日記 4月23日(水)
4月23日(水)
今日は大学を休んでしまった。前日の夜に酷く気分が落ち込んで、風呂に入れなかったのだ。本当は明日の一限のために、前日から色々と準備をしておかなくちゃならない。でもどうしても、前に進む気になれなかった。全部どうでもよくなっていた。結局、歯も磨かず、薬も飲まず、電気もつけたまま眠ってしまった。朝は割と早くに起きたが、落ちきった気分に変化はない。今からでも風呂に入れば一限には間に合ったが、横たわった身体と落ちきった気分を持ち上げる活力なんてなくて、ずっと布団で横になっていた。お腹が空くと、買い溜めしておいたお菓子の中から一袋、現実から目を背けるためのスマホゲームをしながらなんとか口に放り込んだ。結局買っておいた分を全部食べてしまい、自己嫌悪が一段と重くなるだけであった。
大学を休んだので、どこかに出かけたいが、風呂に入ってない不潔な体では外に出られない。風呂に入る気力は湧かないので、ひたすら布団でラジオを聴きながらスマホゲームで時間を潰していた。最近はやってなかったゲームだけど、しばらくやってると勝ちパターンが見えてくる。勝ちパターンを覚えると、どうやってそのパターンを再現するか、の繰り返しになって、どうしてもゲームが単調に思えてくる。惰性でゲームを続けながら昼頃までその状態だったが、なんとなく思い立ち、風呂に入る気になり、布団から起き上がった。
スマホで音楽を流して、風呂に入るための精神的な負荷を誤魔化す。自分は風呂に入るのが苦手だから、いつもスマホで音楽を流している。これは中学生の時に発見したライフハックで、以来風呂に入る時にスマホは欠かせなくなった。「聞きたい曲がないから風呂に入らない」という目的と手段が逆転したことも何回かある。そういうときは思いきって無音で風呂に入ってみると、案外なんてことないのだ。最近は好きなアーティストを発掘できたので、聞きたい曲がそこそこある。
・Sundae May Club/春
・Sundae May Club/魔法とシャッフルビート
・片思い/Party Kills Me
・片思い/チェイサーブルース
・片思い/V.I.P.
・ハク。/ハルライト
・坐・人間/ギンガ
・cero/Nemesis ネメシス
・ザ・シスターズハイ/天使のごめんね
などなど。音楽を流しながら、頭と顔だけ洗う。体は1日くらい洗わなくても大丈夫だと思う。人に会う予定がないから髭も剃らなくていいかと思ったけど、自分の好きな見た目の自分でありたいから、剃ることにした。髭は自分の童顔と相性が悪いのであまり生やしていたくない。周囲の人間にも不評だ。勢いで体を動かしていたら、タオルで体を拭いてる時に活動がストップしてしまった。ひたすら体を動かすことで前に進んでいたつもりだったが、急にこうなる。また、だ。これが嫌なのだ。こうなるともう何もしたくなくなる。濡れた体のまま、タオルを頭に被せてぼーっとする。何分ぐらいそうしていたかわからない。長くても、せいぜい15分くらいだろうか。顔が乾燥してきたのに気づいて、急いで体を拭いてスキンケアに勤しむ。肌に対する危機感に感謝。風呂という重労働をこなして体は疲れたが、さっぱりすると気持ちがいい。最近はまた寒くなってきたので、体が冷えないうちに服を着る。
体が綺麗になったことで、視界が少し開けるのだろう。ここで胃の調子が悪いことに気づいた。お菓子しか食べていないから当然だ。お腹も空いている。自炊はめんどくさいが、ちゃんとしたものが食べたかったので、うどんを茹でる。どんぶりに卵とめんみを入れて、茹でたうどんとかき混ぜる。ただの釜玉うどん。これくらいで自炊だなんて、鼻で笑われるだろうか。実家暮らしの自分にとっては乾麺程度の自炊レベルで十分だ。釜玉うどん、昔は母親がよく作ってくれていた。好きな味だ。卵とめんみの混ざった味に、うどんの麺のもちもちが嬉しい。めちゃくちゃ簡単だし、ちゃんとしたご飯然とはしてないが、お菓子しか食べてない身体には沁みる。体を清潔にし、空腹も満たすと、もう布団に戻る気にはならなかった。最近、古着屋で一目惚れして買った服に着替えてみる。外に出てみようか。しかし電車には乗りたくない。人の多い空間にいたくないのだ。1時間ほど家の中を歩きながら考えた末、読んでる途中の本を持って、近所の喫茶店に行くことにした。
今日は天気が良かった。風が無く、気温もちょうどいい、絶好の散歩日和だ。自分は外に出るのが億劫なだけで、歩くのは好きだ。ただ無心で体を動かしているだけでも、必ず前に進んでいる。布団でずっと前も後ろもわからずもがいてる時間に比べたら、なんて気持ちがいいんだろう。目的の喫茶店に入る。一年ぶりくらいだろうか、去年は大学が忙しくてこの喫茶店に行くほどの余裕がなかった。おそらく夫婦であろう男女がやってる、こぢんまりとした店内。壁は白いが、椅子とテーブルは焦げ茶で、小さい窓がたくさんある。レースのカーテン越しに刺してくる西陽で、どこか懐かしい雰囲気だ。店内には聖歌とメタルがミックスされたようなジャンルの音楽が流れていて、それも自分の好みだった。席について、モカジャバを頼む。このお店のモカジャバが大好きなのだ。
一時期はこの味を再現しようと苦戦したが、結局再現することはできなかった。届いてきたモカジャバを一口飲んで、一年ぶりの再会ににっこりしつつ、カバンから本を取り出して読む。
安達茉莉子『私の生活改善運動』
生活が荒れに荒れている自分にとって、読んでいて耳が痛くなる金言がたくさん散りばめられていた。
衣食住の全てに妥協を許さず、納得できるものが見つかるまで諦めない・売ってないなら自分で作ってしまうというような姿勢は素直に素晴らしいと思った。生活改善運動に挑戦して、自分なりの幸せの形を追い求める著者の姿を見てると、自分も変わりたいと思えてくる。先人たちの時代から連綿と続く"生活改善運動"という潮流に著者の文章を通して、自然と自分も参入していくのを感じる。とてもいい本だった。
本を読んでると自分も何か書きたくなって、久しぶりにnoteのアプリを起動してみる。下書きには書きかけの日記がたくさんあった。これらの二の舞にならないように、自分に言い聞かせながら書き始めた。黙々と書き、ほとんど書き終えたところで閉店時間ギリギリになったので、家に帰る。外はすっかり冷えていて肌寒かったが、気持ちは前向きになっていた。