12:絶望のバングラデシュ
タイを夜の21時すぎに出発。風邪は相変わらずで、飛行中は何度も咳をしてしまった。見かねたCAさんが、何度か水を持ってきてくれる。まだコロナの終わっていないこの時期、相当嫌がられていたに違いない。
ちなみにこの飛行機、明らかに乗客が少ない。そして、どの便にもいた中国人がいない。これがこれから行く国のヤバさを物語っているということに、まだ気づいていなかった。
深夜12時30分ごろにバングラデシュのダッカ空港に到着。バングラデシュに入国するにはビザが必要。ただ事前に取るタイプではなく、到着時に空港で取得する「アライバルビザ」があるらしく、取得へ。
しかし、これがめっちゃむずい。
入国審査官的な奴に求められたのは、以下の書類。
・宿の予約表(英語表記)
・帰りの空港券の予約表(英語表記)
この2つを紙で出せ、と。何でやねん、PDFじゃあかんのかと言うと、無理とのこと。「どんだけお前の国に日本が資金援助してると思ってんねん。大体、日本人がお前の国に不法滞在なんてするわけないやろ。」という思いを胸にしまいながら、スマホを操作。とりあえずこれを印刷すればいいんやな?と確認し、上の階にあるらしいコピー機へ。
ん、ない。仕方ないからギリ開いてた店に、コピーしてくれないかと交渉。すると応じてくれて、このアドレスに添付して送信しろと。なるほどなるほど。するとPCをかちゃかちゃやり、渡してくれた。お礼を言って立ち去ろうとすると、「マニー」と一言。そりゃそうか、タダでやってくれるなんて甘い。でもバングラデシュのお金なんて持ってない。タイの金を差し出すと、あかんらしい。仕方なく少しだけ持っていたアメリカドルの1ドルを渡すと、めっちゃ喜んでいた。なんやこいつ。
書類を用意して審査官の元へ。するといろいろ質問をされる中で、「What do you do?」と。何を答えればいいか悩んでいたら、「What do you do!!」と大きな声で叫ばれた。いや、言われてる単語は分かってんのよ、意味が分からんのよと。外国人って基本こう。ゆっくり言ったり違う言葉で言うんじゃなくて、大声で何度も繰り返す。分からんもんは分からんわ。
たまたま近くにいた人が「job」と言ってくれたので、おお、teacherと嘘をついた。無職だと言ったら強制送還されそうだったし。
手続きが終わったのは1時半すぎ。辛い。バングラデシュでスマホの通信がないのは不安なので、SIMカードを契約した。ちなみに空港内の店はほとんど閉まっていた。
当初の予定では、朝になるまで空港で待つつもりだった。ただ、ちょっと風邪が辛いのと、蚊が多い。こんな途上国の蚊に何箇所も刺されるのは不安なので、意を決してホテルを目指すことを決めた。
空港を出ると、こんな感じ
深夜2時にも関わらず、入口前には大勢の人が。観光客を狙うぼったくりタクシーと、親戚を迎えにきた人たち。出るのにも一苦労。
後から知ったことだけど、発展途上国の空港は、建物内に入るのを制限している場合が多い。空港内の治安を守るためには仕方ないのだろう。インドやケニア、エジプトもそうだった。
そして、空気はよどんでいる。砂埃か排気ガスか知らないが、今の体調には厳しい。ホテルまでは、1.7km。がんばれ。
道のりはこんな感じ。1.7kmなんて、普通に歩けば20分もかからない。余裕だろうと思っていた。
完全に舐めていた。昼間はこんな道なんだけど、街灯が全くなく、車が出す光しかない。
空港から5分歩けばこの治安の悪さ。そしてほとんど何も見えない。恐怖。2時にも関わらず、人影は動いている。誰かいる。大きな荷物を持っているから、多分観光客ということはバレてる。襲われるかもしれない。でも、この荷物を持った状態では、多分逃げきれない。
恐怖でしかない道を、急足で歩く。多分人生で1番恐怖を感じた道だった。
何とか15分くらいで宿に着いた。「リッチモンドホテル」というところ、ダッカの治安が不安だったので、それなりの宿を予約していた。チェックインが1日早くなるのも、快くokしてくれた。もちろん金は取られたが。疲れすぎて死にかけているので、とりあえずシャワーだけ浴びて寝る。
起きたのは11時過ぎ。外に出てみると、カオスな光景が広がっていた。
空気はざらざら、裸足で歩く人は普通、歩道で寝ている人は多数、電線ぐちゃぐちゃ、建物はボロボロ。よく考えればバングラデシュはアジア最貧国。今まで行ったどの国とも、レベルが違う貧困さだった。
この時、風邪は重症。おそらく熱もあった。しかし風邪薬を買おうにも、薬局がない。いや、あるにはあるけど、怪しい。期限が切れてそう。だから仕方なく我慢。
このバングラデシュという国、首都のダッカにいるにも関わらず、飲食店が絶望的に少ない。はあ、、、
この日の夜、咳が止まらず全然眠れなかった。
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