唯一無二のアクションRPG「ドルアーガの塔」

 どうもこんにちは。

 先日Nintendo Switchにてナムコットコレクションの配信が始まりました。
今回はそちらを応援する意味も込めて収録タイトルの中から、アクションRPGの先駆け、かつ激ムズと称された作品のお話です。

ルールはシンプル、中身は超難解

 「ドルアーガの塔」は1984年にアーケードで登場した作品。
プレイヤーは黄金の騎士ギルとなり、悪魔ドルアーガを倒し、囚われたカイの救出を目指して全60階の塔に挑みます。

 基本ルールはシンプルで、フロアのどこかに落ちている鍵を拾い、どこかにある扉を開けて中に入ればクリア。
ボタンを押しっぱなしで剣を突き出して攻撃。ボタンを離すと盾を構え、正面から来る敵の呪文を防ぎます。
また各フロアには宝箱が出現することがあり、様々なアイテムを手に入れることができます。
この宝箱から入手するアイテムでパワーアップしつつ、塔の最上階を目指す、というわけです。

 …これだけ聞くとだいぶ単純なゲームに見えますが、その正体はとんでもない仕掛けに満ちた、恐るべき作品です。
宝箱から手に入れるアイテムの中には、ボスであるドルアーガを倒すために必須なアイテムが含まれています。
そしてその必須アイテムを入手するために必要なアイテムが、これまた芋づる式にいくつも存在します。
また、必須ではないが攻略には欠かせないもの、無理に取る必要はないもの、果てはマイナス効果を与えるものまで、宝箱の中身は様々です。

 つまり、どういう条件で宝箱が出てくるか、それがどんな効果をもたらすかを正しく把握していなければ、最上階までたどり着くことはできません。
そしてそれらは全てノーヒント。そう、作中で宝箱の条件やアイテムの効果は一切説明されないのです。
宝箱の出現条件は、上の階になればなるほど難解を極めます。
おまけにようやく最上階にたどり着いても、最後に今まで集めたロッドの返還とカイの救出を、所定の手順を踏んで行わなければなりません。もちろんこれもノーヒント。

 リアルタイムで敵との攻防を繰り広げつつ、過酷な謎解きを全60階に渡って行う…この強烈なゲーム性は、30年以上経った今でも色褪せていません。

アクションRPGの先駆者

 手探りで宝箱を探す過酷さもさることながら、アクション要素でも一撃死が多く、非常にシビアな難易度を誇るドルアーガの塔。
それでも今日まで語り継がれているのは、言うなればこの作品が国産RPGの黎明期に生まれたことが大きいかと思われます。

 国産RPGの先駆けのひとつである「ザ・ブラックオニキス」が世に出たのは1984年。
「ドルアーガの塔」のアーケード版はその同年に、そしてファミコン版は1985年に発売されます。
RPGの要素を取り入れたアーケード作品というと、「ワンダーボーイ モンスターランド(1987年)」や「カダッシュ(1989年)」、カプコンの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」シリーズなど色々ありますが、これらはいずれもRPGが日本で浸透した後に登場した作品。

 ファミコン版にしても、かの有名なドラゴンクエストやゼルダの伝説も登場は1986年。家庭用ハードにRPGという触れ込みで登場した作品としては、最も初期に発売されたものになります。

 剣と盾で様々な敵と戦い、アイテムを手に入れて強くなり、謎解きに挑む…今でこそ珍しくもなんともないですが、当時の子供たちにとっていかに未知のゲーム性だったかは、想像に難くありません。

 アクションRPGというジャンルがすっかり浸透した現在では、本作を厳密にはアクションRPGに含めないとする見方もあります。
たしかに攻略法も確立された今では、各階で条件をこなしていくアクションゲーム、という印象が強いかもしれません。
それでも豊富な敵キャラクター、強くなる主人公、アイテム入手で先へ進むといった要素から、個人的には十分アクションRPGの先駆者として扱ってよいのではないかと思います。

 むしろ現在とは異なるからこそ、唯一無二のアクションRPGとして、今なお数多く移植され、遊び継がれているタイトルだと言えるかもしれません。

遊ぶならどちらも魅力的

 現在ドルアーガの塔を遊ぶなら、アーケード版かファミコン版の移植がお手軽かと思います。
アーケード版はNintendo Switch版のナムコミュージアムや、PS3のゲームアーカイブスとしても販売されている、PS1版のナムコミュージアムvol.3に収録されていますね。
ファミコン版は3DSのバーチャルコンソールや、一番最初にお話したナムコットコレクションから遊べます。

 遊ぶなら断然アーケード版では? という方もいらっしゃるかもしれませんが、ファミコン版も侮れません。
迷宮が一回り小さく、敵の数も少し減っているので、アーケード版より少し難易度が抑えられています。宝箱の出し方も一部変更されていますが概ね同じです。
そしてファミコン版には、宝箱の出し方が一新された「裏ドルアーガの塔」というモードが存在し、ボリューム2倍となっています。

 もっとも、実はPS1版にも独自で「裏ドルアーガ」と「闇ドルアーガ」という、2つの隠しモードが存在します。
裏はアクションも謎解きもえげつない超高難易度、闇はびっくり箱のような驚きの展開が連続するおまけシナリオ、という感じになっています。
我こそはという方は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。ちなみに筆者は攻略情報を見ても裏はクリアできませんでした。

 お手軽難易度やチート主人公がもてはやされる昨今とはある意味真逆を行く作品。未体験の方は今までの常識がひっくり返されるかもしれません。ぜひ一度お試しくださいませ。

 それではまた。

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