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硬派を貫く隠れた一品「デルタジール」

 どうもこんにちは。

 唐突ですが、自分は「トライアングル・サービス」というメーカーのゲームが結構好きです。
規模は小さいですが味のある作品を作っており、個人的に応援しているメーカーのひとつです。
最近だと「タッピングスキルテスト」がゲーセンで稼働していますね。その名の通りタッチパネルの操作技術を競う、サクッと楽しめる良い作品です。

 今回はトライアングル・サービス作品の中でも一際硬派なSTG「デルタジール」のお話です。

シンプルにアイディアをひとつまみ

 デルタジールは2002年にアーケードで登場した、縦画面・縦スクロールシューティング。
実を言うと、当時は「G-STREAM G2020」という全く違うタイトルでした。
その後Xbox 360の「シューティングラブ。10周年」で移植された際に現在のタイトルとなり、今に至っています。この辺りについてはまた後ほど。

 内容はシンプルな操作で楽しめる、ド直球の縦シューです。
ボタンもショットとボム(あと設定で追加できるショット連射)だけとすごくシンプル。
攻撃方法はこのショットとボムに加えて、画面下のカウンターが一定以上溜まると使用できるブラックホール弾があります。
ショットボタンをタメ押しで発射、着弾すると敵弾を得点アイテムに変換するブラックホールを展開します。
内部に入れば即席の安全地帯になるので、攻略には欠かせない武器ですね。

 あとこの作品、パワーアップが少し特徴的です。
パワーアップアイテムはワイド(赤)、ミサイル(緑)、レーザー(青)の3種類があるのですが、10個あるスロット内であれば自由に組み合わせて装備することが出来るんです。
全部組み合わせるもよし、ミサイルいっぱい撃ちまくるもよし、プレイヤーのスタイルに合った装備で楽しめます。
…ただ、本気で攻略するならおすすめは赤一色です。連射と組み合わせることで、大体全ての場面に対応できちゃうんです…

むせるほどドット絵とメカの世界

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 この作品の魅力は、なんといっても緻密なドット絵によるメカ尽くしの世界観でしょう。
ドット絵によるデザイン自体は現在でもインディーズの作品などで多く見られますが、デルタジールのきめ細やかなメカデザインはとてもカッコよく、当時の高い技術力を見せつけてくれます。

 陸海空の全てが舞台となっているので、出てくるメカも戦車・艦船・戦闘機と様々。ボスも巨大で迫力あるものが数多く登場します。
ついでに言うと、個人的には自機のデザインもなかなか好きです。縦シューで横幅な自機ってなかなか無いのですが、当たり判定を小さくして思い切ったデザインに仕上げたのが面白いなぁと。
翼も実は可動式で、出撃シーンでは折りたたまれた状態から展開する様子が見れます。芸細です。

 自分は硬派なデザインでなければ受け付けない!という人ではありませんが、ここまで濃ゆいメカのドット絵は純粋にカッコいい! デルタジールはそんな世界観を存分に堪能できる一作だと思います。

遊ぶたびに展開が変わる!?

 この作品は全7面(1周ALL)なのですが、3面と5面が2つに分かれており、前の面をクリアした際に自機を待機させる場所で行き先が変わります。
例えば2面終了時に画面の左側にいれば3Aに、右側にいれば3Bに、という具合。3Aは港湾地区、3Bは戦車部隊の待つ荒野と全く異なるので、自分に合った方を攻略できます。

 さらに手が込んでいることに、一部の面にはステージの中にいくつものルート分岐が仕込まれているんです。
しかも最も複雑なのが1面で、最初から次々にルートが分岐し、出てくる敵やその順番も大きく変化します。

 厳密に言うと分岐する条件はランダムではなく、基本的には分岐前に現れる敵をいかに素早く撃破できるかで変わってきます。
素早く撃破できればより敵が多く難しめのルートに、そうでなければ敵が少なくボスまで早く辿り着くルートに、というのが基本です。
ただSteamの実績を見るとレア分岐なる言葉も見かけるので、ひょっとするとランダムで分岐するルートも存在するのかもしれません。

 様々な所にこだわりを感じる作品ですが、ちょっと難点も。
まず一部の敵弾が見づらかったり、背景に近い弾色で目視しにくい場面があったりする所。
特にカラフルに点滅する弾は場所を問わず全体的に見づらく、いつの間にか被弾していたというケースも多いです。それでいて頻繁に使ってきます。

 また、パワーアップのシステム上アイテムも頻繁に出てくるのですが、色の切り替わりが割と早く、狙っていない武器を取ってしまう事故もしばしば。
パワーアップは古いものから消去される仕組みなので、事故で取ってしまった武器は他のアイテムを10個取るまで捨てられません。一度武器を一つに統一すると、維持はなかなか大変です。アイテムに気を取られて被弾なんてことも結構あったり…

ある意味幻の一品

 前述した通り、デルタジールは元々「G-STREAM G2020」というタイトルでした。
さらに言うと販売元もオリエンタルソフトという別の会社でした。
ただ、その開発スタッフの一人がトライアングル・サービスの社長さんであり、そういう意味でこの作品は原点の一つと言えます。

 …どうもこの作品、本来であればお蔵入りで世に出るはずではなかったらしいのですが、販売元はお蔵入りしたにも関わらずまさかの発売を強行し、結果少数がゲーセンへ流通することになったとか…

 自分はたまたまゲーセンで実機を見かけたことがありますが、実機は基板の容量の問題なのか音まわりがかなり低い音質で収録されており、ゲーセンの音量だとすごい籠ったノイズが混ざっていた印象があります。
もちろん移植されてからはそんな心配もなく、本来のカッコいいBGMを存分に堪能できますよ!

 そもそも出回りが少ないことに加え、本作が登場した2002年には「怒首領蜂大往生」という、今でも多くのフォロワーがいる名作が話題をかっさらっていました。そのため当時見かけても触れなかった方も多かったのではないでしょうか。

 デルタジールは弾幕系ではありませんが、作り手のたっぷりと詰まったこだわりを感じられる隠れた一品です。
緻密なドット絵にノリノリな音楽、遊ぶたびに発見があるルート分岐など、繰り返し遊びたくなる魅力を持っています。
個人的にはおススメの一作です。現在はSteamでも販売していますので是非遊んでみてください!

 それではまた。

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