2024年11月8日 金よう日

 週末の数を数える。いちにちを数えるみたいに。
 それはつまり、一週間がいちにちみたいなはやさで過ぎていくってことだ。
 いちにちみたいな。
 いつかのいちにちみたいな。
 むかしあったはずの、いちにちみたいな。

 ともだちっていうものがほんとうにうまくつくれなくて、正直いうと幼稚園のころからそう思って生きてきている。既存の輪になんかうまく入れてもらえない。わたしに入る気がないからそうなるのかもしれなかったが、いまでも輪という輪に入れてもらえないままなので、ほんとうのところはわからないままだ。
 いわゆる空気が読めないというわけでもないと思うのだけど。むしろ平均よりも他人の気持ちを気にしがちだと思う。神経質なのだ。でもぜんぜん読めていないのかもしれない。ほんとうはね。話しかけづらい印象を与えているような雰囲気を感じる。なんだか一部のひとをことさら防御的にさせてしまう立ち居振る舞いをしているようである。なんとなくそんな気がする。警戒されているな、と思う。わたしは仲良くなりたいのだけど。そう、興味がある。でもその興味の持ち方が「空気が読めていない」持ち方なのかもしれない。接待されたがっているように見えるのかもしれない。なんというか。そういうことを言葉に出して表現したことは一切ないと思うし、それを要求する権利が自分に当然にあるとも思っていない、すくなくとも意識のうえではそうなのだけど、わたしと対峙したとき、「接待してやって褒めてやんないと話が続かなそう」というか、「下手なことを下手に言うと機嫌を損ねそうだから適当にとりつくろっておかなくては」とか、なんか一部のひとをそういう気にさせるような立ち居振る舞いをしているんじゃないか、と、わたしはわたしを疑っている。「あなたって当然、わたしに好意的だよね?」とでも言うような。なんだかそんな態度に見えているんじゃないかと疑っている。だからなんとなく警戒されてよそよそしい態度を取られているのかなと考える。
 いままで、特に学生時代に、仲良くしてくれていたひとたちはみんな、わたしのそういう高圧的でわがままな空気を感じても、無視しないで叶えてくれるような、やさしい、断ったり人に冷たくしたりすることが苦手な人たちだったような気がする。
 それはつまり、あったかもしれない彼ら彼女らのわたしへの好意や愛情を完全に否定するということであり、彼ら彼女らが道徳や世間体の奴隷であって自分の意思で友人を選べないと断じることでもある。
 その失礼極まりない傲慢な態度が、ともだちに選んでもらえない根本的な原因なんじゃないのかって気もする。
 オールウェイズ自分自分自分なのである。
 あんまり言われたくない言葉だ。コンプレックスみたいになっている言葉。あんたって自分のことばっかりね。
 わたしはみんなに、ともだちに、自分自分自分ってしてほしかったけど。
 こう思うんだけどとか。なんでなのかな?!とか。いろいろ話してほしかった。けど。でも話してもらえるような人間関係を築けなかったのはわたしがわるい?
 だから「自分のことばっかり」で何が悪いのかいまだによくわかっていない。それがなんか責められそうでこころぼそくて言い出せない。

 このまえTwitterで、若い男の子と思われるアカウントが、「これって脈あり?なし?どっち?」みたいなコメントをつけてLINEのスクショを投稿していたのをみたんだけれど、もうどう考えても脈なしだろっていう応酬なのだ。だって遊びに行かない?いつならいい?この日は?ってきかれているのに対する返事が、さいきん忙しい、難しい、ごめんねオンリーなのである。会う気がないし時間を作る気もないことをやんわり伝えるよくあるお返事なのに、どうして脈があると解釈できるのだろう?って、そう聞かれた男の子は「だってLINEの返事遅い子って聞いてたのに全部にすぐ返事くれるから」とリプしていた。それでなんかちょっとなるほどなと思ったのだ。確かに興味のない相手からウザいLINEがぼこぼこ送られてくるならさっさとミュートでもブロックでもして無視すればいいだけの話なのだ。ていうかわたしだったらそうする。返事をしない。そもそも。
 そこでなんかさーっと血の気が引いたのである。え、わたしがともだちだと思ってたひとたちも実はこのLINEの女の子みたいな感じで対応してただけなのかなって。同じクラスとかサークルとか職場とか、所属しているコミュニティがいっしょだと、あからさまに無視するとほかのひとたちの前でへんな感じになるから、しかたなく、それこそ接待してたのかなって……。わたしは他人にすごい失礼っていうか、路上のティッシュ配りのひととかガン無視して当然でしょ何が悪いの?ってくらいだけど、それにいちいち目を合わせて会釈したりありがとうございますとかすみませんとかいうひともいる。なんかわたしとそういうひとたちとのあいだで、このLINEの男の子と女の子のようなことがおこっているんじゃないかって……。わたしは好きなひととじゃないと旅行なんか絶対行かないけど、一泊二日くらいならまあ耐えられるって、断るコストと天秤にかけて我慢してたとしてもなんら不思議ではない。かなしいことに。
 まあたんに、わたしの神経質な気遣いの視線(不快じゃないかな、つまんなくないかな、これ言われたら嫌な気持ちになったりしないかな、失礼じゃないかな……)がそのまま反射して、遠慮されているだけなのかもしれない。そしてそれもやっぱりわたしがわるいのだ。わたしが遠慮するから遠慮されているだけなのだ。

 たぶんともだちっていうか人間関係に向いていないってだけだし、いまのままでも困ることもなくひとりでしあわせにくらしているのだし、なんの問題もない。こんなうじうじながながと考える必要はない。解決すべき課題や問題がないのだから。
 ただちょっと傷つくだけだ。
 必要のないものからだったとしても、拒絶されると、傷つくってだけなのだ。
 意味もなく、必然性も因果関係もなく、無益なまま、ただ、傷ついている。

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