PASI-TALE 第3話 進軍

 ギルス、ミチトラ、住民2について現場まで走っていく。
ギ:(バカなっ…あいつらは追い返したはずじゃ…!ずっと近くに張り付いていたのか?…いや、恐らく壁を作るとき、どさくさに紛れて近くまで来やがったんだ、イリチも作業で気づけないまま、隠れて待ってたのか!それで暗くなった今、襲ってきた!)
ミ:攫ったってどういうことだ?殺すならわかるが…
住民2:私もわかんない!でも、確かに見えたの!尻尾にあれをはめたら、消えずにあれの中に吸い込まれていったの!
ギ、ミ:?!
ミ:くっ、また妙な道具使いやがって…!
 現場につく。遠のいていくルーカス一行が見える。
ミ:あいつらっ…!!
 ルーカスが手に持っている円筒の武器を指し、
住民2:あれよ!あれの中に閉じ込められたんだわ!私見たもん!
ギ:ミチトラ、まず_
 ミチトラ、真っ先に飛び出してルーカス達を追いかける。
ギ:_おい!
ミ:待ててめえらあー!!
ギ:くそっ、(寝ているセプトを思いっ切り蹴る)おい!起きろ!セプト
セプト(以降、セ):ぐがあ?!もう、寝てたのに…
ギ:久々にやるぞ、あれ
 ミチトラ、全力疾走で向かう。
 ルーカス達、ミチトラに気づいて加速し、両者の距離は離れていく。
ミ:?!(あいつら、本気じゃなかったのか…舐めやがって!)
 ミチトラも加速、真っすぐ前方へ向かっていると、左から足元に光の矢が当たる。
ミ:うお!
 ハッと左右を見ると、ルーカスが後方から近づいてきていることに気づく。
ミ:…!くそ、あれは囮かあ!!
 後方のルーカス達が弓を引いていると、後ろから、物凄い速さのセプトと彼に乗ったギルスに追い抜かれる。
ルーカス達:うおお?!
ミ:ちっ…!またてめえら二人か!
ギ:あの子の奪還は俺らに任せろ!お前は他のやつらと、あのルーカス達を村に入れないようにしてくれ!頼む!
 セプト、さらに加速し、攫った方のルーカス達に追いつく。
ル4:うお?!くっそはええやつがいたもん、だな!
 ル4、ギルスに攻撃するがギルスはその速さを活かして攻撃を躱し、その勢いのまま相手達を一網打尽にする。
 地面に叩きつけられ、ギルスとセプトに押さえつけられる兵士達を見て、後方のルーカス達が応援に向かおうとするがミチトラが阻む。
ミ:どこにいく、てめえらの相手は俺だ…(吹き出しの外)不本意だが
ル2:(武器を構え)ふん、貴様一匹ごとき、我々の敵では_
カ:そいつだけじゃねえぜ?
 振り向くと村から追いかけてきたパジテール二体が。
ル5:はは、こりゃあまた新しく捕まえなきゃだな…
ミ:…やってみろ!
 パジテール達は強力な腕力、強靭な尻尾、素早い動きで戦い、ルーカス達は強力な武器と仲間同士の連携で戦う。
 ルーカス達は乗り物のパジテールを駆使し背中を取られないように動き回る。
カ:く、ちょこまかと…!
ミ:上の奴は大したことないが!(下のあれ…かつて俺達の村にもいた種族…!こいつらに全て捕獲され、手駒にされちまってると言われる…!)
 ミチトラ、怒りが沸点に達する。
ミ:いい加減にしやがれくそどもがあ!
 感情的になって一人に飛び掛かったところ、武器で突き飛ばされる。
イ:ミチトラ!
ミ:がはっ…!
 倒れたミチトラの尻尾めがけて一人が武器を突き出すが、カアラが蹴り飛ばす。
カ:起きろ!
ミ:くっ…!
フ:俺らを逃がしたくないらしいぜ…?
 二人のルーカスが三体を囲む。牽制している間蹴り飛ばされたルーカスも合流する。
ギ:(あいつら…!助けに行かないと…!!)
 ギルス、ルーカスに体に銃を撃ち込まれ、銃ごと顔を蹴り上げる。
ル4:(尻尾を掴み錠武器を被そうとする)隙あり!
 セプトが素早く地面を這いずり回って、ルーカス達が足を取られ転んでいく。
ル4:うお?!
ル6:くそ、こいつ…!捕まえられん!見た目カメのくせにくそ速いぞ!!
ル7:まるでゴキブリだぜ…!
ギ:…!!セプト!
 セプト、飛び跳ね、ギルス、セプトを掴み回転させてルーカス達にぶつける。
三人:ぐぼお!!
ル6:ちっ…こいつら、パジのくせになんてコンビネーションだ…!
ル4:(セプトを掴む。尻尾がぶらぶら揺れている)はは!でもこれで、こいつはしめえだあ!
 錠武器にはめようとするが、尻尾を引っ込めるセプト。
ル4:くっ…!
 セプト、また回転しルーカス達にぶつかっていく。
ル6:ぶおっ!?くそ、素早い奴め…だがその速さであれば、ルートの先に武器を構えてても避けられない!
 錠武器を尻尾が来る位置に構える。セプト、そこにそのままぶらぶらさせた尻尾を持って行ってしまう。
ル6:(よし!そのまま突っ込め_)
 錠武器にささる直前で尻尾を引っ込めるセプト。
三人:うぜえんだよこのカメー!!
