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【窯まつり・絵付】の道行

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窯まつりに向けた若い絵付師達と上出惠悟とのやりとり。キーワードは「伝えること」、「歴史と繋がること」、「長右衛門窯らしさ」、そしてラストには「なぜ手で作るのか」という大きな問いに…
本マガジンは「上出長右衛門窯の道行」からの抜粋です。月額500円/初月無料の「上出長右衛門窯の道行…
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#絵付師

【窯まつり・絵付】の道行#5「普通ができない」

こんにちは。上出惠悟です。 実は窯まつり限定品としてこれまでお客様からの要望が最も多かったのは丼鉢でした。うどんやラーメン、天丼、親子丼などを食べるためのものです。窯まつりで売り場に立っていると「丼ってないの?」というお声を何度も聞きます。そんな声を頂いていたにも関わらず、これまで作って来なかったのは上出長右衛門窯が割烹食器を作ってきた窯元だからです。ご存知の通り、今では「割烹」という料理人に向けた食器だけに留まらず様々なご提案を積極的に行なっていますが、そのルーツは窯のア

【窯まつり・絵付】の道行#4「伝えること」

こんにちは。上出惠悟です。 金沢に上出長右衛門窯のお店(その名も金沢長右衛門)ができたことで、これまで以上に私達のことを多くの方に知ってもらう機会が増えました。また外国の方も驚く程に多く旅行されているので、コミニュケーションの仕方も今後変わって来ることを実感しています。これまで日本の方に対しては「九谷焼のことを知っている」もしくは「聞いたことがある」という大きな前提がありましたが、外国の方にはそれがありません。オーセンティックなものを作り続けて来たのであれば然に非ずかもしれ

【窯まつり・絵付】の道行#3「窯まつり限定品のデザイン」

こんにちは。上出惠悟です。 ちょろちょろと田圃に水が張られるといよいよ窯まつりがやって来ます。毎日寒暖の差が激しく気候がいつもと違う感じがしますが、まつりが開催される5月2日から5日は過ごしやすいお天気が続くようにと願うばかりです。 窯まつりの企画や運営は窯まつり実行委員が進めますが、直前にもなれば窯のスタッフ総動員で、お客様を窯へお迎えする準備をします。大変な作業ですが、職人たちはどこかわくわくと楽しそうな雰囲気です。春のおまつりは夏や秋とは違う喜びがある気がします。今

【窯まつり・絵付】の道行#2「なぜ人の手で作るのか」

こんにちは。上出惠悟です。 2019年の夏にEN TEAの丸若裕俊さんに「楽しい会」だと連れて行かれたお店で私は2人と出会いました。場所は白金にあるお店。 1人は千葉麻里絵さん、GEM by motoというお店で長年お店に立ちながら、全国の日本酒の蔵元を巡り日本酒にまつわるプロデュースや書籍の出版などを精力的に行っている方です。最近、独立されてEUREKA!という素敵なお店を西麻布に昨年の11月にオープンされました。 そしてもう1人が山下貴嗣さんです。2010年頃より世

【窯まつり・絵付】の道行#1「心の絵」

こんにちは。上出惠悟です。 2018年のパリ、ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)で私は1枚の油絵に目を奪われました。それは「La quai de Paris in Rouen」という絵で作者はアルベール・マルケ(1875年-1947年)。大きな橋のかかった埠頭を描いた風景画でした。日頃絵を見て、巧いと思うことはあっても、好きだと感じる絵に出会うことはあまり多くありません。私は何と良い絵だろうとしばらく動けなくなりました。 日本での知名度はそれ程大きくなく、この時初めて