夏休みの夕闇~刑務所編~ 第1話 夕闇の出会い
部屋に射し込む光の方向でおおよその時刻を知る。
……もう夕暮れ時か。どうりでムクドリの騒がしい声が聞こえてくるわけだ。
ここには一箇所しか窓がないうえに、その開口部の大きさは酷く小さい。
実家に飾ってある絵画の額縁の方が、この窓よりもずっと大きいくらいだ。
しかもその窓は僕の目線よりも高い位置にあるから、確認できるのは『空』の様子だけ。
その小さな隙間からは、曖昧な色をした空間にぽっかりと浮かんだ、下半分を朱に染めた雲が見えていた。
座ってじーっと窓の向こうを眺めてい