💾📝:虫と倉庫のお話

今回は自分のファイルをどこに置くのか、というお話。

長いし、パソコンの中の事だから興味ない人は読まない方がいい。

すこし前、ドロップボックスを使っていたら警告のメッセージが出てきた。

もう容量いっぱいだから増やしてね、って感じのメッセだった。で、容量増やそうと思ったら有料。月々払い。年間に換算するとそれなりの金額。

クラウド界隈ではごくフツーの事。アマゾンしかり、アップルもそうだし皆同じ。最初は無料だよ、とか、容量無制限とか謳っておきながら客が入ってファイルいっぱいになったところでハシゴを外す。規約を変更する。クライアントは大量の荷物を持ってオロオロするわけだ。

客が困るのを織り込み済みの酷な所業。ハシゴ外しのビジネスモデルである。まぁ、これはクラウドだけでなくレンタルサーバも基本的には同じ。誰でもファイルは増えていく。減ることは無い。

賃貸している容量の問題だけで無く、他の問題もある。虫がいる時がある。

一般的に「バックドア」って呼ばれるやつ。

昔、ある中堅自然食品会社の依頼で買い物かごのシステムを作った。商品数が約5000。処理スピードなんかも勘案してレンタルするサーバもそれなりのメモリとCPUを選ぶわけだが、予算の関係で1社1台のサーバでなく、共同アパートの方となった。冷蔵冷凍常温の品物が混在した場合の送料を捻出するプログラムをオリジナルで作成するのにすこし手間取ったが無事納品。稼働し始めた。

しばらくしてその会社から電話があった。なんとなくシステムの動きがおかしい様だ、と言う。具体的に症状を聞くが要領を得ない。
徹底して調べた。

そしたら虫がいた。
コンピューターの中で虫取りをするとは思わなかった。虫とかウィルスとかバックドアとか・・まぁ、名前はなんでもいい。とにかくそんなもの。沢山の商品画像を入れてあるフォルダの中に隠れていた。実際に稼働中のバックドアを見るのは私も初めてだった。

捕獲していろいろ実験して機能を確認してみる。
実に良く出来ている。バックドアとはよく言ったもので、仕掛けた者はIDやパス無しでアクセス出来るようになる。
どのHDDでも中は木の根っこみたいな状態。ディレクトリという。根っこが深くなって別の同じ深さの部屋に行くとき、いちいち上の部屋、またその上の部屋に戻ってから移動することになる。ところがそのバックドアは、あたかも水平に移動するのだ。つまりあるボタンを押すと周囲にある同レベルの部屋が全て透けてみえる。さらに瞬時にそこに移動できる。

つまりだ、パソコン中にファイルを隠そうとしてディレクトリを深くしそこの部屋にパスかけても入れちゃう。

でもさすがにルートは盗れなかったようだ。ルートに移動出来なかった。
さらに面白いのが、あるボタンを押すと自分自身を消去する。つまり証拠隠滅ができるのだ。

どっから来たのか興味が湧いたので膨大なログをちまちま調査した。

するとカナダはトロントに設置されている某サーバから侵入した記録があった。そしてブルガリアの表向き買い物カゴのHPとの関係もあった。でもそっちは表向きのダミーHP。そこまでしか判らなかった。たぶんトロントのサーバも踏み台にされているのだろう。

実は、上記の虫取りのもちっと前、2000年前後の頃、ウィルスの研究をしていた。個人的にだが。まだその頃は世間で実際にウィルス騒ぎなんてなかった。パソコン雑誌上のお話でだーれもアンチウィルスソフトなんて使わなかったし、そもそもそんなもの一般的にほとんど無かった。

でもアメリカのハッカーサイトなんかではいろいろな種類の標本があった。で、どんな動きをするのか興味津々。スタンドアローンのパソコン組み立ててそこに放り込んでみた。しかし一向にウィルスの症状が出てこない。仕方ないのでいろいろな種類を片っ端から投入。しばらくしたらエライことになった。システムがフリーズするわ、わけわからんメッセージが出てくるわで、とにかくどのウィルスが何したのかさっぱり判らん。HDDフォーマットした。

アメリカという国は恐ろしいところで、政府系の某コンピューターウィルス研究所を見つけた。そのサイトでサンプルを公開していた。今じゃ絶対禁止事項だと思う。そのサンプルがハンパなかった。

アセンブラで書かれているんだが、いくつかの選択肢がある。例えば、あるパソコンに到達したら自動的に自分自身をsystemフォルダに移動させる、とか、ファイルの拡張子をjpgに偽装する、とかいろいろ。

で、それをコンパイルすると自分好みの虫が出来上がる。そんなもの政府直々に1990年代くらいから造っていたのだ。もう戦略用の武器と同じ扱い。サンプルと言えどもそんなもん公開するなよ、って思った。

話はかなり脱線したが、つまりレンタルサーバなんかも普通に危険がある、という事。

増え続けるファイル、虫の危険。これらのリスク回避するために選んだ道が自宅サーバ。
QNAPのサーバにメモリとHDD放り込みボタン押せばシステム構築してくれて使えるようになる。よい世の中になったもんだ。過去何台か自宅サーバ構築したがメンテ大変でやめたことしか記憶に無い。

良い時代になったのだが今も昔も変わらない事がある。

不正アクセス。

昔自作のサーバ運営時は、日本の近くのあの国とあの国と、そしてあの国のIPリスト調査して厄除けファイルを作っていた。いちばん不正アクセスが多いのは、もちろん人口が世界一のあの国。人口と比例するのか?  この厄除け札は結構効力があった。不正アクセス自体は今も昔も変わらない。でも悪質になった。道徳心の無い者がよけいな知恵つけると世界に害悪をふりまく。小人閑居して不善を為す、ってやつだ。

マダガスカルとかパキスタンとかオランダとかからの不正アクス。辿っていくと終着点はやはりあの国。やっぱ悪の巣窟だとおもう。やたら串つけてアクセスしてくるので紛らわしい。頭にきたので、海外からのアクセスは、アメリカ、イギリス、オーストラリア以外からは不可にした。そしたら1週間ほど前、イギリスから頻繁に不正アクセスが来た。そのアクセス数が異常に多かった。adminで入ろうとする。それも複数IP。で、海外からのアクセスは全部遮断。そしたら今度は日本国内からアクセス。それもIPを4つも使って。しつこい。

もうココまで来ると完全に嫌がらせ。調べなくてもどの国の人間か判る。
さらに頭にきたのでHTTPのポートを変更した。一般的には8080。別の数字にした。で、パッタリとアクセス無くなった。自分専用のサーバなんで何ら問題なし。世界中どこにいても自分がサーバにアクセス出来ればそれでいい。

自宅サーバにはこんな苦労もあるけどレンタルよりもリスクは少ない。

そもそも他人のサーバに自分のパスワードファイルなんて置けるわけが無い。