 三人でセプトを蹴りまくる。セプトは殻に閉じこもってじっとしている。
 その三人をラリアットで突き飛ばすギルス。そのまま殻に乗り、
ギ:出発進行!
 セプト、すぐ殻から顔を出し走り出す。
ル4:いてて…あれ?あ!捕獲錠が!
 ギルス、手にパジを捕えた武器を持ち、カアラに覆いかぶさるルーカスの首を尻尾で切ろうと迫る。
 すると、雷が轟くような声。
「そこまでだあ!!!」
 両者、ぴたりと止まる。
 村の方を見ると、村長(マンドリル+セイウチ)が出てきて叫んだようだ。他の村民はその後ろで心配そうにギルス達を見つめる。村長は、村の周りの岩山より少し背の低い位、巨大な体である。
 轟くような声で続ける。
村長:犠牲者を出せば戦争に繋がり兼ねない。この数日での無謀な奇襲は、過去の争いで死んだ両人の先祖を尊んで目をつぶろう、猛った血が互いの顔を染める前に、どうか我々に干渉するのはもうやめてほしい
 皆が耳を傾けていると、自分の首に突き付けられたギルスの尻尾をこっそり錠ではめようとするル4。
 ギルス、それに気づきその尻尾で錠を持つ腕ごとルーカスの顔を殴り飛ばす。
ギ:そっちは疑似餌だ、バカ野郎
 パジ達、村に帰っていく。ルーカス一行は不服ながらも彼らを睨みながら帰っていく。
ミ:ちっ、止められなきゃ決着をつけれたのによ(肩に手を置かれる)うん?
ギ:…ありがとよ、協力してくれて
 ギルス、村の中に入っていく。
ミ:…ちぃ!!
 翌朝。
 広場に一同集まり、輪になって座り頭を抱えている。輪の真ん中にはルーカスの錠武器。
ギ:…奪い返したのはいいけどよ、これどうやって出すんだ?
住民2:奪い返してくれたのね!ありがとう!!早速この岩で割って出してあげよう!
ギ:待て待て!本当にそれで出るのか?!その子ごと割れちゃうんじゃねえのか?!
ミ:くそ!一人捕まえときゃあよかったぜ
村長:いや、無駄におおごとにするべきではない
ミ:…!無駄、だと…?
ツェ:今のはいただけないぜ
 村長の発言に疑問を呈する者がちらほら。
ギ:おい、お前ら落ち着けって!犠牲者を増やさないためって意味だ_
ミ:これまであいつらに俺らの先祖がどれだけやられてきたと思ってる!!今も仲間をこんな風にされて、黙ってろっていうのか?!!
ツェ:そうだ!これ以上あいつらの好きにさせてたまるか…!
ギ:…とりあえず、至急残りの壁を作らなきゃならねえ
ミ:ああ?!んな暇あんのかよ!
ギ:錠の解き方は俺が解決する
村長:だめだ、教えてくれるとでも思っているのか?
ヒ:そうだよ!あいつらの巣に飛び込むなんて自殺行為だ!
ギ:俺があいつらに殺されるとでも?…行くのは俺一人で充分だ
ミ:待て!てめえが行くなら俺も_
ギ:お前らは、俺が教えた通り、壁の続きを作っててくれ…そして、村を守っててくれ
セ:…
 夕暮れ、皆壁の製造に集中している。
カ:…ギルスの奴、本当に行くんじゃねえだろうな
イ:村長が許さねえだろ、さすがにそんな馬鹿な真似はしねえ
 ギルス、皆の目のつかない場所で出発の支度をしている。
ヒ:本当に行くんじゃないだろうね?
ギ:!
ヒ:村長に頼まれてね、あんたを見張れって
ギ:…行くしかねえだろ、解き方を知るためにゃあ…
セ:…俺らもそう思って、ここに来たんだよ。
ギ:?!てめえら…
 ルーカスの街。
 本部の指令室。フィロが上層部に報告を行っている。
フィ:_負傷して帰ってきた兵士から、奴らの村に、支柱の付いた壁が建設されていたと報告がありました。
上司1:なに?!なぜ壁など!奴らにそんな生態があったか?!
フィ:おそらく、我々の物を真似て作ったのではと_
上司1:真似た?!我々の街まで来たというのか!
上司2:いくら近年パジテールの生息地が迫ってきているとはいえ、まだそこまで近づいてはないだろう!
上司3:荒野を徘徊している個体がスパイなのでは?
上司1:あの者たちは意思疎通ができないだろう!
フィ:壁に近づけたのかどうか、は二の次です。問題は、奴らにこんな知能はないはず。今までにない知性を持ったやつが現れたのかもしれません。
上司2:あの村長か!
上司3:あの首の長いやつかも…
フィ:もう一度村を調査し、誰が知将かを調べる必要があります
ル4:しかし村長に釘を刺された以上、下手に動くわけには…
フィ:錠だけを取っていったんだろう?ならば必ずここに来ざるを得ない。そしてもしすぐここに来るなら面白い…
上司3:なぜだ?
フィ:個体を捕えた錠だけを奪ったということは、捕縛錠と処分錠を見分けられていて、昨日の件から短時間でここに来れるなら、ここまでの道を知っている、つまり壁を作った本人である可能性が高い…!
 すると慌てた様子の隊員が報告に来る。
ル7:警備隊からの報告!街に向かって、3体のパ、パジテールが突進してきていると!
上司1:なに?!
警備隊:止まれ!止まれー!!
 警備隊に向かって、ギルス、セプト、ヒツネが悪巧みな顔で猛ダッシュしてくる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?