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写真のキャプションってすごく大事4

サバンナの脇役に目を向けるとサファリが楽しくなってくる
前回のブログでライオン写真のキャプションの話をしましたが、もう一枚、チーターのお話です。

マサイマラでチーターのハンティングに遭遇!何度見ても興奮しますね~♪

さあ、どんなキャプションをつけようかなぁ。

「俊足を誇るチーターの狩りは僅か20秒で片が付く。獲物はまだ生後数週間のガゼルの赤ちゃんだ。サバンナでは日々、生と死の営みが繰り広げられている」
↑うーーん、こんなキャプションはありがちで、ありきたり。そもそも、

なぜ私はこの瞬間にシャッターを押したのか。



アフリカに通い始めた頃はチーターのハンティングなどの凄いシーンに出会えると興奮しました。餌食となったガゼルは可哀そうだけれど、チーターだって生きていかなくてはいけない。食べなくてはならない。もしかしたらチーターには、お腹を空かせた子供がいるかもしれないのだ。それが野生の世界なんだ。なーんてアフリカまでやってきた醍醐味を感じては、大自然に浸っていました。

でも……、
サファリを重ねているうちにガゼルの命の方に心が傾くようになってきました(歳かな?)。だってガゼルだってチーターと同様、必死に生きているんですよ。
サバンナの動物達について勉強し、ガゼルの生態が色々分かってきたら、ガゼルだって主役級に見えてきたのです。

ガゼルは生まれて20分もすると立ち上がれるようになります。細い脚で震えながら立ち上がろうとする間も顔を上にあげ、母親のおっぱいを探しています。生まれた瞬間から自分自身で生きることに必死なのです。
2時間もすれば歩けるようになり、やがて母親は子供のそばを離れます。まだ生まれたばかりの赤ちゃんなのに!なぜなら、


お母さんは子供におっぱいをあげるために栄養をたっぷり摂らなくてはなりません。草を食べなくてはならないのです。子供を連れていたり、群れに連れ帰るとかえって危険。チーターやライオンなどの肉食獣はまず群れを見つけ、その中から獲物になりそうな個体を見極めるのですから、小さな子供は格好の餌食です。
そこでお母さんはあえて子供から離れるのです。子供は独りぼっちでお留守番。まだ生まれたばかりの赤ちゃんですよ。安全な家も揺りかごもなく、過酷な状況に置かれるのです。チーターが近寄ってきても、ジャッカルが現われても絶対に見つからないように身を縮め息をひそめ、1人で生き抜かなくてはなりません。お母さんは1日に数回だけ赤ちゃんの元に戻り、おっぱいを与えます。

生後10日ぐらいになりしっかり走ることができるようになると、お母さんは子供を連れて群れに戻ります。子供は生まれて初めて群れの仲間に会い、これからはずーっとママと一緒です。よく頑張ったね♪
そして……、

チーターの餌食となってしまったのです。



もう一度あの写真を見てみましょう。

チーターではなくガゼルに目が行きませんでしたか?
<サバンナで生き抜くということ>
私はガゼルの命でそれを伝えたかったのです。

さぁ、上記のガゼルの赤ちゃんのストーリーを100文字のキャプションで書かなくてはならない。む、難しい。
キャプションって難しいですよね。

ちなみに……話はここで終わりません。こんなストーリーを知ると、更に欲がでてくる。
ガゼルの赤ちゃんがたった一人でお留守番する姿を見てみたい!
・赤ちゃんを奪われたお母さんガゼルは、このときどうしていた?
・インパラの赤ちゃんも同様に独りぼっちで生きるの?

あれこれ調べなくてはならないことがたくさん。
取材でケニアに行ってきま~す♪ という楽しそうなサファリは、まだまだ先なのです。

写真のキャプションってすごく大事1
写真のキャプションってすごく大事2
写真のキャプションってすごく大事3

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