1,n,N の組み合わせでコミュニティでの集い方を6つに分類する
コミュニティはN対Nのつながりが大切である、みたいなことがよく言われるようになりました。
こういったつながりの多くは人の集いによって作られますが、コミュニティによって集い方のスタイルに偏りがあるようです。
意図的に偏らせているのであれば、それがコミュニティの独自性になっていくのでOK。でも、もし意図的でなく偏りがあるなら、他の集い方についても知っておいて損はないと思います。
そこで、コミュニティでの人の集い方についてまとめてみました。
この記事では、1,n,Nの組み合わせで集い方を分類していきます。1は文字通り1人のことを差しています。Nはコミュニティ全員を指し、nは1とNの中間で、コミュニティのなかでも何かしら(属性や関心など)で限定された小集団を指します。集合論的には 1⊆n⊆N という雰囲気です。
集い方① - 1対1(1on1スタイル)
1対1で会う集い方です。これはコミュニティのイベントとは認識されていませんが、コミュニティメンバー間のつながりが最も深まる可能性のある集い方なので、仕組み化しておくと良いでしょう。
具体的にはyentaのマッチング機能をコミュニティの導入するのがオススメです。あんまり使ってるコミュニティを聞いたことがないので、もっと広まれば良いなあと思っています。
1on1スタイルの集い方は目立たないし、なんならコミュニティオーナーやコミュニティマネージャーの知らないところで日々起きていたりもします。
こうした1on1で生まれる深いつながりがあるとコミュニティ全体の連帯も強くなりやすいと感じているので、わたしが主催している「議論メシ」というコミュニティでは先述のyentaに加えてわたしとメンバーとの1on1を毎月10人くらいと実践するようにしています。
集い方② - 1対n(勉強会スタイル)
ある興味関心や職種などの制限で区切られた小集団(n)が集まり、1人のプレゼンテーションを聴く「勉強会」に代表される集い方です。プレゼンテーションする人が入れ替わる場合も、常にn対1の関係が保持されているならこの分類に当てはなります。
参加に制限があるがゆえに人数も絞られますし、参加者には共通点があるので、人と人がつながりやすい特徴があります。
ただし、プレゼンテーションが中心の場の設計になりがちなので、関係性が非対称になりやすい。なので別途、関係性が対称でフラットにコミュニケーションできる懇親会などを併用したり、プレゼンテーションの機会を均等にしたりなど、工夫も必要なスタイルです。
集い方③ - 1対N(独演会スタイル)
誰もが参加でき、前に出る1人のプレゼンテーションを聴くのがN対1の独演会スタイルです。多様な参加者が集まるので、多様なつながりを生むことも可能です。
ただ、多くの人が参加する場では選り好みができてしまい、どちらかというと「いつもの人」と話してしまうので、意図的に新しい交流を生むデザインがあるとベターです。
大人数の場合の難しさは以下の記事で触れたとおりです。
1対Nの集い方のなかには登壇者の話を聞いて帰るだけというイベントもありますよね。せっかく何十何百人と集まっているのにもったいないなと感じます。こういう場こそデザインが必要ですね。
例えば「左右の人と自己紹介してみてください」という導入を追加するのも良いでしょう。また、イベント中に参加者に動き回って偶然の2人組を作って対話してもらったりしてもいい。
なんらか参加者が関与できる余地を設計したいものです。
集い方④ - n対n(座談会スタイル)
ある興味関心や職種などの制限で区切られた小集団(n)が集まり、フラットにコミュニケーションを取る「座談会」に代表されるスタイルです。
参加人数は少ないですが、共通点があるので、②の勉強会スタイルと同様に人と人がつながりやすい特徴があります。
②のようなn対1の勉強会ではなくn対nの座談会にするためには、中心人物がいなくてもコミュニケーションが円滑に進むようなコンテンツか、ファシリテーターが必要なので、少し事前の仕込みや設計が必要になります。
関係性がフラットなので、コラボレーションが生まれやすいのも特徴です。もしこの集い方で熱量が高まり、プロジェクトが立ち上がりそうな場合にも急いでN(全員)には展開せず、小さなn(小集団)のなかで徐々に育ててからお披露目するのが良いでしょう。
急いで関係者を増やすと、熱は冷めてしまう場合が多いものです。
集い方⑤ - n対N(金魚鉢スタイル)
ある興味関心や職種などの制限で区切られた小集団(n)がコミュニケーションしている様子を、それ以外の参加者が外側から観るような「パネルディスカッション」や「ライブ配信」に代表されるスタイルです。
nが金魚鉢のなかの魚で、それをNが外側から眺めるイメージです。
n(小集団)同士のコミュニケーションが、N(全員)に観られていることで活性化して盛り上がることもあれば、ただ単にnの一人ひとりが順番にマイクを回して話すだけの退屈な場になることもあります。
このあたりはnに対するモデレーションが必要だったりしますね。また、Nのほうも観ているだけじゃなく関与できるカタチにしたほうがいいのは③の1対Nの独演会スタイルとも共通しています。
集い方⑥ - N対N(交流会スタイル)
誰もが参加でき、フラットにコミュニケーションできる「交流会」に代表されるスタイル。最も人と人とのつながりが生まれる可能性のある場ですが、難しさもあります。
場に対してファシリテーションが入ればミートアップ的になりますし、ファシリテーションがなくても食事会や飲み会のカタチにすれば成り立ちます。
どちらの場合でも、多くの人が参加するフラットな場ではコミュニケーションの「キッカケ」や「イイワケ」が必要なので、場の全体に対する設計が必要になります。また、事前になにか体験を共有しているなど、熱量がある程度高まっている状態で開催するほうがうまくいきやすいですね。
また、どれだけ対称なN対Nを念頭に場を設計したとしても、部分的に非対称な関係性が生まれてしまうことがあります。そのため、主催者は全体を一歩引いて眺めてコミュニティの文化にそぐわないところがあれば緩やかに介入する立ち位置が望ましいと思います。
誰もが参加できるこのスタイルでは、「参加者から別の参加者を守る」ことも必要になるので、そのときには毅然とした態度も求められたりします。
まとめ N対Nのコミュニティのために
長くなりましたが、1,n,Nに着目するとこのように分類できました。もちろん別の角度(オンラインとオフライン、アジェンダの有無など)から分類することもできます。
あくまで1つの見方ですね。
N対Nのコミュニティを目指す場合、全ての集い方を⑥のN対Nにすべきでしょうか?おそらくそうではなく、①~⑥のあらゆる集い方を検討して、自身のコミュニティにマッチするものを選び、ブレンドしていくことで結果的にN対Nのコミュニティが実現されていれば良いんじゃないかなと思います。
ぜひ皆さんのコミュニティ運営の参考にされてください!
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