苦しくない子育てのために

ワクチンの話ではないのですが、最近いっぱいいっぱいなお母さんをお見かけすることがあって、考えていることを綴ります。
私はまだひよっこだし子育ても半年しかしていないのでこれが正解かはわからない。けど、余裕がなくなってるお母さんお父さんが少しでもホッとできたらいいな。

手段の目的化をしていませんか。目標の優先順位を意識してみませんか、という話です。

夫は運動指導者なので、「目的」「目標」「手段」の話をよくします。
「目的」はゴール。大目標ともいえると思います。
「目標」はゴールにたどり着くためにクリアしておきたいこと。
「手段」は目標、目的を達成するための具体的な方法です。

例えば「たくさんの人を助けたい」が目的にあるとします。
だから「医者になる」と目標を決める。そのためには「偏差値はこのぐらい」「○○高校へ入る」という中ぐらいの目標が立てられ、さらに「数学の苦手を克服する」「次のテストで何位を目指す」などの小さな目標が立てられます。
手段として「塾へ入る」「このテキストで勉強する」などの方法が考えられます。
ところが、しばらく塾へ通っていると、次第にもとの目的が見えなくなってきて、「塾へ通う」が目的になってしまうことがあります。「手段の目的化」といいます。こうなると塾へ通うことで安心してしまって伸び悩んだり、もしくは塾の友達と気が合わなくて憂鬱になってしまったり。
手段にはいろいろあります。塾が合わないなら家庭教師はどうでしょう。自宅学習でも大丈夫かもしれません。目標を達成するための道はいろいろあり、一つの手段にこだわらなくてもいいのです。

育児の目的はなんでしょう。人それぞれだと思います。私は「自立・自律して生きていけるひとに育てる」が今のところの目的です。
そのために「自己肯定感を育む」「そこそこの学力を身につける」「運動もそこそこできるといいな」「食の楽しみを知ってほしい」「想像力を育てたい」いろんな目標を思いつきます。そもそも、子供をおおらかな目で見られないと窮屈な家になってしまうと思うので、「私がしんどくない、笑顔でいる」も大事な目標です。
そして、目標の中でも優先したいものがあると思います。私は「私がしんどくない、笑顔でいる」ことが長い育児生活には重要だと思うので、これが1番です。

手段として「絵本の読み聞かせ」「歌をうたう」「離乳食」「お散歩」「清潔を保つ」「支援センターへ行く」などがあるでしょう。
手段の小さな目標として「絵本1日何冊」「毎日お散歩」「毎日掃除機」「○曜日は支援センターへ行こう」などと考えたりもします。
これはあくまで手段で、最終的には「自立・自律したひとに」なってほしいわけです。手段にとらわれすぎると、「ああ、今日はまだ絵本を読めてない。あっ吐いた!洗濯してたらますます時間がなくなる・・・」なんてことになってイライラしてしまう。一番大事なのは「私がしんどくない」なのです。だから「今日はちょっと疲れたしお散歩はおやすみ」とか、「お昼寝がずれたから支援センターは行かずに家で遊ぼう」とか、気楽に予定変更していいと思います。

健康のために走り始めた人が、いつのまにか「毎日走る」が目的になってしまって、足が痛いのに無理をしてケガしてしまったら。最初の目的は「健康」だったのに、本末転倒になってしまいます。

離乳食、母乳育児、絵本、散歩、掃除、洗濯。全部手段です。でも育児ってたくさん「こなさなきゃいけないこと」があって、「こなすこと」が目標になりがちじゃないかな、と思うのです。育児書のアドバイスや発達の目安はあくまで手段や目安の一例であって、その通りでなくてはならないものではないと思います(絶対に気をつけるべきこともありますが)。目の前の手段と小さな目標で視界がいっぱいになって、遠くの目的が見えなくなっていませんか。ちょっとお茶を片手に遠くから見てみませんか。

そもそも、人生では目的も変更していいと思います。
「たくさんの人を助ける」ために「医者」にならずに「看護師」を目指してもいいし、「政治家」を目指してもいいし、「研究者」になってもいいし。
「たくさんの人」でなくて「自分の家族を幸せにする」に変えたっていいんです。5年後の私が育児で目指している場所はいまと違うかもしれません。

育児って必死です。日々変化する子供、言葉の通じない子供、良かれと思ってやったことでギャン泣きする子供、こっちが思い悩んでいるのに満面の笑みを見せてくれる子供。目標を追っかけている間に子供はどんどん変化していきますよね。
忙しい育児の合間に、私の目的は?今の目標は?と真面目に考えるのは余計にしんどいかもしれません。でも、今きつい思いをしてやっていることが子供のために絶対に必要なのか、一番大切にしたい部分は何か、時々考えてみるのもいいのではないでしょうか。

たくさんの喜びと気がかりと「こなすべきこと」を抱えて毎日頑張っているお母さんお父さんが、少し肩の力を抜いて子供との今を楽しめますように。

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