「おや、鈴の音がすると思ったら、タラヨウの葉が鳴っている。」
タラヨウの葉、というものがある。
つやっとした長い楕円形の木の葉で、この葉っぱの裏に傷をつけると、黒く跡が残る。
昔のひとは、この葉っぱに便りを書いて送りあった。
だから、「葉書」と言うんですよ。
ということを、以前金沢に行ったときに、ボランティアの街ガイドの方に伺った。
なるほど、葉っぱに書くから葉書かぁ。
なお、切手を貼ればちゃんと「ハガキ」として送れるんですって。
途中で崩れたりしないのかな?
たしかにしっかりした葉っぱではあったけど。
青山美智子著 『猫のお告げは樹の下で』(宝島社、2020)
青山さんの本を、最近読むようになった。
普通の人たちの日常を綴ったオムニバスで、そこにちょっとしたファンタジー、いわゆる「エブリデイマジック」が組み合わさって、人生がちょっとだけ上向きになるような、温かみのある作品をたくさん書いている作家さんだ。
こういう本には「読みどき」というのがあって、気分がクサクサしているときには「けっそんな都合のいいことあるわけないじゃん」とケチをつけてしまうので、よろしくない。
ちょっと疲れていて、他人のちょっとした優しさが欲しいときなどに向いている。
ように思う。
この本は、とある神社にあるタラヨウの葉っぱで、不思議な猫からお告げをもらった人たちの物語だ。
みんな普通のなんてことのない日常を送っているけれど、そこには悩みもあり葛藤もあり、些細な幸せも楽しみもあって、でもそれは別に大した出来事ではなくて、でもそういう大したことのないことが、なんだかんだで大切なのだと教えてくれる。
読んでいてすーっと疲れが抜けていく感じ。
そういう本が必要な時って、ありますよね。
もし日常にちょっとだけ疲れているようなら、こちらをどうぞ。
ちなみに、めちゃくちゃ疲れている時はクリームたっぷりのケーキを食べて早く寝てください。
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