八ッ場ダム湖

台風19号で八ッ場ダムが実運用していたら異常洪水時防災を行う事になるのか

日本ダムアワードがヤフーニュースに載る

どこで捕捉されたのか、日本ダムアワード2019で八ッ場ダムがダム大賞を受賞した事が上毛新聞で取り上げられヤフーニュースに載ってしまった。地元紙で取り上げられる事は過去にもたくさんあったのだが、影響力の大きなWEBメディアであるヤフーニュースに取り上げられたのは初めて。ダムアワードで八ッ場ダムのプレゼンをした僕自身がとても驚いている。

同事務所は「ダムの役割や効果の周知を目的としたアワードで大賞を頂いたことは光栄。受賞にふさわしいダムとなるよう、完成までしっかりと取り組みたい」としている。

事務所からコメントまで頂いて。メディアに取り上げられて、ダムの効果の周知に何かしら寄与できたので僕としては目標を達成してしまった。

ところで、一部から「実運用していたら緊急放流をした可能性がある」という声が聞こえてくるので、折角だからダムアワードのプレゼンでも使った簡単な検証を残すことにする。

台風19号における八ッ場ダムの実際の対応

八ッ場6

こちらが台風19号で実施した八ッ場ダムの対応。河川維持流量である4㎥/sを常時放流しながらダムへの流入量を全量貯留した。ピークでは2,500㎥/sを貯め、総貯留量は7,500万㎥となり利根川水系のダムで最多量の洪水を貯めた。

八ッ場ダムが規則通りの操作をした場合

八ッ場7

こちらは八ッ場ダムが実運用を行っていた場合の想定。前提条件として、関東地整所管の全直轄ダムは洪水期と同様の対応+事前放流の実施が関東地整から指示されていたため、八ッ場ダムでも同様の対応をしたと仮定する。

八ッ場ダムが規則通りに操作を行った場合の放流量
・洪水初期は200㎥/sの一定量放流
・流入量ピーク後に放流量を1,000㎥/sへ増量
・流入量が1,000㎥/sになったら流入量≧放流量として放流量を減らしていく

この操作を行った場合、ダムへの貯留量は5,100万㎥となり洪水調節容量6,500万㎥を下回るため異常洪水時防災には至らない

八ッ場ダムが最大限の貯留操作をした場合

八ッ場ダム8

また、利根川本川の一部で計画高水位を超えていたため利根川ダム群では特別な操作を行い放流量を減らして下流水位低減に努めていた。
それを考慮し「局長指示による特別防災操作、流入ピーク後200㎥/s放流を維持」した場合の想定も。

17時間×200㎥/s放流=総放流量1,224万㎥でダムへの貯留量は6,276万㎥となり洪水調節容量6,500万㎥を下回るため異常洪水時防災には至らない

最後に

単純な計算ですが、数字も出さずに緊急放流をしていたなんて言う眉唾な話よりはマシかなと思います。水位低減効果は解析するのに時間かかるのでしばらく出てこないでしょう。専門家の方々の頑張りに期待して待ちましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?