サウンド・オブ・ノイズ
作品としてはそれほど面白くなかったんですが、いろいろと考えるところがあったので記録しておきます。
予告編は以下です。
https://www.youtube.com/watch?v=Vu3GI_gjLtg
本作は、町の中にある、身の回りものを楽器にして演奏する音楽テロリストと彼らを追う警官の物語です。
主人公はこの警官。彼は音楽一家に生まれ育ったのですが、生まれついての音痴。耳が良すぎるようで、それが苦痛ですらある。警官が「静寂の音楽を夢見ていた」と独白するシーンがあります。これが作品の後半にいきてくる。
音楽テロリストが町中にノイズをばらまく姿を見ていると、ひとつの作品を思い出しました。それは「ザ・トライブ」という映画です。この作品は台詞がない。言ってみれば静寂であるが故に成立している作品です。
「ノイズ」と「静寂」。映画という同じコンテンツを用いて、正反対の要素を伝えてくるふたつの作品のことを思うと、なかなか興味深いです。
予告編のリンクを貼っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=61Mi1bvxcsA
ちなみに、「サウンド・オブ・ノイズ」は登場人物を温かい視線で見守っている印象があり、端役にいたるまで、愛嬌のある人物として描かれています。逆に「ザ・トライブ」は登場人物を冷静な視点から描いています。それぞれの作品の持ち味と言えますから、どちらを好むかは観客に委ねられます。個人的には「サウンド・オブ・ノイズ」は牧歌的な印象を受けました。
「サウンド・オブ・ノイズ」で印象的だったのは、最後のほうで「ファイト・クラブ」を彷彿とさせるシーンがあったこと。あの作品もテロリストを扱っていましたね。
個人的にはあまりいい評価ではないのですが、本作の音楽テロリストたちが、自分たちの信念にしたがって行動する様子を見ていると、「テロリストってこういうものなのかもしれないな」という気がしてきました。