見出し画像

【TXT考察】悲劇の預言者 チェ・スビン

今回はこの物語の終わりを知っている者「チェ・スビン」について。

彼は「預言者」であり、世界の終わりを知る人物だ。

前回同様、Questioning FilmやMVで考察していきたい。

「Questioning Film - What do you see?」

2019/01/30に公開された「Questioning Film - What do you see?」

白や青、の花に囲まれたスビンが映り、最後はモールス信号が流れて終わる。
この動画を見ていくと白や青のデルフィニウム、ジンビジウム、ヒスイラン、カマキリ、そして最後は白のアネモネが映る。

デルフィニウムとスビン
白いアネモネを持つスビン

白いデルフィニウムの花言葉は「誰もがあなたを褒める」や「可憐な瞳」といった意味を持つ。
青いのディフィニウムの花言葉は「あなたは幸福をふりまく」「壮大な心」
ヒスイランの花言葉は「上品な美しさ」
そしてジンビジウムは「飾らない心」「素朴」
ジンビジウムの誕生花は「12月5日」
スビンの誕生日である。

ヒスイランとカマキリ

途中にカマキリが映るが、カマキリはギリシャ語で「預言者」という意味。
アフリカでは「偉大な魔法使い」と言われている。

そして最後に流れるモールス信号の意味は「TOMORROW(明日)」である。

TXT作品におけるスビンの役割

TXT作品においてのスビンは「世界の終わり」を知る者であり、「未来が見える」能力がある。
そして魔法陣を書いて別世界に入ることができるが、5人一緒じゃないとMagic Islandへは行けない。

LINEマンガで連載されている「The star seekers」でのソル(スビン)の役割は弓を扱う戦士。

彼の「真名」は

「話を誰にも聞いてもらえない人」

「真名」というのはmagicIslandを訪れた際、占い師に占ってもらった時に教えられた名前であり「本当の名前」という意味で、名付けられた名前ではなく自分の持つ本質に近いものだと作中では言われている。

「話を聞いてもらえない人」、そして「預言者」と聞いて
当てはまる人物がいる。
それは「誰にも信じてもらえない悲劇の預言者カッサンドラ」である。
カッサンドラは神アポロンから予言能力を授かるが、能力を手に入れた途端に自分がアポロンに捨てられる未来が見え、アポロンからの愛を拒絶する。
それに怒ったアポロンはカッサンドラが予言をしても誰からも信用されない呪いをかけられる。
そして誰からも信じられなくなったカッサンドラは戦争が起き、自分の滅びゆく未来を知りながらも何も出来ないまま殺されてしまう…というものだ。

FrostのMVでスビンは一面が燃えている炎の中に一人立ち、木馬を眺め、水晶を覗いているシーンがある。
そのシーンで出てくるスビンの後ろで燃えている柱は「落城」、小さい木馬はトロイア王国に送られた「トロイの木馬」を表しているように見える。

カッサンドラは「トロイの木馬」で有名な、トロイアの王女である。太陽神アポロンに
見初められ、アポロンの愛人になる代わりに予知の能力を授かった。しかし、先にその
能力を受取ってしまったために、アポロンが心変わりし自分を捨てる未来をみてしまう。
そこでアポロンの愛を拒絶して逃げ出してしまった。アポロンは憤慨したが、神様は一
度言ったことを取り消せない。そこで、アポロンはカッサンドラの予知を誰も信じない
様にする呪いをかけてしまう。
時にトロイアはアカイアとの戦争真っただ中。膠着状態だった戦況に、アカイア軍のオ
デッセウスは一計を案じ、巨大な木馬を作り、その中に兵を潜ませ、トロイアに送り付
ける。当然カッサンドラはその策略に気づき、木馬を城内へ入れない様に警告するが、
アポロンの呪いのため誰も信じない。ついには木馬を城内に入れてしまい、一夜にして
陥落してしまった。

トロイアのカッサンドラより
FREEZE Original story Photo card

FREEZEのオリジナルストーリー版のトレカでは
Frostで出てくる水晶、ストーリー内で出てくる弓とQuestioning Filmに出てきたアネモネが描かれている。

