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考えたがりの優柔不断

少し前に、つぶやきの世界に「#名刺代わりの小説10選」というのを発見した。

名刺代わりなんですよ、そしてベストテンなんですよ。
名は体を表すではなくて、10個の小説で人を表すんですよ。

すごっ。

スクロールする手が止まらなかった。
読書好きの方々のとっておきの小説10選を、ただウオッチするだけのことが、ただひたすらに楽しい〜

たくさんの作家、たくさんの作品、たくさんの読書好き、そして天文学的たくさんの組み合わせ。
なにかの宝庫の予感しかない~

そういえば、むかしから変な習性があって、
神社の絵馬とか、ショッピングモールに置かれた七夕飾りの短冊とかを
「あぁそうなんだ~」と思いを馳せながらひたすら読む、というのが好きだったので、その発展応用編なのかも。

小説10作品ともなると、絵馬や短冊なんかよりも情報量が多く、嗜好なんぞもあらわになるわけで、ググッとその人の魂の成分に迫れる感がある。

通りすがりの見知らぬ人の、切り取られ限られた情報から、為人やら来し方やら背景やらについて、好き勝手に思いめぐらせ膨らませたりして。

そんなわけで、
さすが名刺代わり、よっおみごと~と合いの手を入れ、
パチパチパチと手をたたきながら閲覧を続ける。

見ているだけでもワクワクするんだけど、
読書アカさんたちの名刺は、わたしへのおすすめ本リストでもあるんですよね~
「宝庫」ってそういうことか。

10作品もあれば、好きな作家や作品の傾向はダダ洩れなので、ジャンルやテリトリーが近いなとにらんだ人のラインナップから、未読の作品をピックアップして、どんどん図書館で借りて読む、という画期的かつ効率のよい技を編み出したのだ。好きになる作家さんや作品に当たる確率がめっちゃ高い〜

そうして気になった作家さんのベストセラー超人気作品は予約して(長蛇の列)、書棚にあった別の作品を借りて読んでいたら、タイムリーなお告げのようなセリフが。

何かの答えを見出すのは素晴らしいことです。でも、そこにたどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそ人生と呼ぶんじゃないかと、わたしはおもうんですけれどね


なにを隠そう「わたしも10選してみむ」とてずっと考えに考えていたんですよ。
いくつかはこれ!という候補を挙げられるのだけど、残り枠を目指して大群が押し寄せ、ひしめき合う群雄割拠地獄絵図となっておりまして。
どれもこれも好きな作品なので、どれかを引き上げることも、どれかを切ることもできず。
それに「名刺代わり」というのが引っかかるんですよね〜ただ好きだけじゃない感じ…なんらかの重要エピソードが必須!自分の思考の源となるもの!的な重厚な雰囲気漂わせてますよね。

ますます決められなくなってきた。

でも。
でも、ですよ。

コレもいいよな、アレも好きだな、ソレもあったかーと好きな小説認定出しているひとときが、それはそれは好ましいひとときなので、もういいんですよ、決まらなくても。(えっ?)
好きな作品ばかりが浮かぶ本の海で、大っきな浮き輪に体を預けて漂っている、しかもずっと、もしかしたら一生、永遠にたぷたぷ、それでいいじゃないですか~10選なんて決められませんぜ。

にんまり開き直ろうとした矢先の、

たどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそ人生

そうか、これこそが人生なのか。決められなくて宙ぶらりんで中途半端で気持ち悪くて、こんな名もなきところに人生はあったのか。

青山美智子『猫のお告げは樹の下で』、楽しく読ませていただきました。




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