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記憶に残る文章・記憶に残る写真

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いろいろな方の文章や写真を拝見していて、もう一度読みたいな、もう一度見たいなと思う記事を集めました。 あくまでキータンの独断と偏見です。
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2022年2月の記事一覧

カラスのジュ-ル (下)#創作大賞2022

行水を終え、毛繕いをした後、リラックスするジュ-ル。 時々、テラスの椅子に座る私の横で、安心してお昼寝をする。 【人懐っこいジュ-ル】 私の手にとまり、なでなでされるジュ-ル とても甘えん坊さん 話しかけると、鳴いて答えてくれる。 「がぁ-」という鳴き声の時もあるし、喉の奥から一生懸命に何か、 言葉らしきものを「ぐるぅっ、ぐるぅっ」と言う時もある。 お腹を撫でたり 喉のところもなでなで 【ある日のジュ-ル】 洗濯物を干す私を見つめるジュ-ル さぁ-っと飛んで

カラスのジュ-ル (中)#創作大賞2022

庭で猛禽類に襲われ片目を失ったジュ-ル。 奇跡的に一命をとりとめ回復期に入った。 足指も痛めてしまったジュ-ルは、枝にとまることができないため、いつも寝ていたカーヴではなく、家の玄関の中でしばらく様子を見ることに。 ここはガラス戸付きのドアがあり、中の様子がよく見える。 2日後、奇跡的に足指が治り 外でいっしょに過ごす 思うように開かないくちばしを必死に開けて 食べようとするジュ-ル まだ「がぁぁ-」と鳴くことができないでいる この日から、ジュ-ルは、いつものように

カラスのジュ-ル (上)#創作大賞2022

その少年は鳥が好きだった。 フランス、自然豊かなノルマンディー地方で育った彼は、暇さえあれば鳥と過ごす。いつも空を飛んでいる鳥を眺め、なんの鳥がどんな巣を作るのか、どんな色の卵を産むのか、そんなことも自然と知っていた。 そんな彼がある日 巣から落ちたヒナを見つける。 それは、フランス語で、シュカ(choucas)と呼ばれる二シコクマルガラスのヒナだった。普通のカラスより小柄で鳴き声に特徴のあるカラス。 マルゴーと名付け、大事に育てた。 マルゴ-は、日中は庭で自由に過