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Photo by comaberenices

「100日後に死ぬワニ」100日目考察

ちよさき

　今日19時20分、きくちゆうき氏のTwitterで連日更新されその結末が話題となっていた漫画「100日目に死ぬワニ」、その100日目が投稿されました。タイトルではワニの死ぬ日なのですが、100日目の投稿ではワニがどのように死んだのか明示的には示されていません。今回は、主に「100日目」の4枚の画像から状況を整理していこうと思います。

1枚目

　1コマ目の上に「100日目」のタイトル。

1-1：花見の様子。ねずみ、もぐら、犬、ワニ彼女がすでに敷物の上に座って花見の準備をしている。もぐら「おせえな」、ねずみ「・・・・・」(両者コマの左側を見ている)。犬とワニ彼女は談笑。後ろには他の花見客の姿。後方左は駐輪場。

1-2：もぐら「まっ待ってりゃ来るか」(コーラの瓶を握りながら下向き)、ねずみ「・・・・」(もぐらのほうを見ながら携帯を耳に当てる、1-1の正座から立ち上がろうとしている)。背景は敷物の灰緑一色。

1-3：もぐらと犬、折り畳みテーブルを広げる。ワニ彼女は食べ物の準備。ねずみ、コマ左端でバイクにまたがりエンジンをかける(ドルン×3)。もぐら「お」、ワニ彼女「どこ行くん」。このコマでは視点が90度回転しており、コマ1-1の左側から見る構図になっている。背景に他の花見客なし、左に桜の木。

1-4：ねずみ、右に振り返ってバイザーを上げ「迎えに行くわ」。背景は桜色単色、数枚の桜吹雪。

2枚目

2-1：横断歩道の前で停車するねずみバイクを俯瞰。ねずみバイクが先頭で後ろにオレンジの乗用車が見える。進行方向は左下。左下以外のコマの隅に桜。歩行者は見えない。

2-2：右上に向かって桜吹雪を見上げるねずみ。コマ左上に「百景坂交差点」の信号、色は赤。背景は空、歩行者用信号とビル群。

2-3：右上の空に向かって携帯で写真を撮るねずみ。空と桜、桜吹雪が写っている。

2-4：ねずみの携帯画面大写し。LINEのようなアプリでグループチャット「あそぼう(3)」に撮った写真をねずみが送信している。その後ねずみ「よくね？」とコメント。時間は11:10、既読が既に1ついている。背景は単色桜色、たくさんの桜吹雪。コマ右側に「シュポ」(投稿の音？)、左側に「プップー」(クラクション？)。

3枚目

3-1：道路俯瞰。車道上、中央やや下側をコマ右側に向かって黄色い小鳥が歩いている。上部に横断歩道とその上に差し掛かっている赤い車と思しき物体。車の進行方向は左下で(2-1で左側通行が確定している)、すでに横断歩道の上にいるため走行中と思われる。擬音等の文字なし、桜吹雪。

3-2：道路俯瞰だが、右約2/3は歩道だと思われる。左側の車道上にワニの口と上半身、腕が見える。中央下に黄色い小鳥、後ろから突き飛ばされているよう。ワニは右向きで、両手が前に出ているためワニが小鳥を歩道側に押し出した様子。ワニ、小鳥とも細い線が輪郭に沿って何本も描かれているのはスピードの表現か。文字なし、桜吹雪。主人公と思われるワニが登場するのはこのコマだけである。

3-3：歩道やや俯瞰、背景に桜並木。コマの右下寄りに黄色い小鳥。小鳥の体は右向きだが、左側を振り返って観ている。コマ左下にわずかに車道。擬音等の文字なし、桜吹雪。

3-4：歩道俯瞰、コマ左上に車道。コマ左下に携帯、ほぼ中央に黄色い小鳥。小鳥は携帯の画面を見ている。形態の画面はLINEのようなアプリのグループチャット「あそぼう(3)」で、ねずみが2-4で送信した写真が一番上に表示されており、その直後この端末から「スゲー！！」「春に来た感じ～」と送信されている(ねずみの「よくね？」はない)。時間は携帯画面上部には表示されておらず、不鮮明だが、上記2コメントの横に「11:11」らしき文字が見える。両コメントとも既読は2。入力欄にはコメントなし。擬音等の文字なし、桜吹雪。

4枚目

4枚目のみ4コマ形式ではなく一枚絵である。桜並木の道路に桜吹雪がたくさん舞っている光景。遠景にビル群。中央に「百景坂交差点」信号が見えるが、交差点そのものは道のアップダウンのため、手前の道路に隠されて見えない。

　自動車用信号はこのコマの前後方向の2本、歩行者用信号は左右方向の4本確認できる。見えている信号だけで判断すると、横断歩道はこの見えている道路を横切る方向にしかない。歩行者用信号が4本なので、2本横断歩道がありその間に見えている道路と交差する道路があるはずだが(「交差点」というほどだし)、そちらには自動車用信号が確認できない。このコマでは自動車用信号が青、歩行者用が赤である。

　「百景坂交差点」のプレートがついた自動車用信号の下、左側の歩道の先に桜吹雪ではない黄色っぽい何かがおり、3枚目に出てきた黄色い小鳥ではないかと思われる。その他に自動車、歩行者はおらず、擬音などもない。

