時代が生んだ迷作「スター・ウォーズ:レベルアサルト」

 どうもこんにちは。

 去年末に新しい三部作も完結した「スター・ウォーズ」。
一作目であるエピソード4公開から40年以上経った今も、世界中で愛されているシリーズです。もちろん自分も好きです。

 そんな人気シリーズなだけに、スター・ウォーズを題材にしたゲームもまた数多く存在しています。
有名なところだと、名作と名高いアタリ製のアーケード版や、サソリベイダーで悪名高いナムコ製のファミコン版、大人数マルチプレイが魅力のバトルフロントシリーズなどなど…

 今回はそんな数多くの作品の中から、個人的に後世まで語り継ぎたい迷作「スター・ウォーズ:レベルアサルト (Star Wars: Rebel Assault)」のお話です。
(なお、ゲーム内容はSteamの移植版「Ⅰ+Ⅱ」に基づきます)

CGムービー+3Dシューティング

 レベルアサルトは1993年に発売されたシューティングゲーム。
MS-DOSなどPC版のほか、セガのメガCD版もあったそうです。

 ストーリーは「エピソード4/新たなる希望」…をベースにかなり脚色を施した、いわゆるパラレルワールドになっています。
例えば、主人公はルーク・スカイウォーカーではなく、彼とどこか生い立ちが似ている気がする「ルーキー・ワン(本名不明)」という別の人物。
原作のクライマックスでもあるヤヴィンの戦いが終盤に待っている点は共通していますが、そこに至るまでの話はほぼ別物です。
なんなら、途中で「エピソード5/帝国の逆襲」の惑星ホスが舞台となる場面もあります、何故。

 ゲーム内容ですが、Xウイングなど反乱同盟軍の戦闘機を操作し、迫りくる帝国軍を撃破していく3Dシューティングとなっています。
基本的にはコックピット視点ですが、後方や見下ろしなど異なる視点で展開する場面もあります。あと一ヶ所だけ生身で戦う場面もあります。

 機体の操作と言っても自由に飛び回れるわけではなく、障害物や地形を避けることができる程度なので、敵の撃ち漏らし=ダメージ、そして死に繋がります。無論ですが障害物にぶつかってもダメージです。
よってこのゲームで重要なのはただ一つ。照準を合わせ、撃たれる前に撃つ。これが基本かつ鉄則です。

 この作品のすごい所は、当時としてはクオリティの高い映像でゲームが展開される所。
これは背景をCGムービーとして展開し、自機や敵などゲームに関わる部分だけをムービーに重ねることで実現しています。
しかもオープニングやチャプター間のムービーには映画の一部分がそのまま使用されており、音楽も作中の楽曲が使われています。
もちろん今の時代からすれば画質も音質も相当粗いものですが、当時自宅でここまで映画の雰囲気を味わえるのは、かなり新鮮だったのではないでしょうか?

 今でこそ全て綺麗なCGで描くなんて当たり前になりましたが、当時は今作のようにムービーをうまく合成するか、カクカクしたポリゴンで描くかで精一杯でした。
後者の代表的な作品がナムコの「スターブレード(1990年)」。こちらは今も語り継がれる名作ですが、それはまた別の機会に。

当たらない、避けられない、まっすぐ飛べない

 ここまで聞くとなんだか面白そうに聞こえてきますが、残念なことにこの作品はそんなに甘くありません。

 先ほど撃たれる前に撃てと書きましたが、そのための照準がとにかく合わせづらい!
マウスでやってもゲームパッドでやっても、動く敵に狙いを定めるのがまず難しいんです。
一応照準を敵に寄せるとロックオンしてくれるのですが、敵が動けばあっという間に解除されるのでお気持ち程度にしか機能していません。

 さらには隕石などの障害物。これもどこへ避けるのが正解なのかまた分かりにくく、避けれたと思ったら当たってたなんてのがザラです。
なにせ照準と自機の移動が連動しているので、撃つのに夢中になっていると激突というのがしょっちゅう起こります。

 極めつけは後方視点でのシーン、機体がどこにいたら地形と衝突扱いになるのかが分かりにくい、ものすごーく分かりにくい!!
おまけに、映像に合わせて機体は上下左右と勝手に流されていくので、常に流れる方向を意識しながら、極めて繊細な操縦を行わなければなりません。
少しでも操作を焦ればピンボールのごとく機体が地形の間を飛び跳ね、瞬く間に情けない墜落シーンが画面いっぱいに広がります。辛いです。

 この理不尽とも感じられるゲーム性のおかげで、序盤の飛行訓練から既に難易度が高く、惑星ホスでは正しいルートを選ばないと延々出られない洞窟もあり、最後のデス・スター戦はそりゃもうすさまじい難易度となっています。
パスワード式のコンティニューはあるものの、数チャプターに一度しかパスワードが出ないため、なかなか次のパスワードに辿り着けず辛いシーンを延々とやらされる…というのも珍しくありません。

 一応難易度がEASY, NORMAL, HARDの3つから選べますが、EASYですら難しいのでそっから上を選ぶ理由は一切ありません。やるならEASYで遊びましょう。

「インタラクティブ」という時代の中で

 この作品が出た時代はパソコンや家庭用ゲーム機でCD-ROMが普及し、(当時としては)綺麗なCGや実写映像とゲームを融合させた作品が世に送り出されていました。
今作が出てから程なくしてプレイステーションやセガサターンが登場し、その傾向はさらに加速することとなります。
それだけCDという媒体や映像技術の進歩に無限の可能性を感じ、今までにないゲーム体験を追い求めた人が多くいた、という事でしょう。

 ただ、当時を知る人ならご存じかもしれませんが、美しい映像やアニメーションなどにリソースを集中させたあまり、肝心のゲーム内容が煮詰めきれずすっこけた作品もまた多く存在します。

 すっこけたかはともかくレベルアサルトもその一つで、上記のアプローチで映画の雰囲気や迫力をそのままゲームに持ち込んだはいいものの、当たりにくい照準とやたらぶつかる障害物は、あまり褒められるゲーム性ではありません。
3Dシューティングとして敵を撃つこと、避けることにストレスを感じるのはやはりマイナス要素かなぁと。

 これは続編であるレベルアサルトⅡでもあまり改善されておらず、それどころかダイナミックなシーンを重視して難易度がさらに上がっています。
狭いトンネルや秘密基地への突入など、ロマンをくすぐるような展開は大変熱いのですが、地形やトラップがまた陰険で…
幸いこちらには難易度を大幅に抑えたBEGINNERモードがありますが、そこから上の難易度はⅠと同等かそれ以上になっています。

 ゲーム性に難はあるものの、映画のような映像と迫力を目指したこの作品は、個人的には好きな一作です。
デス・スター戦は4つのチャプターで構成される長丁場。緊張感の高い戦闘と最後に待つトレンチランは、やはりファンなら間違いなく盛り上がれるシーンですし、Xウイングのパイロットを堪能できる最高の瞬間です。
問題はそこに辿り着くまでが大変険しい、という所ではあるのですが…

見るか、それともやってみるか

 レベルアサルトは昔の作品ですが、SteamでⅠとⅡをセットにした移植版が発売されています。
高いスペックを要求されるわけでもないので、最近のPCであれば問題なく動くでしょう。値段も1000円ぐらいとお手頃です。

 「難しい作品はつらいなぁ…」という方には、最後にYouTubeのプレイ動画を貼っておきますので、気になった方は是非どうぞ。
あなたのスター・ウォーズの世界が、ちょっと広がるかもしれません。

 それではまた、フォースと共にあらんことを。


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