十四 失われたもの/アルカナ眠る君に噓はつけない

「二人のことだしオレには関係ねえけど『おまえどうしちゃったのかな』とは思うぜ」
 智樹は大学のアトリエで黙々と彫刻の型抜きをしている悠真を眺めて言った。
「ごめん。今、その話はしたくない」
 無愛想に一言だけをこぼし、石膏だらけの顔を袖口で拭う。作品に没頭している時は常にそうだが、今日の悠真には何故だか無性に苛立った。
「だったら、美紅ちゃんを納得させろ。オレに泣きつかれても困るんだよ。好きな奴とか、オレだって初耳だし」

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1,859字
某BL雑誌でA賞を取った作品です。 完結しています。全27章。凡そ75000字です。 18禁指定。少しハードなBLです。

義父の通夜で初めて義兄<仁>の存在を知る悠真。実父を憎む冷淡さがありながら禁欲的で支配性すら感じる魅力に悠真は不覚にも魅せられてしまう。目…

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