塵箱の歌(短いの2つ)
塵箱の歌
綺麗な思い出じゃ無くて、お前の心の傷になりたかった。
そうして厚い瘡蓋になって、お前が何度それを剥がそうとも、最後にはお前の透明に永遠に影を落とす染みになりたかった。
それって歪んでいるねと笑うお前がいちばん壊れ切ってしまっていることを知っていた。
だからもっともっともっと、お前よりも哀しい生き物になって、お前へ降りかかろうとする泥や砂や石を払いのけられる無様さがほしかった。
正しいすがたのふたりしか祝福されない世界の中で、正しくなれない俺とお前とで、汚れた野良犬