見出し画像

最後にして最初の人類

まあまあおもしろかった。

作曲家ヨハン・ヨハンソンの映画。
20億年後の人類から伝えられるメッセージ。それは人類への警告であり、または人類への賛美でもある。オラフ・ステープルドンという作家の同盟の小説が原作らしい。小説「最後にして最初の人類」を読んでいないので、本作がどこまで忠実に映像化されているのかはわからない。個人的には、本作には、ドゥニ・ヴィルヌーヴの「メッセージ」とのつながりを感じた。ヨハンソンは「メッセージ」の音楽を担当していたので、影響を受けていると考えるのは、さほど筋違いではないと思う。

地球規模、宇宙規模で人類の歴史を語るとき、その愚かさというものがまず取りざたされる。本作でもその要素はある。
いったん本作から話をそらすが「人類は愚かである」という視点は、本当なのだろうか。考え方のベースになっているようで、環境破壊、戦争、原発、といった要素が続々とあがってくるわけだが、人類という存在を考えるときに、まず「愚かだ」という点からはじめるのは、よろしくない気がする。

映画に話を戻すと、本作は映画ではあるが、物語はなくて、旧ユーゴスラビアの戦争記念碑・スポメニックの映像が延々と流れる。スポメニックと、20億年後の人類からのメッセージという組み合わせに、どういう意味があるのだろう。原作のオラフ・ステープルドンはイギリス人だし、ヨハンソンはアイスランドの人だ。スポメニックを取り上げたのは、ビジュアル要素が映画の内容にマッチしていたからなのか、それとも歴史的な背景があるからなのか、小生はそこまで読み込めなかった。

人が未来を描くとき、それは作者の想像力の深さが試される。
本作は、いわゆる未来的な描写はないのに、きちんと未来感が出ている。こういうアイデアもあるのか、と思った。
ヨハンソンの音楽は静謐でセンチメンタルだ。本作のクオリティの高さは、ヨハンソン自身の音楽の良さが大きいと思う。

クオリティは高いし、アイデアも悪くないが、オリジナリティという意味では、さほど目新しいものはなかった。映像作家ではないから仕方ないとは思う。ヨハン・ヨハンソンらしさという意味では十分に表現されていたので、その点は素晴らしいと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=biTkD2txoQQ

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!