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たばこ

 地方の企業でのこと。休憩時間、おそらく昼休みの終わりがけだったのだが、社屋の裏のほうの喫煙スペースに多くの人たちが集って煙草をふかしていた。印象的だったのは、煙草を吸っている人たちの中に若めの人たちが結構いたこと。

 私はその頃大学を出てからあまり時間が経っていなくて、大学では喫煙者の知人がほとんどいなかったので、今時の若い人は煙草は吸わないものだとばかり思っていた。

 知人に喫煙者がいないため、当然煙草を吸わないかと誘われたこともない。煙草の健康への悪影響はもう広く知られているし、最近は煙草の値上げも著しいので、どうやったら煙草を吸おうとなるのか不思議な思いもあるのだが。彼らに「どうして煙草を始めたんですか?」と聞いてみたいが、こちらは非喫煙者なので、純粋な好奇心からの質問であっても、向こうからもそう受け取ってもらえるかは微妙である。

 そういえば家族や親戚にも誰も喫煙者がいない。数十年前は喫煙率も高かったと聞くので、割と珍しいことなのだろうか。

 個人的には煙草のにおいは大嫌いで、子供の頃は鼻炎で鼻が詰まっていても煙草のにおいだけはすぐにわかった。もう今は分煙がどこも徹底されていて、喫煙者は喫煙スペースに押し込められているために煙草の煙に巻かれることはなく大変ありがたい。たまに服についた煙草のにおいに気づくときはあるが、それくらいは目をつむりたい。

 最近は喫煙者の肩身はどんどん狭くなっているようだが、地方ではまだそこまでではないのかもしれない。喫煙がいいとは思わないが、健康が絶対的な正義みたくなることに懸念がないわけではない。

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