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採用人数減少で東京都採用試験を受けるか迷っている方へ

お疲れ様です。

先日、東京都の採用人数が発表されました。今日はこれについて思うところを書いていきたいと思います。

1 はじめに

主な区分の増減として

1類A採用試験   区分    令和3年度 令和2年度 増減
         事務      20人   63人   -43
1類B採用試験   行政(一般方式)  85人    265人   -180
                         行政(新方式)         25人         90人     -65

かなりの大幅減ですね。昨年以前よりは厳しい戦いになると思います。

採用人数が多いかもしれない特別区にしようかな・・・と思っている方もいるかもしれませんが、同じような理由で東京都ではなく特別区にした私の経験からそれはお勧めしません。

2 仕事内容や人事異動が大きく違う

東京都と特別区では仕事の範囲、異動のシステム、予算規模まで大きな違いがあります。また、東京都は政策連携団体に株式会社(東京水道、多摩都市モノレール、東京臨海高速鉄道、東京臨海ホールディングスなど)も多く持っているので、純粋な公務員以外の仕事もすることができる機会が多くあります。


異動の件ですが、東京都では(私がいた時は)基本的に3年で異動でしたが、区役所は各区によります。5年目も6年目も同じということもあり得ます。私がいた区役所では新規採用から5年、6年目も同じ部署というのが結構見受けられました。
私は1年目でそれに気づき、そのような運用をされると今後のキャリアの足枷になると考えたので、区役所に入庁して2年目で東京都採用試験を受験し、東京都に転職しました。

※東京都では局をまたぐ「局間」異動がありますが、頻繁におこなわるものではありません。私の周りを見る限りの印象ですが、基本的には管理職にならない限りは、採用されたA局→主任試験合格後にB局→課長代理昇任時にC局にいくかもしれないがA局に戻ることもあればB局に残って昇任することもある、という感じが多いようです。管理職試験に合格すると局間異動が多いようです。主任試験前に局間異動をすることもあり、1級職の局間異動と呼ばれますが、人数としてはかなり少ないです。(私は司法試験に合格して主任試験合格前に希望していた分野を扱う局に異動しました。)

区役所は特別区人事厚生事務組合(特人厚などと呼ばれることもあります。)が「採用」事務を一括して行なっていますが、基本的には各区に採用された後は、各区の人事ローテ次第(特人厚による管理職試験除く)のような気がします。
区ごとに予算も人材育成に対する考え方も違います。区役所も説明会が行われますので、その点も聞いておくのが良いと思います。ベストは現職に聞くことですが。

東京都志望の方が採用人数の減少により区役所に志望を変えるといった場合には、今後30年以上働くことを考えると、自分のやりたいことが何かを慎重に検討した方が良いと思われます。

3 東京都を回避する選択の場合

何としてでも就職するほかなく、受験の年齢制限に余裕があるのであれば、とりあえず特別区という考えも合理的であるとは思います。私自身、特別区在職中で入庁2年目に東京都一類A・Bを受けて両方合格しましたので、特に転職で特別区にいたことが不利になるということはないでしょう。
なお、特別区から東京都に転職する場合、年金や退職金だけでなく職員番号までも引き継ぐことができますが、東京都では特別区の在職期間が東京都主任選考の受験までの経験年数とみなされるというシステムがありません。
東京都採用試験一類AやBに合格して転職しても、昇任試験を受験する観点では、特別区に在職していた期間が無駄になってしまうので注意が必要です。

4 筆記を乗り越えれば勝利は近い?

さて、採用人数減少の影響を最も受けるのは一次試験の筆記で絞られる人数が増えるということではないでしょうか。
面接の実質的な倍率は変わりないと思います。

私が受験したのは平成22年度採用試験です。この時、私が合格した一類Aは一次の筆記試験受験が1454人、1次試験合格は207人、予定採用人数40人、最終合格57人でした。筆記は7倍、面接が3.6倍くらいですね。

昨年(令和2年度試験)をみてみますと、
一類A  受験者638  1次試験合格164 最終合格79
一類B  受験者1626 1次試験合格776 最終合格352(※一般方式)

ですね。どうでしょうか。面接に呼ばれるのは2倍程度と思われますので、一類AもBも実は一次試験の筆記試験の方がかなり大事になる可能性が高いといえるのではないでしょうか。昨年は採用人数63人で最終合格79人、265人で352人合格だったようですね。面接を受験できるのは採用予定の2.5倍〜3倍程度あたりかもしれません。

なお、採用案内を見ると1次試験と2次試験の総合成績で合否が決まるとありますね。一次試験については、「すべての科目の成績を合わせた総合成績により」と記載されていますので、教養試験も含まれているようです。1次試験では1点でも多く稼ぎたいところです。なお、配点は記載されていませんが、筆記に限ると教養論文が一番配点が高いと思われます(※これは私の主観です。ただ主任試験でも管理職試験でも課しているタイプの試験科目であり、専門試験と同一配点という可能性は低いでしょう)。
なお、他県や政令指定都市の採用試験の傾向から面接試験の配点は筆記の等倍かそれ以上の配点と思われます。

5 教養試験をしっかり対策するのがお勧め?

専門試験は構成や内容の正確性に気を配るのが良さそうです。
教養論文は問題文に資料があると思いますので、その資料をうまく使えるような準備をしておくのが大事でしょう。
1 予め都庁の現行政策を抑え、政策の背景にある原因を考えておく。
2 本番では、資料から(書きやすい)課題をピックアップする。
3 ピックアップした課題→その原因→その解決策→解決策の効果という流れを意識して論文を作成する。
このような感じで考えておくと、対策していない受験生をリードできるのではないでしょうか。意外と教養論文はなんでも書けそうですが、準備している論文・整理された論文と適当に感覚で書いた論文は、採点者から見ると大きな差がつくはずです。試験当日まで決して気を抜くことなく最大限の準備をしましょう!


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