見出し画像

「Don’t Be Silent #変わる男たち」の仕切り直しと再考に関して

2月9日(火)に予定していた「Don’t Be Silent #変わる男たち 」の企画を、仕切り直し再考することといたしました。いったん、立ち止まって考えようと思います。このnoteでは、企画に込めた思いや経緯をまとめ、皆さんにお伝えしたいと思います。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を受け、マスメディア、例えばテレビでこの問題を論じていたのは、女性よりも男性の姿が多かったような印象を受けました。森発言を問題だと報じる番組でも、キャスターを務めるのは男性が多かったり、内容について意思決定をしていく立場を占めるのもほぼ男性だったり、という状況です。

そうしたなかで、CLPは、多くの女性たちの声を届けたいと思い、先週6日(土)に「Don’t be silent #わきまえない女 たち」と題した女性25人のリレートークを生配信でお伝えしました。番組には多くの男性からの反響もありました。

今回の企画「Don’t Be Silent #変わる男たち 」は、前回の番組で発せられた女性たちの言葉に応える形で男性にもこの問題に向き合ってほしい、という思いから立ち上げたものです。男性であるあなたはどう受け止めたのか、そしてどんな声をあげているのか、何をどのように変えることができるのか、正解はなくても、悩みとまどいつつでも話してもらい、むしろ、そのとまどい自体を議論いただきたいと思いました。

先週6日(土)にお届けした「Don’t be silent #わきまえない女 たち」と題した女性25人のリレートークによる生配信も、今回の配信「Don’t Be Silent #変わる男たち 」も、企画したのは女性スタッフたちです。今このnoteを書いているのもCLPを運営している女性スタッフです。

企画の趣旨について

森会長の女性蔑視発言をうけ、「#わきまえない女」というハッシュタグがTwitterに誕生しました。それに連動し、「#わきまえない男」というハッシュタグも散見されるようになりました。しかし、女性にわきまえさせたのは誰か?これまでわきまえていなかったのは誰か?と問うたとき、それは「男性」と応えることができると思います。その男性が「変わる」ことでこそこの問題を前に進められるというのが、CLPスタッフの強い思いであり、6日の配信でも繰り返し議論されました。

7日の午前中に、急遽今回の企画を立ちあげ、出演者の皆さまには、7日(日)夜からお声がけをはじめました。その際の人選も女性たちが行いました。当然、全員が同じ立場や考えではないこと、議論や批判が生まれることも想定した上で、お声がけをしました。

わたしたちCLPは、2020年から徹底して出演者の「パリテ(男女同数)」にこだわってきました。出演者の男性から、パリテは意味がないと批判されてこともありました。パリテにならないという理由で、企画をボツにしたこともありました。CLPの男性スタッフに、男女同数を守らなければこれ以上協力できないと詰め寄ったこともありました。

では、なぜあえて今回は「男性」のみなのか。

たしかに当事者なき語りとなるということについての批判は免れません。6日の番組を受けたアンサー配信をどうするか、議論を重ねました。配信前日の8日の夕方まで、運営に関わる女性が出演するということになっていましたが、女性から連帯を示さなければ、男性がこの問題を語らない / 語れないという構造を、形式的にも作ることは避けたいと判断しました。

今回の問題は、男性たちの問題だからです。

森問題の本質は何か?そう問うた時、これは女性の問題ではないと考えました。森問題の本質は、これまであの発言を許してきた男性中心社会の構造であり、ずっと変わらなかった男性たちです。

先日の「#わきまえない女たち」の生配信で、わたしたちは何度か涙を流しました。一方で、CLPの理解ある男性メンバーでも、自分に近しい男性でも、同じ涙を流すことはないと思っています。そして、どんなに理解ある男性でも、この涙を流す気持ちを正確に理解してもらうことは難しいとも思っています。

そうした中でも、この問題について、男性同士で「男性の問題」として語ることは、非常に重要だと思い企画しました。この問題は、これまで声が大きいはずの男性たちが、避け、語ってこなかったテーマです。男性たちが、男性のみで真剣に、ジェンダーの問題について、反省や気づきを踏まえて語る番組はほとんどありません。それがたとえ男性の「集団」として提示され、違った権力性を顕示してみせてしまったとしても、そのこと自体を問題化したいという思いがありました。

また同時に、今回ご出演いただくみなさまには、その違和感、居心地のわるさ、その難しさについて痛みを伴いつつお話いただくことを期待していました。この配信が、男性が持つ加害性や「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」について語る場になることも意図していました。このようなお話をして、出演を引き受けてくださった方もいます。企画趣旨を踏まえた上でお引き受けいただいた出演者のみなさまには感謝しかありません。簡単ではない決断だったと思います。本当に、本当にありがとうございます。

「#わきまえない女たち」は、これまで権力として存在してきた「男性たち」に呼びかけました。そしてそれに応える形で「男性たち」が語るという回を意図しました。男性のみで、男性のことについて徹底的に考える。そこで終わりにするのではなく、ノンバイナリーの方々とも議論をした上で「#進むわたしたち」として、3回目の配信も予定していました。これは、この問題を「男性 / 女性」の枠組みに押し込めたり、シスヘテロ二元論の議論をむしろ問い直す形で考えていくことを目指していました。

