ペットの羊

うちにはペットの羊が全員で8頭います。そのうちの一頭。一番の新入り「リンゴ・スター」のことについて。

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今までも「人に懐いている羊」はたくさん見てきました。生まれたときから哺乳瓶で育てれば、それなりに「懐く羊」になるんです。でも、彼の場合はレベルが違うというか、羊という生き物であるという自覚は全くゼロ。多分、自分のことを犬だと思っています。いや、ひょっとしたら人間かも。・・・というくらい自分を羊と思っていません。

「そんな子に育てた覚えはありません」なんですけどね。だって私が育てたんじゃないから。
リンゴは生後3ヶ月くらいまでご近所さんの家で生まれて育った子羊です。脱走癖があったために、手に負えなくなり、我が家に来たといういきさつです。通常であればそのままお肉になるところでしたが、そのあまりにかけ離れた個性が命を救いました。「さすがにこいつは食えん」と思われたみたい。

「一風変わった羊だよ」と言われて引き取ったわけですが、リンゴはやっぱり変わっていました。羊と一緒にすると文句たらたらで、犬たちと一緒にすると超ハッピー。犬たちも仲間が増えて特に文句はなさそうなので、我が家の「庭」がリンゴの住処となりました。

しかし、本来であれば羊は「羊の飼育環境が整った場所」に居るべき動物。人間と猫と犬のための「庭」には、リンゴにとって危険がいっぱいなわけです。庭には牧草だけじゃなく、いろんな植物がはえています。果樹だってたくさん植えてあります。ただ、この庭は一から自分たちで作ったので、草食動物に危険な植物は植えてないことはわかっていました。リンゴも特に牧草以外の植物に興味を示す様子もなかったし、3ヶ月間何事も起きず平和な毎日だったので、すっかり安心していたのです。

事件は2月12日の水曜日に起きました。何事もそうですが、やっぱり「慣れた頃が一番危険」ですね。
その日午後遅くに出張先から帰ってきたマカロンさん(私のパートナーさん)が、笑いながら「リンゴがビニールハウスに侵入して、野菜とかハーブを食べちゃったよ。今、もしもリンゴをローストラムにするとしたらスタッフィング(詰め物)は完璧(笑)。」と教えてくれたんです。羊が畑の野菜を食べちゃった、というのは割とよく聞く笑い話なので、あまり深く考えずに私も笑って済ませました。

その翌日。木曜日の朝。いつもの通り、リンゴに「おはよう」を言いに行くと全く元気というか、覇気がありません。いつもならないてないてうるさいのに、無言。顔も無表情で、ウールで覆われているからわからないけど、まさに「顔面蒼白」だったんだと思います。
慌てて近づいていくと、お尻から滝のような下痢(きちゃなくてすみません)。
その瞬間、直感で「ダメだ!リンゴが死んじゃう!」と思いました。子羊の下痢は死を意味することは少なくありません。(治療法が限られてるから)
慌ててグリーンハウスをチェックしに行くと、唐辛子の苗が一本食べられていました。これに違いありません。

慌てて獣医さんに飛んで行き、事情を話すと「腫れどめ」「痛み止め」の注射を渡されました。まずはこれを私がリンゴに注射して様子を見ます。
まあ、結論から言うとリンゴは無事でした。無事じゃなかったらここで書けてない。

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直接の原因は「唐辛子」だと思いますが、「トマト」も羊には危険な植物なんだそうです。これは初めて知りました。普通の羊は食べないそうなんですが、リンゴは食べちゃったんですね。こういうところも羊らしからぬ。

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わたしは改めて「リンゴは犬じゃなく、羊である」ということを意識しました。遅い!
リンゴを「羊の飼育環境」が整った場所以外のところに置くという、リスク管理が出来ていなかった。ビニールハウスに鍵をかけていなかったため、ドアを開けて入っちゃったんです。羊って好奇心がすごく強いから、まさにドアに「隙」あらば入りたかったんでしょうね。うかつでした。

犬たちと居る方がずーっと楽しそうなリンゴ。それを面白がって、羊扱いすることを怠っていたんだと思います。いい大人なのに!
いつも、動物のメンバーが増えるときには「その種の飼育環境」に大変慎重になるわたし達なのに。リンゴがあまりにも羊らしくないために、飼い主としての自覚が足りなかったなあと、大変反省しています。

これでリンゴを失っていたら、ブログはじめ全てのSNSを半年くらい休むことになっていたと思うので、ここに反省文がかけるなんて幸運なんだよ!と、未来の私に言いたくて、ここに書き残しておきます。
リンゴは羊だぞ!


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