オランダを選ばなかった理由

*2020年にリライトしています。オリジナル記事は2015年に書きました。

私たちがオランダ移住をやめた理由としては、以下の二点に尽きます。

◎オランダ語の壁

◎子どもたちの日本語、日本文化の習得が中途半端になってしまうという懸念

確かにオランダはとても暮らしやすい国で(冬の寒さと暗さはけっこうしんどいらしいですが)平均的に働く時間も日本よりずっと短い。イエナプラン校しか見学はしていませんが、それ以外の学校もかなり個性重視で自由度が高く、教育環境はやはり進んでいると感じました。

英語は確かに通じます。移民も多く、多様性にも富んでいる。

ただ、オランダ語がわからないと、やはり外国人なのです。公園の遊具の使い方の張り紙や学校からのプリントなど、やはりオランダはオランダ語が公用語。こうして書くと当たり前ですが、この認識は実際に行く前はかなり甘かったです。

そして、子どもたちは確実に日本語の習得が大変になるだろうということ。セミリンガルとして成長することを考慮してもオランダに住みたいか。特に2歳の次男に関しては、話せても日本語の読み書きができない日本人になってしまう懸念もある。

夫は、現地の日本人学校を見学し、校長先生の話を聞く機会に恵まれたのですが、やはり「決断は早まらずに、よく考えなさい」とアドバイスをもらって来ました。ご自身が、お子様の日本語教育には本当に頭を悩ませていらっしゃるとのことで「移住を決めるのは親の勝手だけれど、子どもの人生をきちんと考えなさい」との助言を頂いてきたのは、正直考えるきっかけとなりました。

でも、決定打になったのはその後、友人が主催してくれた夕食会で現地で暮らす日本人のママたちのリアルトークを聞く機会に恵まれたこと。皆さんそれぞれに「言語は大変」と口をそろえておっしゃっていました。言葉がわからず、子どもの宿題を見てあげられないのもキツイとのこと。

移住、やはり諦めなくてはならない物もたくさんあるのです。

そして、滞在中にあったアムステルダム発特急車両で起きたテロ未遂事件は、やはりこの決断を後押しする結果になったと思います。ちょうど、その線でベルギーまで行こうかと思っていた矢先。事件が起きて、私達も遠出は避けることに決めました。

そして、親である自分たちの人生についても考えさせられました。

おかしなことなのですが、「子どもの幸せ度第一位」の国オランダに来て感じたのは、「大人の幸せが大前提」ということ。

私と夫、いつかは教育の分野で社会に貢献できたらいいなと思っています。オランダに住めれば仕事は選ばずなんでもやります!という決心がつかなかったのもあります。

相対的にいろいろなことを考えて、やはり国内かな、と決めて帰国しました。

本当に最後の最後まで、ああ帰りたくない、とブツブツ言ってしまうくらい素敵だったオランダの夏でした。

そして、ぼんやりしていたのでしょう、スキポール空港のゲートにリュックサックを忘れてきてしまいました。涙

飛行機に乗ってからないことに気づき、ゲートまで探しに戻るももう何もなく・・。隣にいらした日本人のビジネスマンぽい方が、親切に教えてくれました。「待っている間にセキュリティのおじさんが持って行っちゃってたのを見ました」と。

せめて待ってほしかった、搭乗まで。。。(結局このリュックサックは戻ってきませんでした。帰国してから空港に連絡をしたのですが、「見当たりませんね」と冷たいPC画面に冷たいメールが)

どこまでも自己責任の国、オランダ。どこまでも過保護文化の国、日本。多様性の国、マレーシア。自然豊かな日本。

それぞれのいいところ取りで子育てしていく、そんな虫の良い話はそもそもないのかもしれないな、と私たちふ夫婦が気づき始めたころでした。

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