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「ヴァルハラ・ライジング」(2009年)

これは素晴らしかった。

ヴァイキングの時代。
マッツ・ミケルセンが無敵の戦士ワン・アイを演じる。彼は戦う奴隷だったが、逃亡し、キリスト教徒のヴァイキングと出会う。ヴァイキングはワン・アイを、エルサレムへの旅に同行させる。
聖地を探し求める旅を続けてたどりついたのは地獄だった。

ワン・アイは「あいつは地獄からやってきた」と何度も言及される。「地獄からやってきた」のではなく、彼の存在が地獄なのだ。そして、地獄からやってきた人間は、地獄に戻っていく。
キリスト教徒のヴァイキングがワン・アイに出会ったのも必然なのかもしれない。彼らは行く先々で十字架を立てる。神の子の足跡を残していくという行為は、マーキングであり、侵略行為だ。侵略者は排除される。
我々は信仰の名のもとに他者を手なずけようとする。神の名のもとに行われるものであろうとも、それは欲望の充足を求めるものなのだ。そして、そういう行為は良い結果を生まない。
そういうテーマだと思う。

映画としては「アギーレ 神の怒り」の影響が大きいと思う。ただし、画面の絵面が非常にうまい。とにかく映像がかっこいい。
監督のニコラス・ウィンディング・レフンは、フィルム・ノワールの「ドリヴン」もよかったが、本作のほうが好き。
マッツ・ミケルセンが無言で無骨な戦士を圧倒的な存在感で演じているのが、作品のクオリティに貢献しているのは間違いのないところだ。

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