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クリムト展/自立した女が好きなんだ

noteを始める前に観たクリムト展のふりかえりです。
子どもの頃、家にあった薄いソフトカバーの美術全集の中で、特に好きだったのがクリムトとシャガールでした。
クリムトの不思議な模様や、何ともいえない金色、恍惚とした女性の表情にときめいたものです。わりとませた子どもだったかも。

今回のクリムト展は、没後100年の記念ということで、「女の三世代」「ユディトI」「ヌーダ・ヴェリタス」「ベートーヴェン・フリーズ(原寸複製)」など、代表的な大作も揃った見応えのあるものでした。
絵だけでなく、弟ゲオルクによる額もすばらしく、見入ってしまいました。

強い女たち

クリムトの描く女性たちはとても官能的ですが、同時にとても強そうでもあります。頬骨やえらの張った顔立ち、がっしりとした骨格。そして、意志を感じる眼差し。
クリムトの生涯の友、デザイナーとして自立していたエミーリエ・フレーゲもまさにそんな風貌ですね。
(「エミーリエ・フレーゲの肖像」の展示はウイーンモダン展の方で観ました。)
この自分の意志を持つ女性像に、今の私は強く惹かれます。

無敵の女神たち

今回の展示で、一番長く観たのは「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」です。
均整のとれた美しい裸身、金色の髪には花が飾られ、香り立つような妖艶な姿。しかし、この強い目はどうでしょう。こちらに向ける鏡とともに、真実を見よ、と強く強く迫ってくるのです。

「ユディト」も、引き返して二度観しました。誘惑の表情にはドキドキするけれども、これは彼女の戦略なのであって、小気味良いくらいの強さを感じます。

裸であっても、色気を振りまいても、それは誰かに媚びるためのものではない。自分の心も身体も自分のものだ、自分で生きてゆくのだ、という強く美しい女性たちの姿を堪能しました。クリムトさん、美と勇気をありがとう。
たくさんの女性と関係を持ったというクリムトですが、自立した女性を好んだのではないか、と勝手に想像します。
デッサンで性器まで描かれている女性にも、媚びやいやらしさを感じないのは、自分の身体を自分のものとして自然に振る舞っている強さが見えるからではないかと思います。

ミュージアムショップも楽しかったです。猫を抱いたクリムトのキャラクターもかわいい。
美しくて豪華な図録を買いました。

基本情報

クリムト展 ウイーンと日本1900

会場●東京都美術館
会期●2019年4月23日(火)~2019年7月10日(水)
   (7月23日~10月14日は豊田市美術館)
公式サイト●https://klimt2019.jp/

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