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風味を伝えたい。

美味しいパンを焼きたい。
常にそんなことばっかり考えている。

ハードパンと呼ばれるカテゴリは
材料も少ないし、ごまかしが効かない。

上手に焼くのは難しい。

数えきれないほど作ったバゲット

特に、バゲットに凝った時期があった。

うまくいけば、
何とも言えない良い"風味"を醸し出す。

齧った時の食感と、
鼻から抜ける香り。
今日は、ワインを飲んじゃおう。
なんて上機嫌にもなる。

そんな時、決まって思い出すのは、


生まれつきの嗅覚障害があり、
匂いが全く分からない友達。

彼女と食べたり、飲んだり、作ったり、
食べ物の話をしたりする時、
私はよく、

"風味がいい"

と言う表現をしていた。

家に帰ってから
もっと違う表現はなかったか、と
良く考えていた。

「味」と「風味」の違いは「香りを含むかどうか」という点

社会人の教科書より

そう。
風味って、香りありきの表現なのです。



パンが上手く焼けて、
部屋がパンの香りで満たされて、
胸いっぱいその香りを吸い込む。

この喜びや、高揚感を
彼女に、上手く伝えたい。

などと、
今も時々、考えてしまう。

そして、何年たっても
答えは見つからない。

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