また「Blue Hour」VR Ver.で公開された「仮想世界」の中のコンセプトフォトのスビンはアーチャーとレンジャー。主に弓矢で攻撃。
「The star seekers」に出てくるソルと同じジョブである。

TXT作品の中のスビンは悪夢(予知夢)を見ていたり、他の人には見えていないような描写がある。
その辺りが「誰からも話を聞いてもらえない人」とリンクしていくように見える。
それを各楽曲ずつ見ていくと…

9와 4분의 3승강장에서 너를 기다려(Run Away)

ここでのスビンは現実と別世界を繋ぐ役割をしている。

943ではヨンジュンが起こした火が原因で教室が火事になり、テヒョンとスビンが生き残る。そしてスビンはホワイトボードに扉を書き、魔法陣を生成し、別世界(夢の中)に入り込み皆ともう一度再会しようとする。
最初のシーンでテヒョンが目をつぶると回想のシーンに入る。

ホワイトボードにドア書くスビン
魔法陣を生成し中に入ろうとする

MV映像で制服を着ているシーンの部分はテヒョンによる現実で起こった事件の日の回想&現実で1人になってしまったテヒョンだと思われる。

無事5人で再会し、楽しいひと時を過ごしているうちにスビンはプールの中に別世界に繋がっている扉を見つけ、5人で入っていく。そこには大きな現実世界に繋がる扉が置かれていた。

スビンがホワイトボードに書いた扉と同じ扉

戻るかと思われたが、ヨンジュンがまたその扉を燃やしてメンバーはテヒョンを残し置いて行ってしまったため5人で戻ることはできなかった。おそらく現実世界に行けない3人にはあの扉が不要だったから燃やしたのではないだろうか。

焼け焦げているヨンジュンの持っていたキーホルダー

そして一人座るテヒョンの隣にはヨンジュンの持っていたキーホルダーが焼け焦げた状態で置かれている。「過ぎてしまった過去変わる事はなく、そのままで現実は変えられない」というメッセージなのではないだろうかと筆者は受け取った。このキーホルダーはETERNITYからヨンジュン→テヒョンへ持ち主が変わることとなる。

ヨンジュンのキーホルダーをつけているテヒョン

The Dream Chapter: ETERNITY Concept Trailer

ここでのスビンは徐々に他の人から認識されなくなっている。

最初は狭く近い距離に座っている5人だが、次第に距離はどんどん空いていく。これはおそらく離れてしまった心の距離を表している。

最初は楽しく話していたスビンも途中からメンバーに話しかけても叫んでも無視され、まるでそこに居ないかのような存在になってしまう。

モールス信号「助けて SOS SOS」

そしてスビンがアップになるとモールス信号が鳴る。その意味は「SAVE ME SOS SOS(助けて SOS SOS)」である。だがそのSOSに気付いてくれる人は誰もいない。

透明の箱に閉じ込められるスビン

自ら歩み寄り近付こうとするが距離は一向に縮まらず、スビンはテーブルの中央で透明の箱に閉じ込められる。その時スビンはこう叫ぶ。「俺のことが見えない?」「聞こえない振りをするな!ふざけるな!」「全部お前らのせいじゃないか」虚しくもその言葉は誰にも届かないまま暗くなり映像は終わっていく。

「全部お前らのせいじゃないか」というのは火事の事か?
それともMagicIslandでトゥクソム駅から面白半分で秘密の島に行ったことなのか?