その「わたしたち」に至るためには、これまで女性たちを踏みにじってきた加害側である男性たちが、ある種の「痛み」を経ることが必要だと考えたのです。それがたとえうまくいかず、難しさに押しつぶされ、配信自体が「失敗」に終わったとしても、そのこと自体を顕在化することが必要だと思いました。

配信予定だったプログラム(作成していた台本の一部抜粋です)

一部:反省と気づきから。森さんからの“卒業” 
二部:“男性”にできるアクションとは?
三部:学者、有識者…各分野の“重鎮”は男性 どう変えていく?
四部:男性中心社会は男性も生きづらい。ホモソにさよなら
五部:同世代の男性たちへ
六部:本当に変わるために、できること

出演依頼に関するお詫び

以上のような内容を、たとえご批判があったとしても、番組の冒頭に説明し、全体の構成を組み立てていく予定でした。事前のご批判ご意見については、番組の内容でお応えすることが、誠実な姿勢なのではないかと考えていました。

しかし、依頼について決定的なミスがあったこと、そのことが今回の配信を延期する主な理由となりました。

7日夜から、CLPのスタッフやその関係者で手分けをし、今回の問題について発言されている方や、これまでCLPにご出演されたことがある方などご縁がある方々にお声がけを行いました。しかし、一部の出演者の方々に対し、十分に企画の意図や趣旨をお伝えすることができておりませんでした。以下が一部の方々に共有されなかった番組の趣旨です。

・男性だけの配信であること
・「#変わる男たち」というタイトル
・人数や規模

運営側のミスであり、落ち度です。大変申し訳ありません。出演をご辞退されることも当然であり、決してあってはならないことでした。重ねてお詫びを申し上げます。

新しい“私たちの”メディアを掲げ、既存の報道の在り方に問いを投げかけるようなチームを目指してきました。ネットならではのスピード感を持って、いま知りたい・届けたい声を、ダイレクトにお伝えすることを目指してきました。その一方で、メンバー内で情報共有が徹底されておらず、ご出演者様や各所にご迷惑をおかけしてきたこともあります。今後、チーム内の在り方をいま一度検討し、改善したいと思います。出演者のみなさま、何より、CLPの番組を楽しみにしてくださるみなさまと信頼関係を築いていけるよう、今後ともつとめます。

今後について

出演依頼の問題だけでなく、8日の告知後、さまざまなご意見がありました。男性のみで女性差別の問題を考えるということに関して、仕切り直しのご提案を多くいただきました。そこで8日(月)夜に、出演依頼の問題はもちろん、いただいたさまざまなご提案やご意見をもとに、CLPスタッフで朝まで話し合いをしました。なにが「よりよい」配信になるのか、長い時間意見を交わしました。そこで以下のことを決断いたしました。

① 9日(火)午前中に出演者の方々に、今回の件を説明し、SNSで企画の仕切り直しを告知すること
② 企画への思いやそのプロセスをnoteに記録すること
③ 9日(火)20時 今回の出演予定者でご都合がつく方々と運営スタッフがzoomで意見交換を行うこと。今回の企画で何が問題とされたのか。今後はどうすればいいのか。ネット上の皆さんの意見も取り入れながら考えること
④ その会議には、オブザーバーとして希望者が参加できるようにすること
⑤ 会議で議論された内容は、後日noteで公開すること
⑥ 会議で議論された内容と、その後のさらなる議論を踏まえて、「男性たちが、この問題を“男性の問題”としていかに語りうるか」をテーマに次回の配信を組み立て直すこと。その際、どんな形式(人数や男女比、年齢など)がその対話にふさわしいか再考すること

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※追記(9日20:00時点)
9日(火)20時から、今回の出演予定者でご都合がつく方々と運営スタッフがzoomで意見交換を行うことや、オブザーバーとして希望者が参加できるようにすることなどをお知らせしていましたが、いったん、その意見交換会を中止にさせていただくことにいたしました。直前のご連絡で申し訳ありません。理由は、zoomを使ってそのような会を設けるにあたって技術的な準備が間に合わなかったこと、また公開の場で行うことに対して一部のご出演者様から辞退のお申し出があったこと(配信と同じことになるなど)、何より、何をその場で話すかについて、スタッフの間でずっと議論を続けてきましたが、意見がひとつにまとまらなかったことなどです。気持ちがまさり勢いで走り続けることは私たちの弱点でもあり反省しているところです。出演者様や視聴者の皆様にもきちんと丁寧に対応できるためにも、いったん今夜の会は中止にしたいと思います。ですが後日改めて別の機会を設け、そこでの議論については公開させていただきます。ご理解頂けたら幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後に

わたしたちCLPには、明確に伝えたいメッセージがあります。変えたい課題があります。わたしたちは、CLPを「私たちのメディア」ー。そう名付けました。CLPは、スタッフのものではありません。みなさんの声に応答し、共に考え、対話をしていく場にしたいと思っています。微力なメディアですが、私たちには、共にCLPを育てていこうとしてくださるみなさんの存在があります。

みなさんの声にこたえ、一緒にメッセージをつくっていきたい。これが、今回の企画の仕切り直しと再考を決断した一番大きな理由でした。

時に間違った判断もすると思いますが、もしよかったら、その都度、ご指摘ください。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?