21世紀型技術革新と外部要因との関わり方

​2021年7月に欧州連合は温室効果ガスの排出量を大幅に削減するために、さらに新しい目標を設定しました。グローバル市場全体も今後より一層、こうした厳しい環境規制の影響を受けることが想定されます。このトレンドはSDGs等を念頭に置いた環境問題とも連動しつつ、デジタル技術が社会を刷新していく流れの中で、新たな産業の創出をすることが21世紀の存在意義として認識されるようになってきていることも背景にあります。

現在EV市場を取り巻く環境はグローバルレベルでは米国ZEV規制や欧州CO2規制、中国NEV規制が進行しています。特に中国の新エネルギー車(NEV)市場は近年再び活気付いており、世界市場を牽引しています。また欧州市場においてもガソリン車を将来的に廃止にする方針を打ち出す国が相次ぎ、直近ではコロナ禍における政府の購入支援政策で記録的なEV販売増になっています。

BMWやVolkswagen等に代表されるドイツ自動車メーカーはバッテリーの内製開発に力を入れる方針を打ち出しています。これは究極的にはソフトウェア技術と連携させて、ネットワークで管理できる自動車作りが目指されています。ポルシェもバッテリーメーカーのCustomcellsとジョイントベンチャーを設立することを発表しましたが、CATLを筆頭にした中国バッテリーメーカーへの依存を減らすとともに、先述の内製開発を踏まえた動きとも呼応しています。またより重要なのは、ネットワークのセキュリティ管理を踏まえるとここでも欧米 vs 中国の安全保障の対立問題が召喚されてしまうことです。

オリンピックのスポンサーで企業が判断を強いられるように、21世紀型の技術革新は純粋にマーケットを広げようとする努力だけではなく、PoliticsとSocietyによる外部要因に対し、どのように立ち振る舞っていくかも問われてきます。こうした模範解答のない問題に対して、企業は最善を尽くしながらも失敗を恐れず、むしろ早く建設的な失敗を経験し、軌道修正を行い、先陣を切っていく勇気が必要になると考えます。

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