音楽情報の共有サービスを作ったので使ってみてほしい

※この記事は、2020年10月11日に「はてな匿名ダイアリー」に投稿された記事「音楽情報の共有サービスを作ったので使ってみてほしい」と同一の内容です。

音楽情報の共有サービスを作ったので使ってみてほしい

表題の通り、Webサービス(iOSアプリ)を作ったので、使ってみて感想を聞かせてほしい、というのが投稿の目的だ。

ただ、せっかく増田に投稿するのだから、制作物の宣伝に終始するのではなく、開発していて考えたことや制作背景を書き添えたいと思う。ここにはエンジニアやデザイナー、また技術職でなくてもWebサービスに携わる人、インターネットを使って遊ぶことが好きな人が多いはず。そんな人たちの向けの四方山話として、思考の一助となれば幸いだ。

サービスについて

Chooningという音楽情報の共有サービスを作った。
https://chooning.app/ja/

・Spotifyで配信されている曲について、300文字のテキスト情報を添付し、投稿することができる。
・投稿には、Spotify APIから取得してきた曲名、アーティスト名、アートワーク(=CDなどのジャケット画像)、30秒のサンプル音声データが付随する。
・投稿に対して、ユーザーは「コメント」「お気に入り」のリアクションを取ることができる。
・お気に入りに加えた投稿は、Spotifyに送られる(月別プレイリストを生成し、そこに曲が追加されていく)。
・任意のユーザーをフォローすると、フォローしたユーザーの投稿が自分のタイムラインに流れるようになる。
・フォローしなくても検索などすればユーザーの投稿を見つけることはできる。また曲から投稿にたどりつくこともある。現状、すべての投稿は誰からも閲覧できる(鍵垢は未実装)。
・サービスは英語で作られており、Localizeとして日本語対応をしている。(海外のAppStoreでも配信している)
iOSとして配信しており、Androidやブラウザ版はまだ作っていない。

機能を一覧してもらうと分かる通り、Spotify APIによって支えられている。後述する課題認識があってもやもやしていたところに、あるキッカケでAPI Referenceを目にし、それを読んでいるうちに上記の機能実装が思い浮かんだ。

Web API Reference | Spotify
https://developer.spotify.com/documentation/web-api/reference/
(けっこういろいろ公開されていて、コンソールから叩いているだけでも楽しい。)

今後追加しようとしている機能

・投稿にハッシュタグを付与できるようにする。ハッシュタグごとに投稿を一覧できるようにする。
・アーティストごとに投稿を一覧できるようにする。
投稿に位置情報を付与できるようにする。位置情報ごとに投稿を一覧できるようにする。
・アーティスト、曲名で検索できるようにする。
・ブラウザ版として、曲名で検索するとその曲に関する反応が表示されるデータベースサービスという見せ方で作ろうと思っている。時間軸・位置軸で検索結果を調整できるようにして、ある時代のある場所でのその曲に対する反応が一覧できる、というものにしようと考えている。
・Android版(2020/10/11 16:44 追記)
・Push通知(2020/10/11 16:44 追記)

他にこんな機能があったらもっと楽しめそう、というアイデアがあれば教えてほしい。

開発していて考えたこと

こんなサービスをつくるのだから当然だが、ぼくは音楽が大好きだ。いま、このサービスには毎日何かしらの投稿がされる。DBをウォッチしていて、投稿があるとその曲を聴き、アーティストについて調べ、MVを見る。ローンチして3週間が過ぎ、数千件の投稿がされているが、全ての投稿をきちんと読み、そこで語られる音楽や界隈の文化について調べている。これがたまらなく楽しくて、気づくと一日が終わっている。

“一日が終わっている”はさすがに比喩で、サービスのデザインを作ったり追加機能の設計を考えたりユーザー増加施策を講じたりとしているが、集まってくる投稿を読んでいると時間が溶けてくし、その体験を更に充実させるためにと機能改善・追加機能のアイデアも自然と出てくる。

こういった熱中・没頭状態は、大学時代の学祭や、自社サービスをやっていたベンチャー企業に飛び込んで昼夜開発に勤しんでいた日々にもあった。好きな分野でものづくりをしていると陥る状態で、経験者も多いと思う。

長いことスタートアップ界隈には「流行りそうなWebサービスを作ってバイアウトして一攫千金!」みたいな夢があって、ここ何年かはそれ自体がエンジニアリングやデザインを学ぶときの目的と化している人の割合も増えてきた。ぼく自身がそういったモチベーションの新人の育成にあたったこともある。自分にはそういった風潮が合わず、うまくやってこれなかったという引け目がある。興味のない分野でも攻略していくこと自体が得意で、淡々と技術を学べる人は凄いと思うが、もし自分と同じようにそれが苦手だと感じた人は、諦める前に「好きなもの、作りたいもの」を見つけることをやってみてほしいと思う。

プログラミングスクールに通うにしても、作りたいものがあるとないとでは大きく違う。もちろん、どうしたら何が作れるのかという知識がなければイメージもわかないかもしれないが、その場合は何かを解決したいとか便利にしたいという思いを持っているだけでもいい。特に学生時代は具体的な技術習得よりもそういった見聞を広めることが、何より開発を楽しいと思える素地になると思う。

開発背景(このプロダクトをつくった理由)

ぼくはSpotifyを利用しており、本当に膨大な音楽を聴くことができるようになったが、その反面、CDを買って(レンタルして)きていた時代と比べると、楽曲やアルバムに対して深い感情を抱くことがなくなってしまったなあと感じるようになっていた。部屋で聴いている音楽が、データという存在の域を出ず、自分の部屋に入ってきてくれない。音楽を聴いているが、素早く消費しているだけのような気がして、曲と自分の間の関係が希薄になりつつある気がしている。これはストリーミング・サービスの利用によるものなのか、加齢による感受性の低下なのか判断がつかないが、前者が理由と仮定して作ってみたのが今作だ。

ストリーミングで聴いた音楽について、自分の思いや感想を書き起こす時間を設けること。投稿が自身のタイムラインにコレクションされていく様子は、高校時代に部屋の棚にCDを飾っていたときを思い出す。Spotifyを「たくさんの音楽と出会う空間」とするならば、Chooningは「出会った音楽の中から気に入った音楽を連れてきて、改めて向き合う空間」と位置付けることができる。この二つの営みは共存し、互いに影響し合うことで人間と音楽の関係を良好にしていくはずだと考えている。

最後に

法人主体がないとプレスリリースに制約が発生することを知らなかった(会社で使っているようなプレスリリース・サービスを利用しようとしたら、法人格がないと無理だった)。仕方なく幾つかのメディアに直接プレスリリースをメールで送ってみたけれど、当然のごとく梨のつぶてだ。つまり現状は利用者が友人の友人くらいの域を出ず、その状況を打破したくて増田に投稿してみたという次第だ。この文章が音楽好きの人たちに届くことを願っている。


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