【レビュー】「ミサイルダンサー2」現代に甦る”疑似3D”体験

 どうもこんにちは。

 今回は最近発売されたNintendo Switchの作品から面白いインディーズ作品を見つけましたのでそのご紹介。個人製作ならではの気合いが入った一品で大変気に入ったのでぜひ紹介させて下さい!


 「ミサイルダンサー2」は 2024年3月に発売されたシューティング。見た目はクラシックですがばっちり現行ハードの最新作です。

 作者のTERARINさんは80~90年代をリスペクトしたシューティングを数多く製作されている方で、今作もまたかつての名作を彷彿とさせるエッセンスが存分に詰め込まれた一作となっています。

 ゲーム内容はシンプルで、プレイヤーの戦闘機を操縦し、連射できるバルカンとロックオンで狙って放つミサイルを駆使して全ステージ攻略を目指します。武器に弾数制限は無いので、一切の遠慮無くありったけ敵に撃ち込んでいきましょう!

 操作は上記以外にも高速移動できるローリングがあり、ちょっとの間ですが無敵時間もあるので、追い込まれた時の緊急回避として有効です。一度使うと再度使用可能まで若干時間が必要ですが、その分何度でも使用できるのでピンチになったらドンドングルグル回っちゃって大丈夫です。

 ミサイルは複数種類があり、射出速度が速いスピアーミサイル、一度に多くロックオンできるマルチミサイル、一発の火力が高いナパームミサイルの3種類があります。これらはステージ中で定期的に出てくるアイテムで切り換えられるので、場面や戦略に合わせてミサイルを切り替えていくことも重要ですね。

 慣れない内はバランスが良く場面を選ばないスピアーミサイルを主軸にし、耐久力の高い敵やボスにナパームミサイルを使うのがおススメです。ボスも素早く倒す事が出来るのでかなり快適に感じるはず。逆にマルチミサイルは火力が最も低いため、初めは思ったよりも扱いにくく感じるかもしれません。ただこのマルチミサイルはスコアシステムと相性が良く、場面によっては大量の点数を稼ぐことが可能です。ゲームに慣れてきてハイスコアを狙うようになったら、ぜひ一度お試し下さい。


 今作一番の魅力はなんといっても、疑似3Dによる特有の疾走感と迫力が良く再現されている点でしょう。

 疑似3Dとは、ドット絵の拡大縮小と遠近法を活かした画面スクロールを組み合わせて、疑似的に立体空間を表現したものを指します。CG技術が発展した現代ではただのノスタルジーだけに思えるかもしれませんが、実は疑似3Dはスピード感の演出を特に得意としているんです。80~90年代前半ごろのアーケードゲームではこの技術を活用した3Dシューティングやレーシングが多く作られ、人気を博していました。

 話を戻すとミサイルダンサー2でもそんなスピード感がしっかり表現されていて、高速ですっ飛んでいく背景、前後左右から出てくる敵、そしてミサイルと白煙が入り交じる光景は迫力満点! この迫力を現代に再現した時点でもう十分にスゴいです。めっちゃ楽しいです。

 アーケードモードは全部で16ステージありますが、シチュエーションが豊富でこれまた楽しい。森の上から雲海、海上、市街地まで、陸海空のあらゆる場所を全速全開で駆け抜けていきます。

 個人的なハイライトはステージ9~11。ステージ9は市街地、ステージ10は長いトンネル、ステージ11は広大な工場内で戦うのですが、この辺りが疑似3Dならではの迫力や疾走感をかなり体感できるポイントです。ビルの間やトンネルの中を猛スピードで突っ切る感覚は何度体感しても楽しいです。

 あとゲーム性以外の部分で言うと、音楽もアップテンポで作品によくマッチしています。BGMはオリジナル版に加えて、FM音源をイメージしたチップチューンアレンジも収録されているので、お好みのサウンドで楽しめますよ。サウンドトラックはコンポーザーの方がbandcampで公開されていますので、気に入った方はぜひアクセスしてみて下さい。


 今作ではアーケードモードの他に、3分間でハイスコアを狙うキャラバンモードもあります。「キャラバン」という名称は、かつて全国キャラバンというゲーム大会が毎年開催されていた事に由来するものですね。

 1回あたりのプレイ時間は短い分繰り返しチャレンジもしやすく、普段スコアアタックをしない人でも挑戦しやすいのが良い所。スコアアタックを目的にしなくても、久々に遊ぶ時のリハビリや、すき間時間にちょっと遊びたい時にもちょうど良いです。

 アーケードモードの敵や障害物が幅広く出てくるので、本作のゲーム性がギュッと凝縮されているモードとも言えます。体験版で遊べるのもこのモードなので、気になった方は気軽に体験してみて下さい。


 かつてのアーケードゲームをオマージュした作品ではありますが、コンティニューの制限は無く、一度到達したステージなら途中から始める事もできるので、短い時間のプレイを積み重ねてもエンディングを目指せる設計になっています。

 あと面白いと思ったのがオプションで、自機の位置を自動的に中央へ戻すオートニュートラルというのが設定できます。これは操縦桿型のコントローラーを用いたアーケード作品へのオマージュで、これをONにしてアナログスティックで遊ぶと当時の作品に近いプレイ感覚になって結構面白いです。ただアナログ入力に対応している訳ではないので、一ヶ所に留まりたい場合は常に細かく入力する必要があるのがやや難点でした。アナログ入力に対応するとより雰囲気が近づきそうだなと思ったので、もし今後も同じ系統の作品が出るなら期待したい所です。

 難点というとこれはこの作品だからという訳ではありませんが、疑似3Dではイラストが透過されないため、敵弾やミサイルの白煙で前が見えづらくなる時は多々あります。同じ場所に留まっているといつの間にか被弾しているという事も多いです。ジャンルの性質上どうしても起きやすい事ではありますが、常に移動し続けたりローリングを積極的に使う事である程度対策できますので、慣れない方は自機を常に操作する事を意識してみて下さい。


 少々長くなりましたが、ミサイルダンサー2は自分にとって十分満足できる一作でした。個人制作というのもあり多少の粗はあるものの、疑似3Dならではの魅力がしっかり引き出されている点は高く評価できると思っています。自分は元からこの手のシューティングが好きだったので、このジャンルの新作が遊べるというだけでもほんと楽しかったです。

 クラシックな名作のオマージュは昨今数多くのインディーズが手掛けていますが、このジャンルのフォロワーはかなり少ないです。ただ今回ミサイルダンサー2に触れて、担い手さえいれば現代でもまだまだ楽しめるジャンルだとも思いました。過去の名作を復刻し続けるのもいいですが、きちんとした新作がこれからも発表され続けて、3Dシューティングのいち方向性として残り続けたらいいですね。何せ自分はこういうの好きですから!

 というわけで、往年のアーケードゲーマーの方はもちろん、迫力があるカジュアルゲームを求める方にも今作はおススメです。Switch版の他にSteam版もありますので、ぜひお好きなプラットフォームで手にとってみて下さいね。

 それではまた。

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