もしかすると、スビンが学校のプールで現実世界に続く扉を見つけなければヨンジュンがそのドアを燃やすことは無く、皆で現実世界に帰れたのかもしれない。

そしてこのアルバムの時に出されたコンセプトフォトは2形態。
"PORT"と "STARBOARD"の2種類になっておりどちらもInstagram風になっている。
どちらにも画像にタグがつけられてありスビンの部分にはこのようなタグがつけられている。

"PORT"
「invisible」→見えない
"STARBOARD"
「understanding」→理解した

バージョン別で書いてある言葉は異なる。
これはトレイラーやPORTバージョンコンセプトフォトで見えていなかったスビンが「自分が周りに見えていなかった事を理解した」ということではないだろうか。

ETERNALLY

ここでのスビンは予知夢を見て、自分達の未来の終わりの光景を見てしまう。

スビンが練習室で寝ていると建物は崩れ、メンバーが血だらけになっている悪夢を見る。
目を覚ますといつもの練習室にいたが、突如激しく揺れ、5人はほんの一瞬のうちに自分の知らない別世界の記憶を見る。

我に返るとスビンは記憶の中で自分が持っていたサイコロが自分の手に握られていることに気付き「あれは夢じゃなかった」と分かる。

세계가 불타버린 밤,우린...(Can't You See Me?)


スビンがいる家に4人が遊びに来る。

ドアスコープを覗くスビン
火を消し忘れたオーブンとクッキーを食べる5人

最初は皆でクッキーを食べて楽しそうにしているがその次のシーンからはスビン、テヒョンの二人はなんだか暗い表情で二人とも孤立しているように見える。

人物認証されるヒュニンカイ
人物認証されるヨンジュンとボムギュ
暗い表情のスビンとテヒョン

二人とも笑っているシーンは少なく会話をしているシーンも少ないのだ。ヒュニンカイやヨンジュンがスビンに触れている描写があるので見えていないわけではないが、943の後に続く物語なので火事でいなくなった3人は現実に存在していなくて幽霊や幻覚に近い存在であり、火事のあと残ったスビンとテヒョンの間には溝ができてしまったため、この二人は終始暗い顔をしてるのではないだろうか。

そしてもう一つ、ここでのボムギュは少し攻撃的で、テヒョンの事を殺めているととれる描写がある。

ベッドシーツを被せテヒョンを殺めようとしてるボムギュ
「嘘をついています」のハンドサインをするスビンとテヒョン

これは現実世界に行けないボムギュが皆で一緒にいたいがために「道連れ」をしようとしたのかもしれないし、もしくはこの曲の振付で「嘘つきポーズ」をしているのがスビンとテヒョンなので、ボムギュはその嘘が何なのかに気付いてテヒョンに手を出したのかもしれない。
この二人がついた嘘に関しては何も答えが出ないまま夢の章が終わってしまったので未だにわからないままである。

동물원을 빠져나온 퓨마(PUMA)

この曲は動物園から抜け出したピューマが自由を渇望するテーマなので
ストーリーには直接関わって来ないかもしれないが、気になる点があるので書き記していこうと思う。

ボムギュに放たれる大量の矢
矢と炎に囲まれるボムギュ

ボムギュが一人寝ているシーンでは大量の矢がボムギュを囲うようにして放たれる。
これを打っているのはアーチャーである、スビンなのではないか?
MVの中では2人が対峙しているシーンもあり、先が見えているスビンにはどの世界線でも災いを起こすのがボムギュだと分かっていて、ボムギュを抑制するために矢を放ったのではないかと考えている。

対峙するボムギュとスビン

これに関してはあまり話は繋がっていないかもしれないので「そんな考えもあるんだな」くらいで留めておいてほしい。

そして最後にスビンの役割について考えると、スビンは未来が見える者であり、予知夢を見ながらも「最近変な夢を見る」と周りに言うだけで具体的に話したりする事は無く、躊躇している様子が見られる。

デビューアルバム The Dream Chapter:STARのトレカでは「君と僕が一緒ならきっと未来は変わる。そう信じてる。」と書いてあり、「きっとあの夢には何かある」「未来を変えなきゃいけない」と思っていても"こんな夢の話をしても信じてもらえないだろう"と思い躊躇しているんだろうと思う。

「君と僕が一緒ならきっと未来は変わる。そう信じてる。」

こうしてスビンが自分達の結末を他のメンバーに共有し、未来を変えなければいけないと伝えて協力し合わない限りはスビンが何度も魔法陣を生成して、たとえ様々な世界線に行ったとしてもこの物語については進めずに同じことを繰り返すままなのではないかと思っている。