地獄の入り口は、大体ぬかるんでいる
子供を産んで、6年経った。下の子が産まれて4年。
子供が3歳になると、手がかからなくなると言われていて、私の場合もそうだった。
5歳と3歳の息子たちは、赤子のそれとはまた違うゾーンに突入し、親は手を出すのではなく、見守りを求められるようになる。
まあ、そもそも全然話を聞いてくれないので、日々私は彼らを生ぬるく見守る事しか出来ない。もしくはぶちぎれるしか、方法はない。
そして、次男が3歳になる2019年、私の視界はくそほど広がる。
見上げたそこは快晴で、この6年見てこなかった美しく新しいものであふれていた。
最初に気になったのが「King Gnu」。
若者から熱い支持を集め、アイドル的な人気すらある4人組ロックバンド。
一回も、しゃべったことないタイプの人達。
たぶん、クラス同じでも、話さないタイプの人達。
電車で、前に立たれたらちょっと、嫌かもしれないくらいの人達。
35歳の元ジャニオタは視線をあげた先にいた、その人たちが気になったわけですよ。
井口くんの声を生で確認したい。あとできれば顔の小ささと肩幅も確認したい。
新井さんのベースを理解したい。
勢喜遊のドラムを体感したい。
常田さんの音楽を生で聞いてみたい。
25年ジャニオタですから、現場はハードル高くないはずなのに、
フェス。フフフフエスは、行ったことないから。フフフフフェスはさ。
バンドは絶対勝手がちがうから。不安がいっぱいの中で、
なんでか同じ沼に落ちていた中学からの友人と調整がつかず、
わたしの他の友達も、大体35歳だから、もう大体落ち着いてるから。
フフフフフェスいかないから。
一人で行ったのだけども、行ってみたらどうってことなかったんだよ。
35歳は、怖いものもなくなってたんだわ。
戦線を離脱している6年の間に、私は性愛の対象としての現役を知らぬ間に終えていた。2軍で終えた現役時代だったが、出来る限りの事をしたと、納得したいと思う。@「虫からNiziプロ回ってもう一回、虫」参照
結果、怖いものが無くなっていたと、フフフフフェスに参加して知った。
念願のヌーも、結構前で見たと思うし、普通にガチ初心者の私も紛れてたと思う。
周りの人も普通に、わたしと変わらない。
むしろ、ヌーさん自体も、普通に人間で納得しました。
生で聴けて本当によかったという思いと、物足りなさと、湧いてくる妙な自信。
30代は結構楽しいかもしれないという予感。
結局、King Gnuはコロナ禍で取れていたライブのチケットがふいになり、興味は良いところで止まり、新譜は確認しようくらいの距離感のところにいる。
そして来た2020年、緊急事態宣言が出され、家にこもるか、息子らに付き合い昆虫を取っているかしているうちに、わたしは次の用意されていた新たな沼に華麗に落っこちる。
韓国アイドルの沼へ、ようこそ。
ここは地獄。でも、それの何が悪い。
地獄の入り口は、大体ぬかるんでいる。
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