IPAに答案開示請求する流れを細かく説明する。
情報処理技術者試験の中でも応用情報処理技術者試験や、高度試験とよばれる区分の試験を受験すると、答案を開示してほしくなることがあります。
その場合の請求手続をちょっと詳細に記載してみました。
なお、参考としたのは、こちらのブログ「情報処理技術者試験の開示請求をしてみた話」です。
なぜ、答案開示してほしいのか
応用情報処理技術者試験や高度試験の特徴は「午後は記述式or論文式」というところにあります。
合格論文を他の受験生の参考にしたいとか、不合格だったときの自己反省には生の答案があると便利です。
しかし、多肢選択ではないから解答を答案用紙に記述するのも時間がかかること、持ち帰りが許されている問題用紙に書き写す時間があまりとれないことから、え持ち帰って後日見直すのが難しいのです。
そこで、採点が終了した時点で生の答案を開示してほしいわけです。
答案は開示してもらえるのか
午後試験の問題毎の点数部分を除いて開示をしてもらえます。
つまりどこが評価されて点数が付いたのかは判りません。
開示されない理由は後述の保有個人情報開示決定通知書に記載されていますが、簡単に言えば、
細かい点数を開示することで記述・論文の採点基準が明らかになり、開示請求した人や関係者だけが受験対策に使えてずるい。
採点基準に文句を付けられると採点者の裁量の余地が狭まり、受験者の思考力や判断力を評価する記述式・論文式試験が行えなくなる。
点数を開示することで問題作成・採点を担当する試験委員の負担が増えて、引き受け手がいなくなる。
「細かい配点がわかる!」とばかりに皆が請求してくると、IPAの業務が滞る。
だって、受験案内等にも採点結果の問い合わせには答えないって明記したし、皆同意した上で受験したんでしょ。
という理由です。
どうやって開示請求するのか。
開示の流れはIPAのページに記載されていますが、大きく分けて
開示してもらう範囲を特定した保有個人情報開示請求書を作成・提出する。
IPAから開示範囲を決定した保有個人情報開示決定書が返送される。
保有個人情報開示決定書の内容に従って、保有個人情報の開示の実施方法等申出書を作成・提出する。
開示してもらえる。
の流れです。以下、請求のフローと書類の内容を対応付けておきます。
1. 開示してもらう範囲を特定した保有個人情報開示請求書を作成・提出する。
最初に作成するのは、保有個人情報開示請求書です。テンプレートはこれ(PDFはこっち)です。実際に私が作成したのはこんな感じ。
ポイントは以下の点。
「1.開示を請求する保有個人情報」は、"開示請求者本人の「令和Y年□(春・秋)期 ○○試験 午後答案(受験番号XX123-4567)"」に記録された本人に係る保有個人情報"の体裁で記述する。
フローで示したとおり、ここで記載した内容が保有個人情報開示決定通知書に記載され、また保有個人情報の開示の実施方法等申出書に再度記載する内容になる。
「2.求める開示の実施方法等」は大抵の場合、"イ 写しの送付を希望する。"となる。IPAの窓口に行けるひとはアでいい。
「3.手数料の支払い方法」は窓口に行けない人は"イ 銀行振込"か"ウ 郵便小為替"になる。窓口に行けるひとは"ア 現金"も可。
IPAの手数料は試験一回分あたり300円。
IPAは「保有個人情報が記録されている法人文書1件につき300円」と記載している。この一件とは、答案用紙の枚数ではなく保有個人情報の法人文書の件数である。
IPAは個人情報ファイル簿上、受験者の記録を「1試験1件」で管理している 。
「記録項目:試験区分、試験時期、受験番号、整理番号、試験地、 生年月日、性別、氏名、団体名、住所、電話番号(中略)成績 」(IPA個人情報ファイル簿 P1より引用)
古の同人界隈でお世話になった人は、お馴染の定額小為替300円分を開示してもらう試験の回数分だけ買えばOK。ゆうちょ銀行で一枚200円。
銀行振込の場合は開示請求書を提出する前に開示してもらう試験の数×300円を振り込むこと。開示請求書が受領されて、チェックされたときに振り込まれていないと開示決定がでないと考えられる。
「4.本人確認等」は
自分の答案なら"ア 開示請求者"欄は"本人"。"イ 開示請求者の本人確認書類"も本人が持っているもので選択。ここで完成。
子供の答案なら"ア 開示請求者"欄は"法定代理人"。"イ 開示請求者の本人確認書類"は子供のものではなく、請求者本人のもの。さらに、"ウ本人の状況等"と"エ 法定代理人が~"欄を埋める。
正直、マイナンバーカードを作っていない中学生のお子さんが試験を受けた場合などにしか使えない気もします。
めんどくさい話しですが、写しの送付を希望する場合は住民票の写しが必要です。市役所等で「本人のみ、個人番号の記載なし」の住民票の写しを取得してください。
別に世帯全員が記載されていても受け付けてくれるとは思いますが、あえてそうする理由はないでしょう。
住民票の写しは発行から30日以内のものでないとIPAが受け付けてくれません。
子供の答案を開示請求する場合、住民票の写しは子供のそれではなく請求者本人(法定代理人≒親)のものです。
書けたら、IPAに送付します。
2. IPAから開示範囲を決定した保有個人情報開示決定書が返送される。
提出してから2~3週間程度で、保有個人情報開示決定書が簡易書留で返送されます。
私の場合は年末年始を挟んだため、12月の末におくって1/4に受領され、1/22付で開示決定されています。忙しい時期でしょうから仕方ないですね。
開示決定通知書は以下の形です。
ポイントは以下の点
P.1の右上に文書番号と発行日が記載されています。この内容は最後に提出する保有個人情報の開示の実施方法等申出書に記入します。
「1.開示する保有個人情報」は部分開示になります。不開示の範囲と理由は上述のとおりですが、「2.不開示とした部分とその理由」に細かく書いてあります。
P.2の「4.開示の実施の方法等」に、開示方法などを記載してくれています。写しの送付を希望した場合は、「(3)写しの送付を希望する場合の~」に、送付してもらうのに必要になる切手の見込額が記載されています。
なお、この開示決定は有効期間があります。(簡易書留の)受取りから30日で無効になってしまいます。
その場合、開示請求からやりなおし(=試験の数×300円をもう一度はらって、申請書類を出し、2~3週間待つ)なので、ダラダラしないようにしましょう。
3.保有個人情報開示決定書の内容に従って、保有個人情報の開示の実施方法等申出書を作成・提出する。
保有個人情報開示決定書の内容に不満がなければ、同封されている別添説明事項をよく読み、保有個人情報の開示の実施方法等申出書を作成します。
テンプレートはこれ(PDFはこっち)です。
ポイントは以下の点
一応、保有個人情報開示決定通知書に空白の申出書が同封されていますが、手書きも面倒なのでテンプレートをダウンロードしておいて下書きしておくといいでしょう。
保有個人情報開示決定通知書に記載されていた文書番号と発行日を「1 保有個人情報開示決定通知書の番号等」に記載します。ここは通知書がこないと書けません。
「4 「写しの送付」の希望の有無」については、保有個人情報開示決定通知書の「4 開示の実施の方法等」を参照し、同封する切手の額を記載します。切手同封を忘れずに!
書けたら再度、IPAに送ります。
4. 開示してもらえる。
申請から2~3週間程度で開示された回答を受領できます。写しの送付を希望した場合は簡易書留で送付されます。
見てのとおり、字は汚い……ではなく問題毎の点数は黒塗りで潰されています。しかし、それ以外のところは当日自分が記述した内容をそのまま確認することができます。
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