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八月の光

非常におもしろかった。
人はなにかに憑りつかれると、どんなに遠くまで逃げても、逃げ切ることはできない。

宿命というのだろうか。自分も、それなりに生きてくると、人生においていろいろな符合や因縁めいたものにであうことがある。だから、本作で繰り返されるそういったものを見ては、登場人物に感情移入もできたし、その悲しみや苦しみも理解できた。

読んでいて思い出したのは、ダーレン・アロノフスキーの映画「レクイエム・フォー・ドリーム」や、浅野いにおの漫画「おやすみプンプン」だった。必死に生きていても、なにかに足をつかまれて泥沼の中に引き戻されてしまう。人生とはそういうもので、ある種のあきらめと、あがき続けていれば、どこかにたどりつくのではないかという、かすかな希望のはざまで、生きていくものなのだと思う。

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