ワニは小鳥を助けて車に轢かれた？

　3枚目の4コマから考えられる最も可能性のある状況は、ワニが車道上を歩いていた小鳥を歩道へ押し出したが、自分は車に撥ねられたというものである。ワニはこの日死ぬはずであり、死ぬところは明確に描かれていないものの、3-2にしか登場していないワニが死んだとすればこのシナリオが最も可能性が高い。

　実は「100日後に死ぬワニ」3日目において、ワニは赤信号の横断歩道を当たる黄色い小鳥を、トラックに轢かれる寸前に自ら飛び込んで救っている。自らの危険を顧みず、危ない場面では救出に向かうこのワニはこの日花見に行く途中で同じような場面に遭遇し、またもや小鳥を救ったが今回はその代償として自分が死ぬことになった…というストーリーが考えられる。

いつ？どこで？

　この事故はいつどこで起こったのだろうか。4枚目の百景坂交差点付近にいる小さい「何か」がワニに救われた小鳥だとすれば、ワニが死んだのは百景坂交差点だと推測できるだろう。3-3の背景の桜並木からして、少なくとも百景坂交差点につながる道だと思われる。また、3-4の携帯がワニのものだとすれば(ワニの携帯は黒である)、ワニの最後の送信はねずみの写真に対するおそらく11:11のコメントであり、グループチャットにその後投稿がないことからして、コメント直後に事故が起こったと推測できる。

　しかしこの2つの情報は矛盾している。11:11に百景坂交差点でワニが事故で死んだとは考えにくいのである。なぜなら、11:10にはねずみが百景坂交差点で信号待ちをしているからだ。11:11に百景坂交差点でワニが事故に遭った(＝ワニが百景坂交差点にいた)のならワニを迎えに行ったねずみがその付近にいたはずのワニに気づかない可能性は低い。4枚目でわかる通り、百景坂交差点付近は(見える範囲では)車も人もおらず見通しもよく、ワニがいれば容易に気づくはずである。

　さらに、3-1で小鳥がいる場所にも注目である。3-1で既に小鳥は2車線道路の3/4を渡っている。ということは小鳥は(ここが11:11の百景坂交差点であるとすれば)信号が青のうちに渡り始めたが、渡り切れなかった可能性が考えられる。またワニはコマ左側から飛び出してきているはずだが、もしここが11:11時点の自動車用信号が青に変わった直後の百景坂交差点であれば、ワニはねずみの前を横切って道路に飛び出していることになる(小鳥に近づく物体はおそらく赤い車で、ねずみバイクではない。またねずみは2-4でクラクションを鳴らされていることから、対向車よりスタートが遅かったはずである。そもそも信号が変わったのは11:10であり、やや時間にずれがあるようにも思える)。この状況ならばねずみは写真を撮影する前には既にワニを見つけているはずであり、ねずみの様子と一致しない。

　つまり、ワニが小鳥を助けて事故に遭ったのは百景坂交差点ではない可能性が高い。この場合、4枚目は事故から時間がそれなりに経過しているか、4枚目の「何か」が小鳥ではない、少なくとも助けられたあの小鳥ではないことになる。仮に百景坂交差点で事故が起こったとした場合、11:10信号が変わる→ねずみ発進→ねずみに見過ごされたワニ交差点に来る→11:11以降小鳥を助けて死亡という流れになり、ねずみがワニを見つけられないことが必要になる(11:11以降、4枚目を見る限り百景坂交差点は交通量が少なかったため、自動車用信号が青でも小鳥が道路の大半を渡れる可能性自体は十分ある)。

　4枚目、百景坂交差点の路面は隠れており、事故が百景坂交差点なのかそうでないのか判断はできない。あの話の進め方だと百景坂交差点で事故が起こったと考えるのが自然だが、そうは言い切れないというのが私の考察である。

他にも謎がある

　ワニはねずみのグループチャットへの投稿に1分以内に返信している。しかし1枚目で、ねずみが遅れたワニに電話をかけているらしき描写があるが、その時はワニは電話に出ていない。数分前に電話に出なかったワニがチャットに即座に返信するのは不自然にも思える(そもそもなぜ楽しみにしていた花見に遅刻の連絡をしないのか、急いでたならチャットに返信はできないし、信号待ち中にしたならねずみに見つかっている)。1枚目、ねずみの台詞は「・・・・・」「・・・・」であり、わざわざバイクで迎えに行くところからも何か心当たりがある、ワニがまだ遠くにいることを知っているようなそぶりである。

　また、この花見日和に百景坂交差点付近に全く歩行者がいないのも不自然である。イラストの効果を考えた描写であろうか。そういえばねずみの投稿「よくね？」が消えていたのも不可解だが、これは作者のミスかなと思う。

いかがでしたか？

　はい、考えたけどわかりませんでした。役に立たないまとめサイトみたいな締めくくりになったのは不本意だが、あの4枚からストーリーをひとつに絞り込むことはできなかった。後日譚等含め書籍化されるようなので、そちらで真相が明らかになるかもしれないし、謎のままかもしれない。

　また何か思いついたら更新します。


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