見出し画像

イカリエ-XB1

1963年に作られたチェコスロバキアのSF映画。
なかなか面白い映画だった。

イカリエ-XB1というのは宇宙船の名前で、生命を探してアルファケンタウリに向けて旅立つ。
原作はスタニスワフ・レム。「ソラリス」「FIASKO‐大失敗」あたりが有名だ。小生は「ソラリス」を読もうとして挫折した。読みにくいと放り出してしまう。おれってそういうタイプだから。

レムについて知っている人はおそらく本作についてもすんなり入っていかれるのかもしれない。というのは、アマゾンのレビューを読むと、レムには未知の生命体とのコンタクトを扱った作品がいくつかあるようなのだ。
本作もそういうものだが、レムの原作を忠実に映画化したものかどうかはわからない。

ストーリーは比較的単純で、アルファケンタウリを目指す人々がさまざまな困難に出会うが、タフさとやさしさで乗り越えるというもの。
「20世紀の人類はおろかだ、ナチスの台頭や広島への原爆投下をみてみろ」というセリフがあって、本作は2163年が舞台なのに、1945年のことを言うのも妙なものだと思ったが、いたしかたない。戦後20年。当時でもまだ第二次世界大戦という経験はリアルだったのだろう。本作では軍人たちの愚かさ、大量破壊兵器のおそろしさ、放射能の恐怖というものが語られており、ずいぶんと戦争をひきずっているのがわかる。

映画自体はいわゆるレトロ・フューチャーを満喫できる作りだ。当時は本当にこういう未来がくると思っていたのだろうか。そう考えると、Microsoftが発表している未来のビジョンなんていうものも、いつの日かレトロ・フューチャーとしてほほえましく楽しまれる日が来るのかもしれない。
そして、おそらくはキューブリックも本作を観ていると思う。最後に2001年の最後に出てくるスター・チャイルドの元ネタとおぼしきシーンが出てくる。キューブリックのほうがかっこいいが。ちなみに、ワープシーンとそれに続くボーマン船長の人生のシーンは出てこない。

ちなみに、věra křesadlováという女優が出ていて、なかなかの美人だった。調べてみたらミロス・フォアマンの妻だった。フォアマンに関しては女性の権利を訴える団体から糾弾されそうな写真もあり、小生はなかなか好きな監督だ。「カッコーの巣の上で」くらいしか観たことがないので、作品についてはなんとも言えない。

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!