ。
ケンミンSHOWで、京都市民がこよなく愛するパンとして紹介されていた。
見た目はごくごく普通なのに、番組内で試食した人々が絶賛している。気になる~。
そりゃあ気にもなりますよ。ごく平凡な見かけの少年が実はパーマンだった、とか人はそういうギャップに魅了されるものだからね。

テレビで見ただけのカルネのことがずっと気になっていたので、京都に行ったとき、探して買って持ち帰り。

さて、と、家で袋から取り出して、妻と二人でためつすがめつ眺めてみた。
が、どうもおかしい。
カルネ様からは、おれは旨いぜオーラが感じられないのですよ。
なぜかといえば、カルネ様の風貌が、ごくごく普通なパンにちょっぴりの玉ねぎと薄いハムが挟まれているだけだから。
ザッツオール。

いやこれ、まずくはないだろうけど(みんなテレビだから必要以上に絶賛してたのかもしれないな)、絶品というような感じはしないよね。
二人でハテナ? と顔を見合わせた。

ま、でも、食べてみないとわからないからね。
食べてみよう。
パク。

ん?
はて?
うまい!
うまいぞ!
なぜだろう?
不思議だが本当だ。
よくマイナスとマイナスをかけるとプラスになる、なんて見てきたようなことを言う人がいますが、もしかするとそれ、カルネのことを言っているんじゃないか。

普通のパンとちょっぴり玉ねぎと薄いハム。
それらが醸し出す絶妙のハーモニー♫ といったって、普通とちょっぴりと薄いですからねぇ、どこに妙味の源泉があるのか?

ちろ、とハムをめくってみたら、なにやらマーガリン的なものが塗られている。
ぺろ、とそれをなめてみたら、王のマーガリンにしてマーガリンの王! というわけでもない。でも、なんかちょっとココロに残る味わいがする、気がする。

そんなカルネの、我々のなまくら舌では解明できない玄妙な塩梅から生じるのであろう、得も言われぬ味わいにすっかり魅了されてしまったのでありました。
それからは京都に行く旅の度に、必ずカルネとペッパーカルネをお土産にしてますかるね。

こうして出会い、つきあいを重ね、カルネたちとは末永く楽しくやっていくのだろう。
と思っていたら青天の霹靂!
京都から来た旅人にこのようなお土産をいただいたのだ。

こ、これは!
「志津屋のカルネの味をご家庭で楽しめます!」
そうか!
カルネの秘密はマーガリンにあったのか!
犯人の自供!(それはいくらなんでも失礼だけど)

京都の人たちは店で買うだけじゃ満足できなくて、秘密の素を求めて家で無限カルネを楽しもうとしているのだな、きっと。

このような素敵なものをいただいたら、我が家でもカルネの味を楽しもうじゃないかと思うじゃないか。
さっそくパンを用意して、玉ねぎを水にさらして薄いハムを入手して、秘密のマーガリンをちょっぴり(この量が肝心)塗って食べてみた。

驚くなかれカルネが現前したのですよ。
なるほど、カルネの旨さの源泉がワカルネ、と思ったことでした。
最後の1行を書くためにここまで話を盛ったのだということも、ワカルネ?

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