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【日記】常に脇を開いたまま_220703

予報によれば相変わらずの猛暑。どうにかこうにか早めに家を飛び出し、東京駅から特急列車に乗った。千葉県は勝浦へ行くことにしたのだ。

なんでも勝浦は冷たい海風が吹いてくるおかげで夏でも涼しく、観測史上猛暑日になったことが一度もないらしい。この日の予想最高気温は26度で、東京よりも10度近く低い。ホームに降り立つと、冷房が利いていたはずの電車内とほとんど気温差が感じられず、さらに扇風機でいえば「中」くらいの風が常に吹いており心地いい。改札を出るより先に「来て良かった」と声に出た。

風を感じるため常に脇を開いたまま歩き、終わりかけの朝市(後で知ったが観光名所らしい)やら港やらを通りすぎて岬の公園がある方へ。道中にいくつかトンネルがあったのだが、これが日向よりもさらに1段冷えるため通るたびに気分が高まる。皆も勝浦へ行ったらまずはトンネルを体感すべきだ。

公園では海を見ながらごろんとする。東京にいる限り「日向ぼっこ」ができるのは早くて再来月だろうと思うと、ただ寝転んでいるだけでも充実した心持ち。海に浮かぶ小島には古びた鳥居が立っており、きっとなにか謂れがあるのだろうとは思うがよくわからない。なにせ今日は「涼しい」以外の情報を何も知らずにここまで来ているのだ。

市街地に帰るとそろそろお昼時。町の定食屋さん(的な雰囲気でその実いかにも観光客に狙いをつけている)みたいな店はどこも行列を成していて入れなかったので、たまたま空いていた寿司屋へ入った。寿司ネタは見るからに鮮度抜群でございという感じで光り輝いており、さらに寿司のイデアを失うギリギリまで分厚い。今回はさらに煮魚やらなめろうやら「寿司屋の厚焼き玉子」やらがついたセットを頼んで地酒を満喫した。後で調べたところ、近所にはより評判のよい系列店もあるようなので、次はそちらにも行ってみよう。

品質とボリュームを鑑みれば破格とも言えるレベルのお代を払って店を出た後、目的もなく町を散策していると、温水プールがあるタイプのスパを発見。完全にハレの日のテンションだった自分は、水着を買って小走りでプールへ飛び込んだ(あくまで比喩表現であり、公衆浴場での飛び込みを推奨するものではありません)。ひさびさに平泳ぎなどしてみたところ、ひとストロークごとにどこかしらの関節がバキバキと音を立てる。へろへろになる度に真珠風呂やら日本酒風呂やらで体を休めたり海風を浴びたりした。ゴキゲンな時というのは、家族連れからの冷たい目線もさして気にならないものだ。

その後は町をぶらついたり、午前中とは別の公園でごろついたりなどの充実した時間を過ごした。事前に下調べなどをしていれば、徒歩では行きにくい景勝地なり名店なりに行くこともできたのだろうが、ノープランだとさすがにそうはいかない。しかしこの時点ですでに「涼しいことはそれだけでレジャー」という境地に達していた自分は、何ら気後れすることなくそこいらを歩きまわったりベンチでアイスを食べたりした。スパにいる間に気温のピークは過ぎ去っており常に最高の気分である。

夕方の特急で東京に帰った後は、誘われるがまま串カツ屋へ。夜中の東京は真っ昼間の勝浦よりも暑く、アルコールの影響もあって昼間の分を取り返すレベルで汗をかいた。

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