アストロダイス小説#01空から土星が降ってきた02
トレミー学園長の登場により、昨日の夜の双子とのやりとりが現実味を帯びてくる。学園長は朝ごはんを完食して、母親に絶品だったーと言って、和やかに過ごしている。
「あの、トレミー学園長!」
「おぉ、大空くん。君に話があってきたんだよ。すっかり朝ごはんをごちそうになってしまったが」
「いいえー、学園長さん。いつでも食べに来てくださいねー」
母親はご機嫌だ。ロマンスグレーのイケオジに手まで握って褒められたらイチコロだよな。
「双子から話は聞いたと思うが、例の作戦を進めるために、君にはトレミー探偵部に入部してもらう」
「トレミー探偵部?いや、俺サッカー部なんですけど。そして、双子のことはどうしてご存知なんですか?」
「実は私はトレミー333世なんだ。トレミー888世との交信により、今回の協力を頼まれたんだよ。888世は双子の学園の学園長をしておる。なんせ、初代トレミーは大天才だからな、その遺伝子をチョイチョイっとやって、トレミーの命を繋いでおるのだ」
「クローン?」
「まー、ちょっと違うがだいたいそんなもんだの」
昨日の夜から理解を超えることが起こっている。俺はまだ夢を見ているのか。
「ま、サッカー部と両立してくれ。もちろん探偵部には、あの転校生も入る。あの子たっての希望だからの」
言いたいことだけ言って、登場と同じくさっさと消える学園長。
その日の授業は何だか身が入らないまま、気づけば授業も終了、放課後を迎えていたようだ。
コツ。
フッと頭上に影ができたかと思うと、何だかいい香りがする。
「あなたが、探偵部の見習いで入る大空さん?」
何だか雅な声が・・。
「えっ、金田さん?!」
あの噂の美少女、大空家の未来のためにお近づきにならないといけない金田さとみが俺の目の前に立っていたのだった。
つづく
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