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中国NEV市場動向

2020年は新型コロナウイルスにより様々な産業が大きな影響を受けました。特に年初の中国NEV市場は2019年7月頃から顕著になった補助金削減による失速傾向にさらに拍車がかかった格好になりました。しかしながら、中国政府は経済再生に向けて各種の支援策を打ち出し、NEV(新エネルギー車)市場においても2020年7月の販売台数は前年同期比でプラス成長となり、長かった失速傾向を断ち切ったことを皮切りに、2020年の新エネルギー車の売上台数は結果として前年度比でプラスの成長となったことが分かっています。

NEV市場をここまでの状態に持ってくるのに多くの支援策が打ち出されました。例えばロックダウン解除された武漢市では地元の自動車メーカーから電気自動車を購入すると1万元(約$1,400)を補助する意向をショートメッセージで市民に伝えたと報じられもしました。未曽有の出来事で失速した経済がこれだけのスピードで回復するのは自助努力だけでは困難であり、こうした支援策があったからと言えます。また同時に中国EV産業はまだ補助金に依存している部分が大きいことが改めて浮き彫りになったとも言えます。

またNEVに対するリコールを含めた品質の問題も昨今、中国でクローズアップされるようになっています。工信部では2020年にNEVの検査工程等を対象とした監査を行っており、品質のパロメーターに一貫性がないことを問題視するとともに関連企業の意識向上を促しています。こうした観点から捉えると、NEVは品質についても課題が残されており、改善しなければなりません。また車載バッテリーのリサイクルについても、直近の事故としてリサイクル事業を手掛けるCATL社傘下の湖南邦普循環科技(湖南省長沙市)の工場で爆発が発生しています。

多くの課題がまだ存在するNEV市場ですが、逆に言うとこうした環境で質の高い製品、サービスを含めたビジネスモデルを提供できる企業にチャンスがあると言えます。EVシフトと数年前に叫ばれましたが、実際にEVもメインストリームになるにはまだ時間がかかります。製品ライフサイクルで言えばまだ導入期にいるようなもので、この時期は技術開発や広告などに多額の投資をしなければならず、企業にとってはいかに資金調達をしていくかも重要なテーマとなります。


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