見出し画像

長期政権の終わり

 もう皆さんご存知のことだとは思うが、先日この国で長らく首相を務めていた人物が辞意を表明した。最近持病が悪化しており、その中で政権を移譲するタイミングがここだということからの決断だったようだ。今年に入ってからはコロナ禍の対応に追われる日々で、東京五輪も延期になり、おそらく彼が実現したかったことを多く残した中での辞任となった。

 もう在任は約7年8か月を数え、憲政史上最長になっているらしい。思えば彼の前は(彼の1回目も含めて)短命の総理が続き、諸外国と比べて日本のリーダーはころころ変わるという話であったが、それを忘れるのには十分な期間だった。政権に対しての評価は各人あるだろうが、久しぶりの安定政権だったことは事実だろう。個人的な印象としては、体調さえよければもう少し続いていたのではないかと思う。

 世間の関心は次の総理が誰なのかということだろうが、今既にこの人で決まりだろうというわけではないようである。ただ、次期政権が今回ほどに長期政権になるかは微妙である。上にリンクを貼った「内閣総理大臣の一覧」の最後に、時系列の表があるが、長期政権が連続した例というのはほとんどない。長期政権の後には短命政権が続くというより、そもそも日本の総理は比較的頻繁に変わり、その中でたまに長期安定政権が出現するという印象である。

 一方野党のほうでは、今回の政権の間に離合集散が繰り返され、結局また一つにまとまりそうな流れである。最大野党ですら支持率5%を切るような状況であり、対抗勢力が不在だったというのも今回の長期政権を支えた要因のひとつであろう。政権交代の時には日本も二大政党制になるのかと思ったが、むしろ一強体制が強化されたように思う。

 しばらくこのコロナ禍への対応は続くだろうし、経済の再建も課題となるので、この時に首相になるというのは平時と比べるとリスキーではある。日本の総理は国民の投票で決まるわけではないので、私がどうこうできるわけではないのだが、次が誰になるのかは気になるところである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?