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アストロダイス小説#01空から土星が降ってきた 1

“おじいちゃん、ねぇ、おじいちゃんってば”

“おじいちゃんよりもっと上でしょ?ひいひいひいじいちゃん?”

 俺は寝ているはずだよな。何で子どもの声が、頭に響くんだよ。あーうるせー。寝れねー!

「俺はじいちゃんじゃねー」

 布団をまくり上げて目を開いた先には、ぼうっと光る小学生くらいの男女の双子が淡い光を発して、浮いている。

 浮いている?

“あー起きてくれたー”

“はじめまして、ひいひいひいじいちゃん”

 声は、直接頭に響いてきて、嬉しそうな表情でこちらを見ている。

「ゆ、幽霊?」

“幽霊って何?”

“20世紀辞典には、死んだ人がホログラムを見せる能力があると信じられていたと記錄されてるわ。そんなわけないじゃなーい”

“僕たち、3580年からひいじいちゃんにコンタクトを取りに来たんだ”

“私はシーア。あなたの子孫にあたるの”

“僕はトルン。シーアの兄だよ。今日はひいじいちゃんに伝えたいことがあってきたんだ。大空陽太さん”

 俺は確かに大空陽太だけど、まだ15歳でこんな子孫とか言われても、ドラえもんじゃあるまいし、なんかの間違い、夢、夢だ。寝よう。

“あっ、寝るなよ!陽太、このクソジジイ!”

“私たちがここにいられるのは、あと30分ほどだから、聞いてー!”

“おじいちゃんの行動に私たち子孫の命運がかかってるんだよ!!”

 ガバッ

「何だよ、命運って。大げさだな」

 青白く浮かぶ双子は、必死な形相で俺を見ている。

“金田さとみさんっているでしょ”

「最近、転校してきた超美人」

 ついスラスラと言葉が出てくる。綺麗なお姉さん系で学園の話題はその人の動向で持ちきりだ。

“その人と仲良くなれば、我が家の家系は大金持ちになって、未来も安泰になるんだよ”

“あぁ、時間が無い!とりあえず、どうしたらお近づきになれるかは、学園長のトレミーさんに聞いて!”

“頼んだぞ!おじいちゃん!また様子見に来るから!”

 フッ。青白い光は掻き消えて、後は静寂だけが残った。

 何が何だか分かんないし、何でトレミー学園長が出てくるんだか、分かんないし、まぁ、学園長に会ったら聞いてみるかなー。

 ピピピピピピ・・・。

 どうやら、そのまま寝てしまっていた俺は、目覚ましの音で目覚めた。

 10月の冷んやりした空気は、この間まで炎天下だった毎日が嘘のように快適だ。

「おはよー」

 とりあえず、朝ごはんを食べるために入ったキッチンで俺は信じられないものを目にした。

「おはよう、陽太くん。お邪魔しておるよ」

 我が家のテーブルで、優雅に味噌汁を飲んでいたのは

「トレミー学園長!?」

 まさかの双子が名指しをしてきた、トレミー学園長だった!

つづく



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