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雑多な本棚

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#記録

透明な球体(経験した死の数々)

* 私が「死」という事象に強く興味を持つのは、ごく自然な流れであったと思う。 父方の祖父と母方の祖母は、私が生まれたときにはすでに亡くなっていた。二人とも両親がまだ幼い頃、あるいは若い頃に病死したようである。 私が小学生の頃、父に付き添う形で出席したよく知らない誰かの結婚式に、祖父の遺影が置かれていた。祖父の顔を見たのはこのときぐらいだったはずだが、肝心のその顔はまったく覚えていない。祖母の顔にいたっては見る機会すらなかった、と思う。 では母方の祖父はといえば、記憶に

六年前(自死遺族の手記)

自分自身に対するひとつの区切り、あるいはある種の決別として、あの日のことを記しておく。 * 六年前 振動する二つ折りの携帯電話。父からの着信を知らせる画面。実家を離れて一人暮らしを始めて以降、母から何気ない電話がかかってくることはそれなりにあったが、父から電話がかかってくることなど、ほとんど初めてだった。だから、とてつもなく嫌な予感がした。 通話ボタンを押すと、「おかあさんがくびつっちゃった」と、父の悲痛な声が耳に飛び込む。その声はつづけて「なるべく早く帰ってきてくれ