アストロダイス小説#01空から土星が降ってきた04
「昨日、おかーさんに弁護士さんから手紙が届いてたんだ」
ぼーちゃんと弁護士、全く似合わない単語が出てきて、耳を疑う。
「死んだおじいちゃんが、実は金持ちの息子だったみたいで、その金持ちのお父さんが死んじゃって、おかーさんにお金が来ることになったんだって」
「いさんそーぞく」
さらに厄介な話になってきた。15歳の探偵部の初仕事としては最悪だ。猫探しくらいからがベストなんだけど。
「それで、そのお金をもらうために、死んだおじーさんが可愛がってた猫を見つけないといけないんだって」
都合よく猫探しに戻った!
「その猫を飼うことが遺産をもらう条件で、他の兄弟より先に見つけないと1円ももらえないんだ」
「じゃあ、その猫を探さないといけないのね」
「その猫はいったいどこに行ったんだろう?」
「手紙には、おじーさんが病院に運ばれて亡くなるまで、特別個室で一緒だったけど、亡くなった途端姿を消したんだって。写真はコレ」
ぼーちゃんのスマホの画面に、写真を撮影しただろう猫の写真が写っている。白い地に黒のハチワレの可愛い猫だ。赤いリボンが巻かれている。
「名前はしんのすけっていうオスの猫らしい」
「なるほどね。いったいその猫どこに行ったのかしら。猫を飼ったことなくて、どういう動きをするのかデータが無いわ」
「じゃあ、詳しい人に聞いてみたらいいじゃろ」
また突然現れたトレミー学園長。ちゃっかり1人だけコーヒーを飲んでいる。ホントに神出鬼没だ。
「陽太くんの友人に猫を飼っている人がおるじゃろ」
「いますけど」
「まずはその友人に話を聞いて、猫の生態を勉強してみたまえ」
と言うやいなや、トレミー学園長の姿は消えた。忍者か?
「じゃあ、データ収集に行きましょうか、案内して、陽太くん」
美少女と石を愛する少年、俺、ときどきトレミー学園長は連れ立って、友人の家へ行くことになったのだった。
つづく
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